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防災コラムVol.264

災害時の車中泊

公開月:2006年10月

2012年3月7日

震災時には、避難所での生活を避けたり、そもそも避難する場所が無く「車中泊」をするというケースがある。今回はその「車中泊」を実際に体験し、快適に過ごすポイントと避難先として適するのかを考えてみた。

2日間の車中泊

シートを倒した状態の車内

実施日:2012年1月27日~1月28日
実施場所:埼玉県東部
被験者:20代男性
使用車種:レガシィステーションワゴン(1998年製造)

【1日目】
外気温:-1℃ 車内気温:1℃
装備品:布団、羽毛布団、毛布、湯たんぽ

筆者は比較的寒さには強い方であると思っているが、冬なので寒さ対策として「湯たんぽ」を用意した。実際に寝てみると、身体を布団の外に出したり、隙間ができたりしなければそう寒くないと感じた。ただ、それが湯たんぽの効果であったことに気づいたのは2日目のことだった。 1日目に気になったのは、「車内独特の匂い」と「段差」だった。車内の匂いは、芳香剤などを使って慣れるしかないため、「慣れる」ことを選択し我慢した。また、段差があることによって、若干ではあるが胸部に痛みを感じた。途中で寝る向きを変えることで痛みを回避することはできたが、終始、違和感があった。この日は午前3時頃に布団へ入ったが、その違和感と普段と異なる環境であったこともあり、午前6時過ぎまで眠ることができなかった。

【2日目】
外気温:-2℃ 車内気温:0℃
装備品:布団、羽毛布団、毛布、マットレス

1日目に使用した「湯たんぽ」。実際の避難生活において使用できるかどうか分からないと思い、2日目は湯たんぽを装備から外した。これによって「湯たんぽの効果」というものをよくよく知ることになった。
車に乗り込み、布団の中に入った瞬間はまるで冷蔵庫に入った気分。とにかく布団の中が冷えきっていた。数十分後、布団内の温度もなんとか上がり快適にはなったが、そこまではガタガタ震える寒さだった。
ところが、結果的に2日目のほうが快適だった。それは、慣れたということもあるが、「マットレスの効果」が絶大だった。どれだけ転がろうとも痛みを感じることはなく、下からの冷気を防いでくれるためか、体感としては1日目より暖かく感じた。そうしたこともあり、2日目はすぐに眠りにつくことができた。

2日間を振り返る

寒さに関しては、その地域や個人の体質によって感覚がだいぶ変わってくるため、一度は経験してみると良い。そして、床を平らにすることが重要であると感じた。今回はフルフラットになる車を利用したが、そうでない車も多い。そういう場合は、板やダンボールを敷くことで床を平らに近づけることができるだろう。
結論としては、準備さえすれば十分に快適に過ごすことができると思われる。ただし、今回はあくまで単身の話であり、筆者の車で言えばギリギリあと一人寝られる程度のスペースしかない。実際に車中への避難を検討している方は、何人がそこに避難するのか、寝具をどうするのかなどを具体的に想定し、必要であれば装備を積んでおくと良いだろう。

車中泊に潜む危険

災害時だけではないが、車中泊には多くのリスクが存在する。運転席や助手席の座席を倒して、無理な姿勢で寝ていると「エコノミークラス症候群」を発症するおそれがある。発症を防ぐために、体を動かすなどして血流の流れをスムーズにする運動が必要だ。
また、寒さ対策でアイドリングをしながら暖房をつけていると、特に雪国ではマフラーが積もった雪で塞がれ、一酸化炭素中毒になってしまうという身体上のリスクなどがある。このほか、トイレの確保という問題もある。災害時にはトイレが使えないというトラブルが多く発生し、車上で生活しているとその問題もより顕著になるだろう。そのため、携帯トイレを装備しておくと良い。

車中泊をするには、これまで述べてきたような具体的な想定を事前に行う必要がある。

避難先の再検討

布団を敷いた状態の車内

今回は避難先の一つとして車中泊を紹介した。しかし、本コラムは車中泊を推奨するものではない。そもそもこの選択が可能な人は、車種や家族構成によって限定されるだろう。そして、前述したようなリスクも存在するため、あくまで十分な注意を払った上での選択肢の一つと考えて欲しい。

少しでも快適な避難生活を送ることができる場所はどこなのか。各人の最も適した避難先はどこなのか。本コラムをきっかけに考えていただければと思う。

 

(文・レスキューナウ危機管理情報センター 金子良太)

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