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防災インタビューVol.152

「災害対策基本法」~被災者支援のあり方~

放送月:2018年5月
公開月:2018年11月

山崎 栄一 氏

関西大学 
社会安全学部 教授

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

関西大学、社会安全学部で教授をしています。専門は法律です。防災の世界に入ったのは、1995年の阪神淡路大震災がきっかけで、その時私は大学院の修士の2年生で、私の家も屋根瓦が落ちて被災しましたが、その後無事に博士課程に行くことができました。

私は大学院では神戸大学の法学研究科にいたのですが、その時に阿部泰隆先生という行政法の先生がいらして、院生が集まる部屋に、「一緒に共同研究をしませんか」という張り紙をしていかれました。その時私はドイツの憲法を研究していてドイツ語ばかり読んでいたので、「何でこんな震災の調査なんかしなければいけないのかな」と思って無視していたら、先生から「被災地とか被災者の状況を調べてくれないか」と頼まれたのです。私は新聞記者のように、役所やテント村、ホームレスの人を支援している協会などに行って、実際にインタビューをして、その結果をもとにいろいろな論文を書きました。それがもとで就職も出来て、特に被災者の支援のあり方について研究を続けて今に至っています。

「法律」から「防災」へ

私にとっては、阪神淡路大震災がきっかけで、それまでやっていた法律の勉強をもとに、防災の世界に入ったことは、本当に大きな転換でした。現在は、基本的には災害が起こったら、その被災地に行き、それぞれの被災地や被災者に対してどのような支援がなされているのか、その支援は被災者の人たちにとって十分なのかということを調査しています。あともうひとつ関心があるのは、被災地を支援しようとする人にとって、その支援を必要としている人がどこにいるのか、困っている人がどこにいるのか、実際に支援をしようと思っても場所が分からなければどうにもならないのですが、その情報を収集しようとしても、個人情報ということで知ることができません。最近は、それをどのように共有して、支援の輪を広げていこうかという視野に立った研究をしています。

実際に被災者支援をしている法律としては、現在4つありまして、「災害対策基本法」「災害救助法」「被災者生活再建支援法」「災害弔慰金等法」という法律になります。大きく言うとこの4本の法律で被災者支援は行われているのですが、それが実際、実態としてどのように運用され機能しているのかを見ていきながら、足りない所があったら法律を改正していく提言もするようにしています。

被災者支援のあり方を示す「災害対策基本法」

先ほどの4つの法律のうち、被災者支援のあり方を理念的に規定しているのが「災害対策基本法」です。これを見ると日本の被災者支援のあり方が大体見えてきます。まずは、「災害対策基本法」の歴史を簡単に見ておきたいと思います。このような法律は、ショッキングな災害があって、その災害をきっかけにできることが多くありますが、この「災害対策基本法」も、伊勢湾台風があった後、昭和36年、1961年に出来上がったものです。
伊勢湾台風の時にも、国や行政が活動はしたものの、組織的にはバラバラに動いていました。その後に、「災害が起こったら1カ所に集まって、そこで対応を話し合って指示をし合いましょう」ということで出来上がったのが、いわゆる「災害対策本部」という規定で、実はこれは「災害対策基本法」が根拠になっているわけです。もう1つは、「災害が起こる前に、災害が起こったらどうするのかを考えておきましょう」ということで出来上がった「防災計画」という規定です。現在では、市町村でも「地域防災計画」を作って、それぞれの市町村がどういうふうに対応するかということを考えるようになってきていますが、これも「災害対策基本法」から端を発しているわけです。もう1つは伊勢湾台風の時には、市町村は何をしたらいいかということがよく分からなかったので、その後、市町村がやるべき任務を規定して、避難指示や避難勧告などの避難に関する情報を出すようになりました。これも「災害対策基本法」から出発しているものになります。このように、災害に対する対応のあり方の基本を大まかな形で規定しているのが「災害対策基本法」です。

こうして出来上がってきた「災害対策基本法」ですが、被災者支援ということについては、東日本大震災をきっかけに大きな法改正がなされ、被災者支援に関する規定がたくさん生まれてきました。もともと「災害対策基本法」というのは、被災者支援については全然考えていなかったのですが、東日本大震災後に被災者支援ということも考えるようになって、ようやく「災害対策基本法」は私たちのための法律になったのではないかと思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。