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防災インタビューVol.8

ファーストエイドを身につける

放送月:2005年5月
公開月:2007年3月

岡野谷 純 氏

日本ファーストエイドソサエティ 代表

日本ファーストエイドソサエティとは

私は現在、今はやりのNPO法人で活動をしています。法人の名前は「特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ(JFAS)」、ちょっと覚えづらい名前ですね。JFAS(通称ジャファス)の活動目的は「未来を担っていく子どもたちに安全・安心・健康な社会を引き継いでいこう」ということ。そのために私たち一人ひとりには何ができるのだろうか。大人も子どももみんなで一緒に考えて、大切だと思うことを活動に移していこう、ということです。

自己紹介をしますと、よく「名前にあるファーストエイドって何?」と尋ねられます。そこからが本当の自己紹介になるわけですが、ファーストは最初の、エイドは手当て、つまりファーストエイドは「応急手当」のことです。「それなら応急手当て普及協会とかにすればわかりいいのでは?」というご意見もよくいただきます。でも、JFASを始めた当時、我が仲間は、応急手当というテーマをみんなで学び、皆で広める活動をしたかったので、普及という言葉はあまりふさわしくないという気がしました。

では、英語のまま、ファーストエイドという言葉を知ってもらおうと、応急手当をする人々の集まり、つまり、ファーストエイド・ソサェティという名称にしました。ちなみに、ファーストフードではありません。バンドエイドのエイドは同じ意味です。

特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサエティ(JFAS)のロゴ

さて、ファーストエイドや心肺蘇生法を学んだ方や教えている方たちが、よく「こういう知識は、勉強はしても実際に使う場面がこないほうがいいですね」と仰ることがあります。「応急手当」というと、何かあったときに人を助ける手段であるというイメージがあるのは確かです。でも、実はそれだけではなく、例えば事故を予防し、応急手当てをしなくてもいい環境をつくるというのもファーストエイド活動の一つだと、私たちは思っています。

「あ、危ない!」と思った時には、もう遅い場合もあります。切羽詰ったぎりぎりの状況で叫ぶのではなく、「あれ、あの子(人)、危ないかもしれない」と気がつけば、事前に手を差し伸べることができるハズです。そんな風に思える目や知識、力をつくっていきたいと思って活動をしています。

広い目で見れば、せっかく習った知識や技術を使わない方が宝の持ち腐れだと思いませんか?

そこでJFASでは、ファーストエイドをどんどん使っていくための方策を考えました。

そのひとつが応急手当の方法を、他の人にもお伝えしていく、「学び広める活動」です。小さなイベントやお話会、PTAやコンサートで、ちょっとづつ、お時間を戴き、命の大切さを広めていきませんかとお誘いをしています。また、地域のお祭りやマラソン大会、海のボートの大会、自動車レースを行なうサーキットなど、様々なイベントの会場で、ケガや突発事項に対処するための救護班を設置しましょうと働きかけ、お医者さんや看護師さんと一緒に救急法をできる方たちにもボランティアをしていただいています。

現在では、全国で様々な団体や学会と一緒にセミナーやイベントを盛り上げるためのお手伝いをしています。

応急手当や心肺蘇生法は習っても使わなければ忘れてしまいます。そこで2年に一回、更新ができるのですが、毎回同じ更新をしてもあまり楽しくありません。でも、習った知識を生かし活動をしようと思うと、自分から復習をするようになり、さらにいろいろな勉強ができ、横のつながりがどんどん増えていきます。現在は、JFASが全国でいろいろなイベントをつくり会員さんや地域の皆さんで活動を盛り上げてくださっています。一回のイベントから翌年には今度は地域が主体となって交流を広げていってくださるのでとても嬉しく思っています。

ファーストエイドソサエティの実際の活動1

ファーストエイドソサエティの大きな活動のひとつは、応急手当や心肺蘇生法、AEDの使い方などを学び広める市民活動です。一般市民向けの講座や講演会を開催するとともに、企業や専門学校、保育園や介護施設などにもお邪魔して人形を使った練習をしています。

救急法を教えている団体としては、消防署や日本赤十字社という大手の団体があります。それらの団体の講習はとても規模が大きく良いものです。ただ、ニーズという意味では小回りが利かない部分もあります。

たとえば、マタニティ教室では、これからパパやママになるカップルが和気あいあいと赤ちゃんの人形で人工呼吸をしたりケガの手当をしています。おなかの中の子どもに声をかけながら、子どもの体格や特徴を知り、それゆえに事故になりやすいことを理解し、その対処方法を学びます。これから産まれてくる家族を大切にしたいという想いで一杯の真剣な一面も見せてくれる、とても楽しいひとときです。

保育園や学童保育所などでの講座では、赤ちゃんや子どもサイズの人形を使ったり、子どもと大人が一緒に脈を測ったり、呼吸や体温を調べたり、心臓の音を聞いてみたり、という命の探検隊もとても好評です。

一方、建築会社や建設現場では、建築物ができていくにつれ、高い所から落ちたらどうしようとか、内装の塗料でフラフラッとしたらどうしようというように、具体的な現場を想定した対処方法を知りたいというニーズがあります。その特化された部分をしっかりと受け止めて、処置を学んでいく、その方法をお伝えしていく活動もファーストエイドソサエティには求められています。

専門学校ではスポーツトレーナーのための講座、ヘルパーやチャイルドマインダーのための講座などがあります。それぞれの講座で、勉強する救急法の幹の部分は同じですが、シナリオは大きく変わります。

そんな、活動をしているJFASですが、多くのメンバーは一般市民です。医師や看護師といった医療職についているわけではありません。もちろん看護師さんや救命士さんなどの資格を持っていたほうがいいのかもしれません。けれども、ファーストエイド(応急手当)というのは、予防もケアも一般市民が日常の生活の中で使う手技であり、家族や同僚を守るための技術です。

ですから、医療職というプロフェッショナルではない市民でも、自分たちが学んだことを、自分自身の言葉でみんなに伝えていこうという気持ちはとても大切です。そうした市民の皆さんのために、広めるための勉強会やトレーニングをもしています。もちろん、楽しく学んで、いざというときには慌てないで、しっかり対処できるようになることが、とても重要なことです。

学び、広め、楽しむファーストエイド。子どもたちに安心・安全・健康な社会を引き継いでいくために私たちが行なっているのは、こんな活動です。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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