1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災コラム
  5. よりリアルなイメージを持てる「ARハザードスコープ」
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災コラムVol.259

よりリアルなイメージを持てる「ARハザードスコープ」

公開月:2012年1月

2012年1月25日

今回は、株式会社キャドセンターが開発したハザードマップの内容を実写の映像に合成することができる「ARハザードスコープ」を紹介する

宝の持ち腐れになっている紙媒体

ARハザードスコープ

まず、このコラムの読者である皆さんは「ハザードマップ」をご覧になったことはあるだろうか。ハザードマップとは、各自治体が発行している洪水・高潮・津波・火山・土砂崩れ等が発生した場合に、どの場所がどの程度の被害を受けるのかを想定して地図上に示したものである。インターネット上でpdfファイルとして公開されているものもあり、パソコンで見ることが可能だ。
入手方法としては、上記のようにネット上にアップされているマップをダウンロードして印刷するという方法が一つ。他には、自治体に置いてあったり、防災関連の冊子に収録されていたり、防災訓練等のイベントの際に配布されているものを手に入れるのが一般的だ。地域によっては各世帯へ配布しているところもある。しかし、日常生活のシーンで常に持ち歩いている人は少ないかと思う。

iPhoneで常に携帯可能

どのぐらい浸水するか実写の画面に合成して表示される

そんなハザードマップの弱点をサポートするのが「ARハザードスコープ」だ。これはハザードマップをiPhoneで見ることができるアプリケーションである。例えば浸水被害想定のハザードマップであれば、iPhoneの内蔵カメラで撮影した実写映像に、どの高さまで浸水するのかを表示してくれるというものだ。ちなみに「AR」とは、拡張現実(Augmented Reality)と呼ばれ、現実世界に対して、コンピューターグラフィックや動画などを付加すること、または、付加されたものをいう。 このアプリの開発者によると、ARは主にエンターテイメントの分野で利用されることが多かったが、東日本大震災の発生を機に、人の役に立つ防災分野での利用はできないかとの声が社内からあり、開発・商品化へ至ったという。では、実際の機能はどのようなものなのだろうか。

■「ARハザードスコープ」の機能

  • 浸水の高さをARで実写に合成:どのぐらい浸水するか実写の画面に合成表示する。
  • 自分がいる場所をGPSで自動表示:GPS機能をONにすると、今いる場所のハザード情報が表示される。
  • 多数のハザード情報を切り替え表示:津波・洪水・地震などの複数ハザード情報や避難所の情報を、必要に応じて切り替えて表示できる。
  • ズームイン・ズームアウト:ズームインすることで、詳細な位置のハザード情報を把握できるようになり、ズームアウトすることでより広範囲のハザード情報を確認できる。

上記のような情報を紙媒体のハザードマップで見るためには、複数枚を見比べ、なおかつ、凡例からイメージを膨らませるしかない。一方、このアプリを使えば多くの人が避難計画に有益な情報を把握することができる。

スマートフォンの必須アプリへ

「ARハザードスコープ」は、学術機関の研究・自治体の減災対策・教育機関の防災避難教育・地域の防災教育などのシーンで効果的な能力を発揮することを想定して開発された。加えて、個々人が自分の生活動線上の危険度を把握し、災害発生時に留まるべきか移動すべきかという行動の指針を持つのに有効である。また、画像でどの程度浸水するか分かるため、ハザードマップの文字が読めない外国人にとっても役に立つだろう。
このように考えると、このアプリは緊急地震速報と同様にスマートフォンに必ず入っているという状況になるのが望ましいといえるだろう。
開発者によると、今後はAndroidにも対応し、災害時に通信規制の影響を回避できるダウンロード版での提供を目指しており、本年度中の実運用に向けて、現在準備を進めている。

このアプリが全てのスマートフォンで導入されるようになれば、災害発生時のイメージをつかみやすくなる。このアプリを利用することで、浸水などの被害想定が不足していたために被災するという事態を避けられるよう期待したい。

 

(文・レスキューナウ危機管理情報センター 金子良太 取材協力・株式会社キャドセンター)

copyright © レスキューナウ 記事の無断転用を禁じます。

会社概要 | 個人情報保護方針