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防災インタビュー

地域防災を考えるプログラム「サロン・ド・防災」共同企画

vol.
549
人の命を守る タイムライン防災 [その1]

2017年4月

松尾 一郎氏 特定非営利活動法人 環境防災総合政策研究機構 専務理事

プロフィール

現在、私は防災を専門とするNPO法人 環境防災総合政策研究機構の専務理事をしています。これまで30年近く、自然災害の調査や研究をしてまいりました。この災害調査のきっかけとなったのが阪神淡路大震災で、震災から3週間後に、日本災害情報学会の初代会長である東京大学の広井脩先生と一緒に、神戸市長田区の被災地に行きました。そして、がれきの処理をされている住民の方々に対して、当時どういう行動をしたのかという調査を涙ながらにしました。その時に、防災の調査や人の命を守ることを、自分のライフワークとしてやっていくべきだと思い、今に至っています。

防災専門家組織「環境防災総合政策研究機構」

日本にはさまざまな突発災害があります。水害もそうですし、東日本大震災、火山噴火もそうです。そのような災害の中で、犠牲になる方もたくさんいます。災害から市民の命を守るためには、それぞれの災害に関して何が課題で、何が必要だったのかを研究したり、調査したりする必要があります。 環境防災総合政策研究機構では、そのような調査の依頼を受けたり、調査成果を世の中に発信すると同時に、市民の方々の防災力を高めるために、地域でワークショップを行ったり、市民の方々と一緒の取り組みなど、さまざまなことをやっています。

東京大学の広井先生のお声掛けで、防災専門家組織をつくろうということで、報道機関を退職された防災のアナウンサーなど、防災の専門家たちと一緒になって、この環境防災総合政策研究機構を立ち上げたのが、ちょうど12年前になります。

私は、その中で「タイムライン防災」について調査研究しています。この「タイムライン防災」というのは、水害で考えると分かりやすいのですが、従来ですと台風が発生した際に、気象庁から大雨警報が発表されたら、その災害対応を行うことになっていますが、それでは後手後手の対応になってしまいます。そうではなく、先を見越して早め早めの対応行動を行うのが「タイムライン防災」です。現在、私は、この「タイムライン防災」に携わっており、市民の中の防災体制を新たに見直したり、あるいは東日本大震災では消防団員が数多く犠牲になりましたので、その消防団員の命を大きな災害から守るためには何が必要かも研究しています。

災害対応のための「三つの柱」

私は東日本大震災を経験し、その調査を通して、コミュニティーの防災力を高めることの重要性を強く感じ、そのために必要なことである「三つの柱」という取り組みをしています。

東日本大震災では、たくさんの方々が襲来する津波に巻き込まれました。その中には消防団や民生委員、児童委員の方々も含まれています。日ごろから高齢者の方々に目配りをされている方々が、避難者の救助や救護に行って犠牲になったり、一度避難された自治会役員の方が、地域が気になって戻られて被災されたケースも多くありました。そのことを踏まえたときに、「地域の連携力」がとても重要だと感じました。民生委員、児童委員と消防団、あるいは学校など、日ごろからつながりが非常に薄いのですが、そのつながりを強くすることが、結果的には防災力を高めることになるのではないかという仮説を立て、いろいろなところで調査をしてきました。そして、そのつながりを深めるために、いろいろなところで取り組みをやっているのが「三つの柱」です。

一つ目は「市民防災会議」です。防災というのは行政が中核になって取り組みを進めていますが、本来は地域に住んでいる方々が、住民の視点で自分たちが命を守るために何が必要かを考え、防災組織、防災の体制とか、その連携の仕組みをつくっていくことが必要です。そのための取り組みが「市民防災会議」です。二つ目は「タイムライン防災」で、災害が実際に起こってからではなく、災害によっては事前の段階、いわゆる前兆段階から取り組める防災対応というのが「タイムライン防災」です。三つ目の柱としては、消防団や民生委員などの地域の守り手をどう守るかという取り組みである「地域の守り手を守る取り組み」、これらが災害の対応に必要な「三つの柱」だと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を一部改定して掲載しています。

FM salus

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