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防災コラムVol.256

なぜ多い?大雪による死亡事故

公開月:2006年9月

2012年1月4日

内閣府と国土交通省は、学識経験者や地方公共団体などと連携し、豪雪地域の防災力向上に向けた中間とりまとめを公表した。

大雪が降るたびに多くの死者が・・・

東京都教育委員会作成「災害の発生と安全・健康~3.11を忘れない~」

2011年12月中旬~下旬、日本列島には強い寒気が度々流れ込んできた。この影響で、日本海側を中心に大雪となり、新潟空港(新潟県新潟市東区)では除雪作業のため滑走路が閉鎖され、多くの便で欠航や遅延が発生した。
国土の約51%が豪雪地帯といわれている日本。そして、2010年度の大雪では131人が死亡、「平成18年豪雪」では死者・行方不明者152人を出すなど、大雪が降るたびに多くの被害が出ているという現実がある。
こうした被害をできるだけ軽減するため、2011年12月、内閣府と国土交通省では、学識経験者・地方公共団体などと連携し、豪雪地域の防災力向上に向けた中間とりまとめを公表した。

高まる高齢者のリスク

冷蔵庫などに掲示して、家族が日常的に目を通す工夫も必要

今回の中間とりまとめによると、2010年度における死者全体の81.7%が、除雪作業中の事故で亡くなっていたことが分かった。死亡原因を詳しくみると、屋根からの転落(はしごからの転落を含む)で40.5%、屋根からの落雪で16.8%、水路への転落で9.9%、除雪に伴う心筋梗塞などの発症で7.6%、除雪機による事故で5.3%の方が亡くなっている。そして、特筆すべきことは、死者全体の65.7%が65歳以上の高齢者であるという点だ。つまり、体の自由が利く若者に除雪作業を依頼できないことで、やむを得ず高齢者が作業を行うことが、死者数を増やす要因のひとつとして考えられる。なお、豪雪地帯といわれる新潟県津南町の高齢化率は36.0%(2011年3月31日現在)、長野県栄村では46.5%となっている(2011年10月1日現在)。
高齢化が進めば進むほど、除雪作業中の事故で高齢者が死亡するリスクは高まるともいえる。

複数人で作業をしない・できない

除雪作業は複数人で行うことが原則である。事故が起きた場合、すぐに救助できる態勢をとることが可能だからだ。今回のとりまとめでも、発見が遅れるほど死亡する可能性が高まることを指摘している。また、国土交通省が行ったヒアリング調査によると、毎年の作業による「慣れ・過信・慣習」から、除雪作業の危険性を十分に認識できていないことが、事故の発生につながっていることが分かった。一方で、「家族は仕事などで日中外出している」・「特に雪が多い地域であるため、近隣は皆それぞれ自宅の除雪作業で手一杯である」・「近隣に除雪を頼める若い人がいない」などの理由から、除雪作業を一人でせざるを得ない状況もあることが分かった。

事故に遭わないための対策

以上のような少子・高齢化や個人の意識といった課題を解決していくことが、除雪作業中の死傷事故を減らすことにつながっていくのである。しかし、少子・高齢化の課題はすぐに解決できるようなテーマではない。やはり個人の意識を変え、事故対策を徹底的に行うことが一番の近道ではないだろうか。参考までに、除雪作業中の事故防止対策について、以下の通り列挙してみた。(「平成22年度の大雪の教訓を踏まえた今冬期に向けた緊急提言」より作成)。

1)複数人で作業
複数人で除雪作業を行うことが原則。親族に依頼できない場合は、隣近所の住民や地域コミュニティなどと協力し合って作業を行う。
2)携帯電話の携行
緊急時の連絡手段として携帯電話を携行する必要がある。事故が発生した際に、負傷者自らが携帯電話で通報し、救助された例もある。
3)慣れや油断には注意
毎年の作業であるため、屋根の上にのぼることが危険であるという意識が薄れがち。1階の屋根から転落して死亡することもあることから、常に油断をせずに作業を行う。
4)命綱・ヘルメットの着用
地面に転落しないように命綱を着用する。また転落した際に頭部を守るためのヘルメットも着用することを徹底する。
5)はしごの固定
はしごの上部と足下をしっかり固定させる。また、はしごは、軒先より60cm 以上長く、屋根に対して真っ直ぐ、かつ、決められた角度(約75°)でかける必要がある。
6)気温上昇時、好天時に注意
気温が上昇すると、屋根雪がすべり落ちやすくなる。軒から水が滴り始めたり、雪が動く音がしたら注意。また、つららの落下や落雪に注意。
7)水路等の危険箇所の把握
水路転落事故の死因の69%は溺死・心臓麻痺。転落してから助けを求めることは難しい。水路のある場所をあらかじめ把握し、積雪時にはその周辺に近づかないことが必要。
8)除雪機のエンジンはこまめに切る
除雪機に体の一部を巻き込まれてしまうケースが多い。しっかりエンジンを止めて棒などで雪を取り除くようにし、こまめに作業の安全を確認。
9)無理な作業はしない
寒い屋外での重労働であるため、こまめに休憩をとりながら雪処理を行う。体調がすぐれないときは周囲の住民に協力してもらうことも必要。

このほか、除雪作業をボランティアで行ってくれる団体もある。また、山形県や秋田県では、気象台のデータを基に「雪下ろし注意情報」を発表し、雪下ろし中の事故や落雪に注意するよう呼びかけている。高齢になった親族の代わりに、子や孫といった若い世代が、こうした情報を収集することも必要だ。事故防止のためには、世代間同士で協力する姿勢も求められる。

 

(文・レスキューナウ危機管理情報センター)

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