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防災コラムVol.207

消防団員を増やそう!-南アルプス市商工会の取り組み

公開月:2006年8月

2010年12月8日

地域防災の核として位置づけられる消防団。しかし、消防団員の人数は全国的に減少している。そんな状況を打開すべく立ち上がった、ある地元商工会の活動に注目が集まっている。

減少傾向にある消防団員

参加加盟店に掲示される「消防団員サポート店」のステッカー

「消防団」は、地域の防災を支えている。これまでに発生した大きな災害でも、その存在は大きかった。信濃川水系の五十嵐川などで堤防が11か所決壊し、15人の死者を出した2004年7月の「新潟・福島豪雨」では、地元の消防団が決壊前に河川の水位警戒・住民の避難誘導にあたり、決壊後は住民の救助活動を行った。その後も土地勘を生かし、応援にきた緊急消防援助隊の現地コーディネータ役としても活躍した。まさしく地域に根付いた消防団だからこそできた活動で、災害のさまざまな場面において重要な存在となっている。
しかし、戦後は全国で約200万人いた消防団員の数は年々右肩下がり。『平成21年度 消防白書』によると、2009年では約88万5,000人までに減少している。要因としては、消防団員の活動負担が大きいこと、地域社会の帰属意識の希薄化、若年層の人口減少などが挙げられる。

消防団員を増やす活動を始めた商工会

クーポンでサービスを受ける消防団員

そんななか、山梨県南アルプス市商工会(以下、商工会)の「消防団サポート事業」(以下、サポート事業)が注目を集めている。この事業は、商工会で募集した78の企業や商店が「消防団員サポート店」として、下記のような消防団員限定のサービスを提供するというものだ。

【飲食店】
・麺類大盛り・中盛りをサービス、デザートまたはコーヒー5%割引、会計時に割引サービス
【ガソリンスタンド】
・1リットルあたりの料金を割引、洗車などの作業料金割引
【住宅】
・住宅リフォームに関するプランニング無料、着工時料金優待

これらは特典の一部であり、サポート事業に参加している各企業、商店がさまざまなサービスを用意。このように、特典をつけることで消防団員への加入者数促進を図り、地域の安全を守ろうと活動している。

「課題」が結びつけたサポート事業

前述のように、全国的な消防団員数の減少傾向は南アルプス市も例外ではなかった。町村合併した2003年度で756人いた団員数が、2010年では732人までに減少。後任が見つからないことから、任期(5~6年)を全うしても引退できず20年以上勤める団員もいた。
また、商工会においても商工業者の後継者不足・経営者の高齢化・大型店舗の進出などによる商店街の衰退などで、商業環境は年々厳しくなる状況に頭を悩ませていたという。

こうした状況下の2010年4月、南アルプス市消防団の団長と副団長から商工会長に、ある協力依頼の相談があった。それは、「商工会と連携し、団員に何らかのメリットを付加する事業ができないか」というものであった。

この依頼を受け商工会では、役職員で対応を協議し、「地域と協働すること」が商工会の基本目標であることから、消防団員の確保と商工会員事業所の双方にメリットがある「消防団員サポート事業」の仕組みをつくることを決定。その後、商工会は会員の事業所にサポート事業の趣旨を案内し、消防団員サポート店への登録を呼びかけた。また、消防団では消防団員証や、事業所に掲げる消防団員サポート店のステッカーなどの作成を行い、2010年9月、ついにサポート事業が始動した。

地域防災力向上のヒント

サポート事業が始動すると、地元新聞社やテレビの全国放送でこの新たな取り組みが紹介された。すると、全国の市町村や商工会関係者から事業内容に関する問い合わせが数多く寄せられ、また、サポート店も地域に貢献しているお店として市民から評価されて、新規顧客の確保にもつながったという。
商工会では、消防団員が利用できる店を更に増加させ、登録店が目立つようするために、来年度に向け消防団と連携して目立つ“消防団サポート事業所の幟(のぼり)”を作成し、サポート店に配布する計画で準備を進めている。

地域社会が変容する現代において、このサポート事業には、消防団員の人数確保はもちろん、地域が元気になるためのヒントが隠されているような気がする。災害発生直後は特に、地域住民同士での助け合いが重要となる。こうした取り組みが全国へと波及していくことを期待するとともに、 地域住民の間に新たに絆を芽生えさせ、それぞれの強い防災意識へとつながることを切に願いたい。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター 三澤裕一 協力・山梨県南アルプス市商工会)

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