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防災インタビューVol.1

行政が進める耐震診断、耐震改修

放送月:2006年12月
公開月:2006年12月

小川 富由 氏

国土交通省住宅局
建築指導課長

プロフィール

国土交通省の住宅局で建築指導課長をしております小川です。建物関係の安全などを中心にした仕事をずっとやっておりまして、阪神の震災の後からこの「建築行政」の仕事に取り組んでいます。

建築行政という仕事について

「建築行政」と言っても、なじみのない方には、どのようなことをやっているのか分かりにくいと思います。人々が起きて、仕事をしたり、あるいは寝たりということで、生活といいますか、人生のほとんどの時間は建物の中にいると思いますので、ですから建物の安全性や、建物が「町づくり」という意味でしっかりした環境になっているかどうかというのは非常に重要なことです。「建築行政」というのは、そういったことを扱う行政ということです。簡単に言えば、建物を造ったり維持管理していく際、あるいは壊していく際に、きちんと行政のほうでチェックをしていくという仕事になります。具体的には、建築基準法という法律によって建物の構造の基準を作ったり、火事や町並みの問題に対する基準やルールを作っている部署で、私の建築指導課ともう一つの課で、この法律の所管をしています。ただ、建物は日本中で造られているわけですから、実務は全国の自治体を中心に担っていただいていますし、実際には建物は民間の方が造っていますので、建築士の資格を持った方に設計をしてもらったり、工事の管理、チェックをしてもらうというような仕組みもあります。そういった民間のいろいろな資格者の参画を得ながら安全な建物を造っていく、町並みをそろえていくという仕事になるわけです。

特に町並みなどをめぐっては、地域やマンションの紛争など、いろいろトラブルも起こりがちな問題ですので、とても難しいものもあります。最近ですと、耐震偽装によって間違った計算書で造られたマンションの住人が、非常に心配されるというような問題も起こっております。そういう意味では、非常に重要ではありますが難しい部分もあるということが言えると思います。

最近ではアスベストの問題が発生しましたので、このアスベストをしっかり除却するためのルール作りをしました。これは非常に新しいものだと思います。しかしながら、まだきちんとアスベストを除却していない建物もありますので、全国的にどういう建物にアスベストが残っているかを調査して、それを半年ごとに、どれくらい除却できたかをトレースして発表しています。

建物の耐震基準とは

地震に遭ったときに建物が倒れないように耐震基準を決めていますが、現在ある基準というのは、地震に対して2段階になっています。まず建物が大体存続している期間、約50年ぐらいに1回は襲われるような震度5程度の地震ではびくともしない、壊れないということが求められるという基準が一つ。もう一つは、建物が存続している間に襲われるかどうかは分からないが、ごくまれに襲われる可能性もある震度6以上の大地震に遭ったとして、建物が壊れることが少しはあっても人命に関るような大きな壊れ方はしない。この2段階で今チェックをしています。木造住宅については、難しい計算をするわけではありませんので、コンクリートの建物で使うような難しい計算をより簡単にしまして、壁の量とか筋交いをどれくらい入れなければいけないかを決めています。

今の基準ができたのが昭和56年からです。十勝沖地震や宮城沖地震で、近代的な建物も壊れるということが分かって、そういう建物のウイークポイントをきちんとチェックしないといけないということで作られました。そして、非常に大きい地震に遭ったときも、致命的な壊れ方をしないかどうかをチェックするというのが新しく加わりました。それ以前は震度5ぐらいの地震で建物がびくともしないということさえ検証できれば、もっと大きい地震でも何とかもってくれるだろうという仮定で基準が作られていたわけです。今の耐震基準に合わない古い建物になると、もう1回チェックすることがどうしても必要だということになります。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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