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防災インタビューVol.79

空洞探査、地雷除去の経験を生かした防災そして減災

放送月:2012年9月
公開月:2012年11月

冨田 洋 氏

ジオ・サーチ代表取締役社長

プロフィール

私はジオ・サーチという会社を35歳で起業しました。私どもの会社は世界で1社しかない、地中の、特に構造物内部の劣化を高速で走りながら検知できる特殊な技術を持っています。

私は海が好きで、学生時代1年間、船員として海外を放浪しました。その後、「やはり海だ」ということで、海洋油田のエンジニアになりまして、世界中14カ国ぐらい転戦しました。アメリカの駐在員の時に、特殊な技術ですがマイクロ波で地中を探るという技術に出合いました。それを会社の了解を得て日本に持ち帰って、世界で初めてトンネルのコンクリートの厚さを調べ、その後ろの空洞も調べるというシステムを32歳の時に発明しました。その発明を基に本業の会社でやっていこうとしていたら、会社が倒産してしまったので、やむなく35歳で会社を起こしました。

ちょうどその頃、銀座で陥没事故が多発していました。ありとあらゆる技術を使っても、その原因になる空洞が見つからないということで、私どもの会社に国土交通省、旧建設省から依頼がありまして、1年半、死に物狂いで開発したのが、世界初の「路面下空洞探査システム」です。これが最初に成果を挙げたのが即位の礼のパレードの2日前のことで、パレードの下に空洞があるということが見つかりました。その後、「これはなかなか使えるじゃないか」ということで、事業が広がっていきました。この技術を世界に発信しようと思って発表をしましたら、海外で最優秀論文に選ばれましたので「これでビジネスになるかな」と思いました。ちょうどその頃、1994年に国連の決議により、ガリ総長が「紛争が終わっても、不発弾や対人地雷がばらまかれているために全く復興が進まないので、これを何とか検知して処理したい」ということで、国連に専門家がいないので、フォークランド紛争の際のイギリスの将軍をスカウトしてきて、その人が世界中の技術を探し回っていました。その時にたまたま私の論文を見て、カンボジアに行く前に日本に立ち寄りました。それがきっかけで、今度は地雷除去に巻き込まれることになりました。

空洞探査で地雷除去

今までの私の空洞探査の際に見つけることのできる大きさは50?×50?でしたが、その将軍が持ってこられたのは5センチの地雷で、これを見つけられるようにしてほしいということでした。これは非常に難しくて、それを探知する技術まで進化させるのに15年かかりました。

1995年に私は外務省の要請で5カ国代表で、新しい地雷除去の専門家会議に呼ばれまして、その時に発表したのが震災後に役に立った「スケルカ」という技術でした。それを応用して、埋まっている物の形と深さが分かれば、もう少し地雷除去も安全に進むのではないかというアイデアを出しました。しかしアイデアは出したのですが、それを実現するまでは、ありとあらゆる試行錯誤をして、結局15年もかかったということです。

この地雷を除去する技術のコンセプトは私自身が作りまして、あとは後に緒方さんらの依頼でNGOをつくりましたが、250社日本の企業が結集して、それぞれの得意技、技術、人も出して、地雷除去を実際にやる団体になっていくわけです。約15年間、私はそれをボランティアでやりまして、全て持ち出しでやってきましたが、現在は現地に移管しています。私たちが最後に除去した所は、幻のクメール大遺跡といわれているカンボジアとタイの国境にあるカオプラヴィーハンで、ここは世界遺産になりました。

この間、私は1年の半分以上は現地に入っていて、腰がつぶれて3カ月寝たきりになったり、仲間がデング熱で倒れたりと、非常に危険な状況でした。ほとんど戦場のような所でのボランティアでしたが、これを15年間やっていました。そのパワーが現在の震災後の活動に役に立つとは、その時は思ってもみませんでした。

体を壊して寝たきりになった時に、たまたま読んだ新聞に『貢献する気持ち』という「ぐるなび」の滝さんが書かれた本のことが載っていて、「貢献する気持ちというのは本能だ。だからやりたいからやっているんだ」ということが書かれていたので、それを読んで、そこからまた元気が出て、ボランティアを続けていくことができました。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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