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防災コラムVol.223

CSR型避難誘導標識「しるべにすと」が次のステージへ

公開月:2011年8月

本コラムでも過去2回にわたって紹介してきた、CSR型避難誘導標識「しるべにすと」がさらに進化した。

改めて「しるべにすと」とは?

デジタルサイネージ型へと進化した「しるべにすと」

地下街や、商業施設の管理者は、施設で火災が発生した場合などに、利用者を安全に避難させなければならない。消防法では、過去の火災事故を教訓に消火設備(スプリンクラー)や誘導灯・誘導標識(いわゆる非常口マーク等)を設置する義務を課している。しかしながら、そうした設備を維持・管理するのはコストもかかり、容易ではない。
「しるべにすと」はCSR型避難誘導標識という説明書きのとおり、企業のCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)広告予算によって、高輝度蓄光式誘導標識の設置費用を賄おうというモデルである。
2009年5月から「しるべにすと」が設置されている、大阪梅田地下街「ホワイティうめだ」(ノースモール1・2およびプチシャンエリア)では、現在の標準仕様である、誘導標識、位置情報番号、企業広告が3つセットになったパネルを実際に見ることができる。
誘導標識、位置情報番号は、高輝度の蓄光材のパネルになっており、停電になっても避難方向の矢印が視認できる。
ホワイティうめだに「しるべにすと」が導入されるまでにも、地下街と言えども、その上を通る道路の占用許可が必要であったり、企業の広告予算による高輝度蓄光式誘導標識の設置が、施設管理者への寄付行為とならないかといった企業会計上の問題をクリアするなど、数々の困難な問題があった。そうした局面を乗り越えて、「しるべにすと」は設置されているのだ。

その「しるべにすと」がさらに進化した

火災などの緊急時にはディスプレイ部分で避難経路を表示

「しるべにすと」プロジェクトを展開する、株式会社リソウズ(本社:大阪府大阪市、代表取締役:吉川弘高 氏)では、現仕様の「しるべにすと」は、無電源で設置も簡単であるが、火点(出火した場所)によっては、避難誘導する方向が異なるケースもあるのではないかと、かねてから述べていた。その問題点を新バージョンの「しるべにすと」では解決した。
新しい「しるべにすと」は、最近耳にするようになった方も多いと思うが、ズバリ、「デジタルサイネージ型」だ。既存仕様の「しるべにすと」の下段企業広告の代わりに上部に12インチ程度のカラー液晶ディスプレイが付いている。デジタルサイネージ(Digital Signage)とは、電子看板と訳され、公共交通機関や商業施設、自動販売機等で、広告や案内を表示するディスプレイのことであり、タッチパネル式でメニューを操作できるタイプのものもある。今や、おなじみの情報表示技術になりつつある。平常時は、企業の広告を流すことができ、火災などの緊急時には、避難経路をディスプレイで表示する。ディスプレイ表示は、火災報知機の作動状況をもとに切り替わる。つまり、防災センター担当者が手動切り替えしなくても、自動で情報の切り替えが可能となる。また、「しるべにすと」本体には人流センサーが内臓されており、地下街の通行量・混雑度・動線を計測することができる。そのため、施設管理者側ではリアルな人の流れに基づいた「避難誘導計画」を策定できるほか、蓄積したデータを地下街の顧客分析や消費行動解析に役立てることもできる。
なお、懸念されるデジタルサイネージ部分の電源は、充電式電池を搭載しており、安全に避難が完了する時間を考慮し、停電状態となっても4時間表示し続けることが可能。内蔵電池の交換コストもCSR広告予算内で賄うことを想定している。

緊急時には端末の両サイドに取り付けられている青色LEDが点滅。暗闇でも「しるべにすと」の設置場所を確認できる

以上のように進化した「しるべにすと」。その進化ぶりを検証するため、2011年2月26日深夜、※1大阪梅田地下街で実施された実証実験に立ち会ってきたが、その模様と結果については次週のコラムでリポートする。 ※1 この実証実験は、「経済産業省 平成22年度新規産業創造技術開発費補助金 中小企業等の研究開発力向上及び実用化推進のための支援事業」の一環として実施された。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター 三澤裕一 / 取材協力・株式会社リソウズ)

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