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防災インタビューVol.24

事前の備えで安心・安全な暮らしを

放送月:2007年11月
公開月:2008年6月

山口 豊 氏

(社)日本技術士会 防災支援委員会

はじめに

技術士について

はじめに、技術士について、紹介します。「技術士は、科学技術の高等の専門的応用能力を活かして、科学技術の向上と国民経済の発展に貢献するための国家資格」です。建築、医学等を除く科学技術のすべての分野をカバーし、建設、機械、電気、電子、応用理学、情報、原子力など21部門に及ぶ登録技術士が6万人います。専門分野のプロとして活躍していますが、まだ、圧倒的に不足しています。大学を卒業した技術者が日本では230万人いますが、技術士は、その2、3%、100人に2、3人です。社会的にも知名度が低い状況です。一方、科学技術の部門の国際競争力は非常に重要です。技術士と同様の海外の技術者資格には、アメリカではPE(プロフェッショナルエンジニア)、イギリスではCE(チャータードエンジニア)が活躍しており、50~60万人います。日本の技術士は、その10分の1のレベルです。このため、若い人たちを含めて多くの技術者が試験に挑戦してもらい、プロフェショナルエンジニアとしての技術士の数を増やし、産業や科学技術の分野のリーダーとして活躍し、国際競争力を上げるとともに、防災など安心安全な社会の向上に向けて、社会的な貢献を進めることが必要です。

米国の防災状況の視察を通して

1994年に米国の防災状況を視察する機会があり、ミシシッピー川の大氾濫後の復興の状況、ロサンゼルス市で発生した都市直下地震、ノースリッジ地震の復旧・復興状況を視察しました。米国では、災害発生への対応を戦争勃発と同じと考え、迅速に対応をします。ノースリッジ地震発生後、数分でクリントン大統領に報告され、直ちにFEMA(米国連邦緊急事態管理庁)に出動命令が出されています。ロス市役所の堅牢な防災オペレーションセンターや緊急避難対応、応急危険度判定の実施など多くの勉強ができました。翌年、日本で阪神・淡路大震災が起こりましたが、米国と比較して日本の初期対応の遅さ、幼稚さを実感しました。組織的に対応するためには、事前の十分な準備とトップの意識の重要性が、日米を比較して、よく理解できました。

災害教訓に学ぶ耐震補強の重要性

災害教訓
小千谷市急傾斜地の崩壊/小千谷小学校の避難所の状況

日本列島は、太平洋プレートなどの4つのプレートに押されていますので、地震災害から免れることはできません。その上に、2000ともいわれる未知の活断層があり、想定外の地震が突然起こります。日本に住む以上、どこでも地震は起こるという前提で準備をする、備えるということが大 事です。問題は、どのように準備するかです。

地震が起こるたびに新たな被災状況や対応すべき課題が出てきます。犠牲になられた方々、多くの被災者を考えると、その災害で得た教訓を次の災害に活かすことが大事であり、災害教訓に学び、次の災害に備えることです。

耐震補強が基本

具体的な災害教訓は、近年の地震災害では、阪神・淡路大震災に学ぶことが多くあります。都市直下型災害の明確な特徴がありました。犠牲者の90%はほぼ即死でした。一瞬にして倒壊した老朽家屋と家具の直撃によるものです。火災が一斉に発生し、消火活動が困難となり、大量の避難者、2千万トンの瓦礫、そして、耐震補強の重要性があらためて認識されました。

耐震補強の重要性は、次の中越地震で実証されました。雪国仕様のしっかりした家屋が多く、倒壊家屋は少なかったのです。

中越地震では、大規模な地盤災害の発生で、集落の孤立を経験しました。中越地震は、山村地域の3700箇所に及ぶ斜面災害とともに宅地災害、盛土崩壊が発生した。被災情報の空白や安否確認情報の地域内共有化などの情報課題、公共施設の耐震化の遅れ、土木構造物の耐震化推進、住宅や地盤の耐震補強の重要性の再認識とともに地域コミュニティ力の重要性が改めて認識されました。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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