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防災コラムVol.228

グラフで見る東日本大震災(被害編)

公開月:2006年8月

2011年6月1日

東日本大震災について、その特徴の一端を明らかにするため、人的被害の推移などをグラフ・表にまとめ、他の震災との比較を行った。(※文中の「図―1」・「図―2」・「表」はリンクよりご確認ください。)

被害状況と震災の特徴

福島県いわき市四倉町の津波被害の様子

レスキューナウでは、東日本大震災の発生を受け、被害状況の収集と配信を行っている。今回の震災について、その特徴の一端を明らかにするため、人的被害の推移などをグラフ・表にまとめ、他の震災との比較を行った。東日本大震災の人的被害は、5月29日現在、死者15,269人、行方不明者8,526人、負傷者5,363人となっているが、今回の震災の大きな特徴として負傷者の割合が少ないこと、行方不明者の捜索に時間がかかっていることの2点が挙げられる。

負傷者の割合が少ない

※図-1※図-2を比較すると、阪神・淡路大震災(1995年)では、死者よりも負傷者のほうが多く、東日本大震災では負傷者の割合が少なくなっている。過去の国内における地震災害の人的被害は下記の通りである。

  • 阪神淡路大震災(1995年):死者6,434人/負傷者43,792人
  • 新潟県中越地震(2004年):死者68人/負傷者4,172人
  • 新潟県中越沖地震(2007年):死者15人/負傷者2,346人
  • 岩手・宮城内陸地震(2008年):死者・行方不明者23人/負傷者426人

 

  • 日本海中部地震(1983年):死者104人/負傷者163人【津波あり】
  • 北海道南西沖地震(1993年):死者・行方不明者230人/負傷者323人【津波あり】

以上のように、いずれの災害も死者・行方不明者より負傷者の方が多い。なお、死者・行方不明者が負傷者を上回る事例としては、インド洋に大津波をもたらしたインドネシア・スマトラ島沖地震(2004年)の、死者・行方不明者28万人、負傷者13万人の例がある。

津波による人的被害の特徴

※表「過去の震災の死者不明者と負傷者の比率」のように、震災によって被害の状況は異なるが、大まかにわけると、津波被害のない震災は負傷者の割合が大きく、津波被害が大きい震災は負傷者の割合が少なくなる傾向がある。上記の津波災害の特徴から津波に巻き込まれてしまった場合、生命が助かる可能性は低く、有効な対策は早期の避難しかないと言える。震災後、現地に赴いた弊社特派員によると、津波が到達していない高台の地域では、住宅の被害が軽微だったほか、墓石なども倒れていなかったことが確認できており、津波の被害に比べて地震の揺れによる被害は少なかったものと見られる。

行方不明者の多さ、捜索期間の長期化

今回の震災では最大で17,000人が行方不明となり、震災から2ヶ月後も1万人以上が不明となっている。阪神・淡路大震災では一時的に1,000人超が行方不明となったが、一ヵ月後の2月16日には2人となるなど捜索が進んでいた。一方、2004年インドネシア・スマトラ島沖地震による大津波の際は、地震から1ヶ月の時点で死者15万人、行方不明者13万人であることから、大規模な津波災害では行方不明者が多くなること、捜索に時間がかかり被害の全容の把握に時間がかかるといっていいだろう。

捜索の遅れるさまざまな理由

JR常磐線四ツ倉駅(福島県いわき市)の様子

捜索に時間がかかってしまう理由として、太平洋沿岸の広い地域で被害が発生したこと、津波に巻き込まれた人が自宅などから離れた場所へ流されてしまったこと、浸水地域にガレキやヘドロが堆積し、その下に犠牲者が取り残されている可能性があることなどがあげられる。また、日本では独自の対応として、犠牲者をきれいな状態で遺族に返すため、重機を使用せず、手作業による捜索を中心に据えていることもあげられる。そして、今回の震災では東京電力福島第一原子力発電所事故が発生した。これまでの震災とは一線を画す事態であり、原発から半径20キロ圏内では地震発生から4週間にわたって捜索が行われなかった地域もあった。その後、捜索が始まった後も放射性物質の付着や体内への取り込みを防ぐ為、防護服を身に着けなければならないなど、実際に捜索に支障が出ていおり、今後、気候が暖かくなれば熱中症のリスクも懸念される状況である。

今後は体調面と心のケアが重要に

行方不明者数の推移を見る限り、捜索が順調に進んでも7月半ばまでかかるものと思われる。すべての不明者が早期に見つかり、遺族のもとに帰ることを望むものの、過去の津波災害では、捜索が打ち切られるケースもあった。
今回の震災のような長期化が避けられない状況の中で懸念されるのは、捜索を担う警察官・自衛官や、震災で親族が行方不明のままになっている残された家族の方の肉体的・精神的負担である。捜索が長期化し体調を崩す方が増えれば、復旧・復興が遠ざかってしまうことになる。今後、行政・医療関係者・ボランティアなどによる長期的な支援と心のケアの重要性が一層高まっていると言えるだろう。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター 大脇桂)

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