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防災コラムVol.250

冬の登山を楽しむために

公開月:2006年9月

2011年11月16日

晴天が多い冬の太平洋側でも山は全く様相が異なる。標高が低い山でも低温・強風・積雪などに注意して万全の態勢で登山を楽しもう。

空前の登山人気…しかし油断は禁物

団塊の世代を中心とした中高年層の間で登山の人気が高まって久しい。また、最近では、2007年の「ミシュランガイド」に高尾山(東京都八王子市)が三ツ星観光地として選定されたことや、ファッショナブルなウェアを身にまとって登山に出かける若い女性「山ガール」が2010年の新語・流行語大賞にノミネートされ注目を集めるなどしたことから、大都市近郊の山々には従来の中高年層のみならず、若者や外国人なども数多く訪れるようになった。
中部山岳などの標高の高い山々は登山に日数もかかり、厳しい自然環境に対応するための体力や装備が必要となってくるが、東京近郊の山(奥多摩・丹沢など)や大阪近郊の山(六甲山地・生駒山地など)は、現地までの交通の便も良く、登山道もよく整備されており、手軽に豊かな自然に触れられることから世代を超えて人気が高い。
東京・大阪の大都市近郊の山は太平洋側に位置しており、年間を通して登山が楽しめることも人気の一つである。特に標高の低い山々では、夏は気温が高く、日差しも強いことから登山には不向きであるため、むしろ晴天日の多い冬の方が歩きやすいくらいである。しかし、いくら晴天日が多いとは言え、山を平地と同じように考えてはならない。冬特有の登山における注意点を考えてみよう。

まずは低温と強風から身を守ろう

標高が低い山でも低温・強風・積雪などに注意が必要

冬山で最も注意すべき点は、低温と強風による体温の低下である。
一般に、標高が100m上がるごとに気温が約0.6℃低下すること、また、気温とは別に、風速が1m/s増すごとに体感温度は1℃低下することが知られている。例えば、標高0mの地点で気温10℃の場合、標高1000mの地点では6℃下がって気温は4℃となる。さらに、ここで10m/sの風が吹いていた場合、体感温度は10℃下がって氷点下6℃として感じることになる。山では、尾根のように周囲に樹木など遮るものが全くない場所が多く、こうした場所では、季節風の強い冬は吹きさらしの状態となるため、たとえ日差しがあったとしても体感的にはかなり寒く感じてしまう。
低温により体力を奪われないためにも、ニット帽や手袋を付けるなどして肌を露出することは極力避けるようにする。また、歩いて汗ばんできた際にはすぐ脱ぐなど、その場の体感に応じて脱ぎ着できるようにしておきたい。そのためにも、軽く吸汗速乾性の高い衣服を身に付け、重ね着で体温調節をすることが大切である。

積雪・凍結…足元にも注意

転倒による捻挫などのけがを防ぐためにも、靴は底が厚く、足首まで覆うものを選ぼう

冒頭述べたように冬の太平洋側は晴天日が多いが、この晴天をもたらす冬型の気圧配置が長続きしなくなる2月から3月にかけての春先になると、本州の南岸を低気圧が通過するようになり、この際に東京など太平洋側の平野部でも雪が降ることがある。平野部では数センチ程度積もって、数日経てば消えてしまうような雪も山に入れば一変する。
筆者はかつて3月下旬に東京・奥多摩にある川苔山(標高1363.3m)に登ったことがあるが、沢伝いに続く登山道が、南側の斜面を歩いている時はごく普通の登山道であったのが、北側の斜面に回り込んだ途端、一面の雪景色に変わっていて驚いた経験がある。しかも、あまりの雪の多さで登山道が消えており、最後は膝上まで雪に埋もれながらようやく尾根にたどり着いたという有様で、山の怖さを改めて実感させられた。
このように、東京近郊の山でも春先は雪が降り、しかも平野部が雨でも標高の高い山は気温が下がって雪になることがしばしばある。また、日差しの当たらない北斜面は南斜面と異なり、雪が長く残りやすい。東京近郊でも標高1000mを超えるような山に春先に入る場合は軽アイゼンを携行することを薦めたい。
また、標高1000m以下の山でも、夜間の冷え込みで登山道は凍結する。尾根では日差しで日中は融けても少し日陰に入れば日中でも凍結しているため、足元は非常に滑りやすくなる。捻挫を防ぐためにも、低山であっても足首を覆うような登山靴を必ず用意し、登山道では歩幅を短くしてゆっくり歩くなどして怪我のないようにしたい。

 

(文・レスキューナウ危機管理情報センター 水上 崇)

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