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防災コラムVol.208

災害救助犬との触れ合いイベント

公開月:2006年8月

2010年12月15日

2010年11月23日、“災害と犬”をテーマにした『災害救助犬フェア』が東京で開催された。犬を飼っている人が日ごろから備えておくべきことを知り、また、災害救助犬という存在やその能力と活動を目の当たりにすることができる貴重な機会となった。今回は、このイベントをレポートする。

20頭もの災害救助犬が集結!

巧みな障害演技

“災害救助犬”というとテレビのニュースや防災イベントなどで垣間見る程度で、その姿を実際に見られる機会は多くない。ましてや、一般の人向けに、全国規模の4団体から20頭もの災害救助犬が一同に集まって、災害救助犬とは何か?ということから、実際のさまざまな模範演技やその解説まで見聞きできる「災害救助犬イベント」なるものは、今までなかったかもしれない。
東京有明に今年の7月オープンした『東京臨海広域防災公園』。このコラムでも2度紹介したことがあるが、首都直下地震に備えて政府と東京都が整備した防災拠点施設で、いざというときに政府の中枢機関のひとつとして機能する。平時は、防災啓蒙(けいもう)の拠点と憩いの場として一般開放されている。この場所で、災害救助犬に関する認識を高め、その育成と普及を促進することを目的とした「災害救助犬フェア」が開催された。

災害救助犬とは?

木箱の中に人を発見!

災害救助犬は、もともとはスイスをはじめとした欧州の山岳で遭難者を探すために訓練育成され普及してきた。今回のイベントでは、日本における災害救助犬の育成の草分け的存在である、NPO法人災害救助犬ネットワーク顧問の坂井貞雄氏へのインタビューにより、災害救助犬の歴史や概要が説明された。
災害救助犬といえば大型犬のイメージが強いが、実は、狭い場所に入って探索する場合などに小型犬も活躍している。訓練士などのプロが育成している救助犬もいるが、一般に飼われている犬が訓練されて災害救助犬になっている場合も多い。
特定の臭いをかいで、地面についたその臭いを探し当てながら追跡する警察犬に対して、災害救助犬は、空気中にある不特定の人の臭いをかいで探し当てるという違いがある。そのため、地震の際に瓦礫に埋もれた人を探し出すだけではなく、台風や豪雨などの災害でも行方不明者を探したり、山歩きでの行方不明者を捜索したりすることも可能だ。

模範演技に来場者から拍手喝采

犬連れの家族でにぎわった

災害救助犬の模範演技は、4つの団体がそれぞれ1つの分野を担当し、求められる能力を4つに分けて解説を交えた演技で紹介された。
1つめは、NPO法人災害救助犬ネットワークによる脚即(きゃくそく)歩行と呼ばれる「服従演技」。災害現場で活躍するためには、指導手の言うとおりに規律正しく行動できることが必須。6頭の救助犬がそれぞれ指導手にぴったりと寄り添うかのように歩き、走り、止まり、座り、伏せる演技は圧巻だ。しかも、どの犬も指導手の顔をじっと見て、うれしそうに演技しているのが印象的だった。
2つめは、NPO法人日本救助犬協会による遠隔操作と呼ばれる「服従演技」。災害現場では、指導手と離れて救助犬だけが瓦礫の上や中に入って行くので、離れても指示に従えることが求められる。まずは、指導手から20m程度離れたところで2頭の救助犬が、その指示によって待つ・座る・立つなどの動作をした。さらに、呼ばれると指導手のもとに走り寄り、指示に従って右奥の角地に行き、次の指示で今度は左奥の角地に行き、そして戻ってくるという優れた演技を見せた。
3つめは、社団法人ジャパンケネルクラブによる「障害演技」。災害が起これば、瓦礫などで歩行が困難な場所を捜索活動する必要があることから、シーソーやハシゴ、幅跳びやトンネルといった障害物を難なくこなして歩行できる能力が披露された。
そして4つめは、全日本救助犬団体協議会による「探索の演技」。いよいよ災害現場で実際に臭いをかいで人を探索する活動の演技だ。3つの木箱のうちの1つに隠れた人を、臭いをもとにかぎ当てる様子が披露された。1頭の救助犬が、見事に人が隠れている箱の前で吠えて知らせると、続いてもう1頭の救助犬が確認のためにぞれぞれの箱をかぎ分け、再び同じ箱の前で吠えたところで確認完了。隠れている人を確実に見つけ出すその有能さは、来場者を驚かせた。

どの団体の演技披露に対しても、会場からは大きな拍手がわきおこり、初めて目の当たりにする災害救助犬の活動に賞賛の声が上がった。

愛犬のために備えておこう

会場では、いざ地震が来たときに愛犬を守るための5つのポイントが説明された。

1) 犬の世話をする飼い主自身がまず被災しないこと、これが大前提。
2) 地震のときの犬の安全を確保。犬がよくいる場所のまわりに倒れやすいものはないか?
3) 犬のための備蓄。リードや食べ慣れた食料、常用薬などを備蓄する。
4) 迷子にならないために、鑑札かマイクロチップをつけておく。
5) 避難生活を見越して、他人にも受け入れられるよう基本的なしつけをしておく。

それから、災害の際に離ればなれになってしまった犬、日ごろからの迷子犬などを保護し、飼い主や新たな飼い主を見つけていく里親会の紹介があった。
イベントの終盤には、救助犬を育成している訓練士による無料しつけ教室が催され、33頭の愛犬と飼い主たちが参加して、好評を博した。なかには、愛犬についての悩みなどを真剣に相談する様子も見られ、終始なごやかな雰囲気で幕を閉じた。

『災害救助犬フェア』は、これが1回目であったが、来場者からは「災害救助犬の活動を初めて見ることができた」、「いろいろな犬を見ることができておもしろかった」、「愛犬の防災を考えて準備をしようと思う」、「また、開催してほしい」などの声が聞かれ、今後も継続的な開催が期待される。

(文:レスキューナウ 市川啓一)

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