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防災コラムVol.191

水害であなたの車が水没してしまったら

公開月:2006年7月

6月中旬から7月にかけて発生した大雨は、西日本を中心に各地に大きな被害をもたらした。多数の車が水没し、水圧でドアが開かなくなったことから、車内への閉じ込め被害が多発。そこで気になるのは、水没した車はどうなるのかということ。そんな素朴な疑問を中日本自動車短期大学の大脇澄男氏(自動車工学)に聞いた。

水没した車に起こる現象

水没し流された自家用車(2010年7月15日 岐阜県可児市にて撮影)


水没した車があったら?

「水没した車に近寄ってはいけません。横転などで損傷していると、バッテリーの電気で感電する危険があります。ハイブリットカーや電気自動車も同様です。より大きな電気が蓄えられていて、消防などでは安全のために特別の感電防止研修が行われるほどで、一般の人が不用意に近づいては危険です」


水没すると、車はどうなるの?

「次第に動かなくなります。車は、エンジンにガソリンと空気を取り込み、圧縮し、燃焼(爆発)させることで動力を生み出しています。燃焼済みの排気ガスはマフラーから排出され、新たに新鮮な空気を取り込む作業を繰り返します。しかし、マフラーが水没した状態になると、排気ができないうえ、新たな空気も入らないので、次第にエンジンの調子も悪化し、最終的にはストール(エンスト)してしまうことになります。もっと怖いのは、エンジンに吸気を行うエアクリーナーに直接水が入り込むこと。多量な水分を含んだ空気だと、エンジンがガソリンと空気を圧縮できないため、燃焼に至らず、突然停止してしまいます(ウォーターハンマリング現象)。こうなると、再びエンジンをかけることは不可能です」

水没した車のゆくすえ


水没した車はどうなる?

「2000年の東海豪雨の例で述べると、水没した車を手放すオーナーが多く、保険対応で代車を利用し、新規で購入しなおしたようです。大抵は中古車市場に流れたのですが、国内の中古車ディーラーが水没車両の購入を敬遠したため、買い取り手がつかず廃車になりました。ただ、一部はパーツ取りを目的とした外国人バイヤーによって落札され、日本車の人気が高い東南アジアなどへ運ばれたようです。このように、水没車両は基本的に査定価格が0となります。また、国内で再販される際は水没車両であることが明記されます」


水没した車を修理することは可能?

「水没すると、車内のあらゆるところに非常に細かい泥が入り込んでしまいます。シートのような布製品は、強い臭いを放つため、取り替えなければなりません。また、車にはカーナビやオーディオのほかにも、運転を制御するための電子部品や機器が数多く搭載されています。水没によってそのほとんどに問題が発生している場合が多く、そのような電子機器には破損や劣化が起きるため、火災や発煙を発生させるおそれもあります。運転を制御するような重要な電子機器に問題が発生した場合は、修理に多額の費用が想定されますが、乗り続けるのであれば、必ず修理工場に出さなくてはなりません。しかし、その修理費用の大きさから、結果的に廃車となるケースが多いようです」

経済的な防御策

名鉄広見線の高架下まで流された大型車(2010年7月15日 岐阜県可児市にて撮影)


車の水没被害に公的な支援はある?

「車の販売会社では、車の購入に併せて損害保険への加入を勧めています。公的な支援制度は、人的被害に対する見舞金や住宅など生活再建を支援するもので、車に対する公的支援はありません。ただし、支援金の中には用途が限られていないものもあり、車の修理費用に利用できる場合があります。災害の規模にもよりますが、水害によって流されてしまった車両の撤去や処分について、災害による廃棄物とみなされれば、行政によって撤去してもらえることができます。その際は、所有者に費用が請求されることはありません」

閉じ込められないために


運転中、豪雨に遭ったら?

「まず、マフラー付近まで水位が上がってしまった場合は、運転を控えてください。もし、運転中に道路が冠水した時は、速度を十分に落とし(30km/h程度)、車間距離を取り、先行車や対向車による水位の変化に気をつけてエンジンが水を吸わないようにすることが肝心です。線路や道路の高架のような場所をくぐる際にも注意が必要で、周りより低い場所には水がたまりやすく、運転中のドライバーの視点では、水深がどれほどなのかわかりません。水深の深い場所に進入すると、水の浮力で簡単に車両が浮き上がってしまい、前に進まなくなってしまいます。水没してしまった場合は、エンジンキーを停止状態に戻し、すみやかに脱出してください」

車は、購入時にローンを組むような大きな財産であり、地方では生活に欠かすことのできないライフラインのような存在。そのため、車の水没が家計や生活面に大きな損害をきたすことになりかねないことから、水害への対処について考えておく必要がある。 水害によって水没した車の様子は、JAFのホームページで見ることができるので、興味のある方は参照されたい。

(取材&文・レスキューナウ危機管理情報センター)

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