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防災コラムVol.220

東北地方三陸沖でM9.0の地震!―そのときどうするのか。

公開月:2006年8月

2011年3月23日

2011年3月11日14:46頃発生した東北地方太平洋沖地震によって、多くの人命や財産がなくなった。また、原子力発電所が停止したことにより、東北、関東では電力供給量が不足している。計画的に停電を行って、電力の需給を保つなど、経済活動にも大きな影響が出ている。亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、こうした未曾有の危機的状況を乗り切り、被災者の皆様のいち早い救援と復興を願い、支援していくことが我々にできる唯一の鎮魂なのではないかと考える。

センセーショナルなタイトルのわりには・・・

2011年3月11日14:46頃、三陸沖、牡鹿半島の東南東130km付近を震源とする、M(マグニチュード)9.0という観測史上最大、世界でも4番目という超巨大地震が発生した。被害の状況が日に日に明らかになるほど、その破壊力の凄まじさに言葉を失うばかりだ。「地震大国」日本において、地震が発生したそのとき、一体私たちには何ができるのだろうか?
現状、地震発生後において私たちにできることは少ない。お読みいただいている皆様にお叱りを受けそうであるが、これが事実であるということをまず実感しておいて欲しい。
それよりも、地震が起こる前、事前にできることをやっておく。これが一番であることを忘れてはならない。とはいえ、実際に地震があった際には、どのように行動すべきなのだろうか?

チェック1.まずは身を守ること

今回の地震では、東京都内でも震度5強の揺れを観測した。以前体験した地震の疑似体験をできる起震車そのもののような横揺れに長時間頭を揺すられ、思考が正常に働かないような状況だった。おそらく、宮城県、岩手県などの震源に近い地域では、テレビや炊飯器といった比較的重量のある家電製品や、書籍、調度品なども襲い掛かるように飛んできたのではないかと推測される。
こうした状況からも、事前の家具や家電製品の固定はもちろんだが、落下物、飛散物から身を守るため、テーブルの下などに隠れたり、クッションで頭を覆うなど、「負傷しないこと」がまずは第一優先であるということを心得たい。
しかしながら、激しい揺れに襲われた場合、身を守ることすらままならない場合もあるだろう。直下型の場合は間に合わないかもしれないが、緊急地震速報によって、揺れがくることを知ることができれば、避難路の確保をするためにドアを開けるなど、対応できることの選択肢は増える。
なお、「地震だ、火を消せ!」という標語を習った方も多いかもしれないが、今はこの対応は必ずしも正しくない。家庭用の都市ガスやプロパンガスは、揺れを検知すると自動的に遮断されるようになっており、激しい揺れの中、慌てて火を消しに行って火傷を負う方が危ない。仮に火が出たとしても、初期消火を行えば、火災につながるような事態にはならない。

チェック2.揺れが収まったらすぐに高台へ避難

岩手県大槌町の様子(撮影:レスキューナウ災害特派員 冨田きよむ)

津波の恐ろしさを目の当たりにした今回の地震では、津波による被害が私たちの想像を明らかに超えたと言える。航空写真を解析した結果では、岩手県の陸前高田市で津波が20mの高さに及んだのではないかと専門家は分析する。1階あたり3mとすると、なんと7階建てのビルに相当する高さだ。
三陸地方は、過去にもたびたび津波に襲われている。いわゆるリアス式海岸という特殊な地形が、津波の高さを増大させてしまうのだ。明治三陸地震(1896年)、昭和三陸地震(1933年)でも津波によって被害を受けた三陸地方には、「津波てんでんこ」という言い伝えがある。「てんでんこ」とは、てんでんばらばらという意味のこの地方の言葉で、地震の後には津波が来る。親や兄弟などにも構わず、ひとりひとりがとにかく高台に逃げなさい。ということを教えたものだ。
実際に津波を体験したことが無い世代は、正常化のバイアスというものが働くことがあるので、仮に小さな揺れだったとしても、津波への警戒を怠ってはならない。
また、津波は第1波が押し寄せた後、引き波が起き、そしてまた津波が押し寄せる。こうして、繰り返し津波が発生するため、津波の第1波が来たからといって安心してはいけない。第2波以降の津波が第1波より高くなる場合もあるということを覚えておきたい。今後の世代には「津波てんでんこ」の教訓が活きることを切に願う。

チェック3.余震による揺れや津波にも警戒

ひとたび地震が発生すると、本震時に解放されきれなかったエネルギーが放出されることが原因とされる余震が繰り返し発生する。今回の地震でも繰り返し強い余震が非常に広い範囲で発生し、まだ予断を許さない状況だ。本震で亀裂が入った建物が、余震で崩れることがあり、そうした建物などに近付いて被災することは絶対に避けたい。
また、前述の津波も余震時に発生しうるものだ。今回の地震では、大津波警報(高いところで3m程度以上の津波が予想される場合に発表)、津波警報(高いところで2m程度の津波が予想される場合に発表)、津波注意報(高いところで0.5m程度の津波が予想される場合に発表)がすべて解除されたのは、丸2日以上経ってからだった。

チェック4.過去の被災者の経験からイメージする

岩手県大槌町の様子(撮影:レスキューナウ災害特派員 冨田きよむ)

危険が去った後、次に携わるべきは、救援活動だ。災害対策は、自助(自ら、あるいは家族が助けること)、共助(隣人や通行人が助けること)、公助(救急隊、自衛隊が助けること)であり、一般的にその割合は、7:2:1と言われている。自らが無事であるという大前提に立ち、近隣の建物が崩壊している場合には、救助活動に携わることになる。このとき、必要な道具が無いことに気付くだろう。
がれきを取り除くための手袋、砂ぼこりを吸い込まないためのマスク、がれきを割るハンマー、木材を切るのこぎり、隙間を作るためのジャッキなど、一般の家庭に無いものが多いのではないだろうか。もちろんそれらの工具があるにこしたことはないのだが、今あるもので代用できるものもあるはずだ。これはまさにイマジネーション(想像力)が必要と言えよう。
イマジネーションを磨くためには、やはり過去の被災者の経験に頼ることになる。
首都圏では、東京ビッグサイト近くの東京臨海広域防災公園内にある、防災体験学習施設「そなエリア東京」、関西地区では神戸の「人と防災未来センター」などで、被災時のちょっとした工夫を学ぶことができる。

チェック5.地震対策の基本に戻る

阪神・淡路大震災でも、建築基準法が改正された1981年以降の建物被害は、比較的少なかったことが報告されている。
建物の倒壊が一番の凶器であり、重い家具や家電製品による圧死も死因として割合が大きい。まずは、建物自体の補強、家具、家電製品の固定をやっておきたい。
飲料水や備蓄食料も重要ではあるが、命を落としてしまってはそれらを口にすることもできない。普段から食料のストックを少し多めにしておくということでも十分対策ができているといえる。

災害対策に100点満点はあり得ない。これまで「やれることからやっていく」と、機会がある度に伝えてきたが、果たして本当によいのだろうか。しかし、いつ襲われるかも分からない地震・津波災害に対して、私たちにできることは、やはり目の前のことからやっていく以外に他ならないのである。

(文:レスキューナウ危機管理情報センター 長越敬直)

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