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防災コラムVol.195

公助の被災者支援

公開月:2006年7月

2010年9月8日

災害が起こった際の被災者支援は、行政に頼るところが大きい。今回は、2010年3月のコラム「変わる被災者支援」の続編として、被災者支援においての公助に視点を置いた。

行政による公助でなければできない対応もある。

少しのサポートでも救われる被災者はいる。

災害が起こった場合、自治体は、被災者の最後の一人が生活を再建するまで対策本部を設置し続けるものだ。救助活動においては、救助が困難でも捜索を打ち切ることはなく、震災から一年後に遺体が発見されたといった例もある。また、支援金を申請する際には、申請期間の延長や支援制度の説明会を開くだけでなく、書類の作成をサポートしてくれたりもする自治体。新潟中越沖地震の例では、自治体が独自に被災状況や収入、家族構成などを集計して、支援制度が利用できるのに申請していない人を抽出し、案内を出したり、支援制度について説明にまわったりといった取り組みを行った地域もある。
このように、自治体は、被災者が公助から漏れることのないように配慮することで被災者に大きな安心感を与えようと活動している。

より多くの支援を必要とする人たちがいる

「災害弱者」という言葉を知っているだろうか。これには、生活保護世帯や障害者、子ども、外国人、妊婦などが含まれているが、今回は特に支援が必要な障害者について触れたいと思う。 2001年の厚生労働省の資料によると、障害者は全国で650万人おり、身体障害者が350万人、知的障害者が45万人、精神障害者が258万人いるという。例えば聴覚障害の場合、拡声器を使った案内が聞こえないため、避難所に人が集まっていることがわからなかったり、助けてほしいと思ってもFAXなどの連絡手段が故障して呼ぶことができなかったり、メモでやり取りをしようと思ったとしても、特有の雰囲気から、できずに我慢してしまうことがある。
また、平常時なら、出歩いてもどこに何があるのかを記憶しているため自由に行動することができるが、地震や水害が発生すると、道をふさぐがれきなどによって転倒したり、危険な場所に入り込んでしまったりして、移動にも大変な労力が必要となる。
このように、ふだんは自立した生活を送れている人であっても、「災害弱者」とされる人は、災害時にうまくいかないこともある。
災害が起これば、一般の避難所では生活することが困難な災害時要援護者向けに、行政が「福祉避難所」を設置するものだ。しかし、災害時要援護者自身がそこまでたどりつけなければ、せっかくの支援も受けることはできない。そんなとき必要なのは、近くにいる人たちのサポートだ。
災害時には誰しもが被災しているため、他人に目を向ける余裕がないかもしれない。しかし、そんなときこそ、ほんの少しのサポートで救われる人たちがいるということを思い出してほしい。

避難生活は無料だけど精神・体力的に高くつく

避難所は、被災者が食事をしたり、行政からの情報を受け取ったり、避難したまま宿泊することもできる場所で、「災害救助法」により無料で支援が提供される。そう聞くと、安全なうえ、無料でいろいろなものが提供される良いところのように思えることだろう。
ところが、実際にはあまり良い場所とはいえないようだ。一日中人の出入りがあるため落ち着かず、夏場は蒸し暑く、冬場は冷える。間仕切りが腰の高さ程度で女性の着替えには適さない、隣の家族の会話がもれ伝わるなど、プライバシーの確保が難しい。それに、避難所内で風邪が流行ることもよくあり、ストレスなどもあいまって体調を崩して入院する高齢者も多い。さらに、共同生活なのでTVやお風呂の時間も決まっており、持ち回りでトイレ掃除などの役割をお願いされることもあるという。
また、被災者の中には、復旧作業に追われるとか、会社へ勤務しなければならない人もいる。避難所に疲れて帰っても、とても疲れを取るどころではないため、体調を崩してしまうこともある。いったん体調を崩してしまうと、業務に支障をきたすだけでなく、避難生活から長期間にわたって抜け出せなくなってしまう恐れがあることから、これからの公助は、そんな立場の人を支援することも求められているのではないだろうか。

こうした現状から、時間の経過とともに避難所での支援が充実し、避難生活が快適になることよりも先に、いち早くそこを抜け出すことの方が重要となる場合がある。

公助は自主再建支援のために

被災者が積極的に動ける支援を行うことが行政には求められる。

住宅の耐震化などが今以上に進み、避難所で生活する人がいなくなれば良いと思うが、災害は地震に限ったことではないので、これからも避難所の必要性はあるだろう。そして、それに対する公助などの支援は今後とも必要になる。これが、自ら再建することができない人を支援するためのセーフティネットでもあるからだ。
しかし、肝に銘じておきたいのは、支援の本当の目的は、被災者の再建により一刻も早く支援を終えるためのものであり、避難所に長期滞在してもらうためのものではない。また、被災者の再建を代わりに行うためのものでもないのである。行政が何とかしてくれると他力本願の考えを持っていると、結果的に避難生活を長引かせてしまうことになりかねない。
そうならないために、いざというときの避難生活や再建について家族と話し合い、対策や計画を立ててみてはいかがだろう。

行政は、避難所から抜け出したいと思っている人がより積極的に動ける手厚い支援を打ち出して、全体の避難者数を減らし、支援の負担を減らしていく。それが、これからの公助のありかたではないかと思う。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター 大脇桂)

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