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防災インタビューVol.50

住宅の耐震補強について ~新宿区の耐震補強制度から学ぶ~

放送月:2010年1月
公開月:2010年8月

押切 等 氏

新宿区耐震補強推進協議会事務局長

プロフィール

私は現在、新宿区の設計事務所に勤務しておりまして、その傍ら新宿区耐震補強推進協議会の支部局長を務めています。新宿区耐震補強推進協議会というのは民間団体で、新宿区と共同で新宿区内の木造の老朽建築物の耐震化を積極的に推進していくために活動しています。
新宿区では現在、耐震化推進事業として、区内の耐震化が進んでいない建物に対して、東京都建築士事務所協会新宿支部に依頼し、木造の耐震の専門家を技術者として派遣し、無料の耐震相談をやっています。私もその一員として、在籍している事務所の管理建築士とともに、新宿区内の老朽木造住宅の無料耐震相談と診断を行っています。

新宿区耐震補強推進協議会とは

現在、新宿区内には16,000~17,000棟の老朽木造住宅があるということで、平成27年度までにその耐震化率を90%まで上げるという目標を立てて、地域の耐震化を進めています。行政では、耐震化を進めるにあたって助成金制度をつくったり、PRなどを行っていますが、実際に住民に対して新宿区内で区政モニター、いわゆるアンケート調査を行ったところ、非常に強いニーズとして「耐震補強をするための信頼できる業者さんを紹介してほしい」というのがあることが分かりました。しかし行政では、どこか特定の業者を紹介するのは、いわゆる利益誘導に当たるということで、やりたくてもできません。また新宿区には最大300万円という充実した耐震化に関する助成金があり、これは日本全国でナンバー1ではないかと思います。しかし、なかなかそれだけでは耐震化が進まないのも現状です。そのような状況の中で新宿区と民間が共同して、地域の耐震化を進めるために設立された団体が、新宿区耐震補強推進協議会です。実は設立してまだ2年目ですが、来年度の4月から段階的に耐震補強の推進活動を計画しています。

耐震補強の推進のための活動

現在、新宿区では上記のように上限300万円という、非常に充実した耐震化助成制度を行っていますが、区のホームページやパンフレットでPRはしているものの、なかなか周知されていないというのも現状です。行政のほうでも周知をするために、いろいろな地域のお祭りなどに出掛けていって、興味・関心を持ってもらうためのクイズをやったりしてはいますが、なかなか進みません。そこで行政だけではなくて、我々の協議会も共同でPRや啓発活動を行っています。そのひとつとして、耐震に関するシンポジウムの開催や、来年1月に新宿区立産業会館で新宿耐震フォーラム2010というイベントを行う予定です。これらは耐震化に関するものだけでなく、総合的な防災の情報を一度に広く出していくことで区民の方に知ってもらい、できることから日々の対策を立ててもらおうということで計画しています。耐震化という部分に関しては待ったなしですので、耐震化を推進していくために、ありとあらゆる活動をしているところです。また大きなものとしては、毎月1回無料耐震相談会をやっています。

新宿区内の現状

新宿というと非常に大都会のイメージがありますが、老朽建築物は約16,000棟から17,000棟あると言われています。人口は31万5千人ですが、昼間人口は約70万人超、新宿駅はギネスブックにも載ったほどで、最大の乗降客数は300万人と言われています。駅の規模からしても、摩天楼と言われるような高層ビル群があることからしても、非常に意外な感じかもしれませんが、実は新宿区の中には東京都の中で総合危険度ワースト2位の地域もあるくらい、老朽化した木造住宅が密集している地域が多数あります。
我々も月1回の無料相談会の時に、ただ待っているだけでは仕方がないので、その対象となる地域を事前に回って、ボランティアでポスティングをして「いついつ何時に、この場所で相談会があります」という周知活動もやっています。これは実は、町歩きも兼ねていまして、我々の協議会のメンバーや新宿に生まれ育った方でも、実際に歩いてみると「こんなに危険な所があったのか」という認識を改めるという方も多く、新宿というのは思ったよりも危険な所があるという状況です。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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