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防災コラムVol.178

野菜だけの非常用保存食、その名も『乾燥野菜』

公開月:2006年7月

砂糖や食塩などを一切加えず、野菜をそのまま乾燥させた非常食が発売されている。素材のもつ栄養分・旨みをそのまま凝縮した乾燥野菜で、常温での長期保存が可能なため、災害時はもちろん、パンデミック時の備蓄用食品として注目だ。

おいしさそのまま、しっかり栄養!

株式会社ハンズ・フーズ・ジャパンは、災害時の避難生活において、野菜不足による栄養の偏りを健康面の大きな問題として捉え、非常用保存食として『乾燥野菜』を開発した。規格外品や収穫過多となった国産の無農薬、減農薬野菜を加工した商品で、「環境保全」や「安定供給」にも貢献する商品なのだという。
同社は製造にあたり、野菜の色・味・香り・歯ざわりを残しながらも酸化を防止し、栄養価も保持できるように「低温蒸気加熱減圧乾燥加工」を採用。これは特許を取得した特殊製法で、製造中に大腸菌(O-157)の殺菌ができるうえ、ビタミンCがほとんど分解されないため、生鮮物のビタミンCは濃縮され、アミノ酸ギャバなどの機能性成分も増加するといった特長がある。生トマトのビタミンCでは約12倍となり、一般的な市販のドライトマトと比べると約6倍になる。また、精神を安定させるとか血圧を下げるといった作用があるといわれているアミノ酸ギャバについては、トマトで約3倍、人参・大根で約4倍となることが確認されている。(食品開発研究所 金子憲太郎農学博士調べ)
『乾燥野菜』は密閉式の個食用パックになっているため、被災現場で配分するのも容易だ。調理の必要もなく、開封してすぐ食べられるのも魅力。歯ごたえがあるためよく噛んでいると、野菜の甘みを十分に味わうことができ、咀嚼(そしゃく)することで空腹感も満たされる。しかも、小袋1つで1日に必要な野菜の摂取量(約350g~400g)の半分程度の栄養分が補え、おいしいだけじゃないスグレモノだ。

被災地における「食」の問題

ヤーコン、ダイコン、ニンジン、タマネギ、ブロッコリー、トマトが1袋に入っている。乾燥野菜(非常用保存食)<10g×10袋>¥3,150(税込)/株式会社ハンズ・フーズ・ジャパン(問)058-322-7097

1995年の阪神・淡路大震災での、ピーク時の避難所収容人数は約32万人。開設期間は最長で7カ月間におよんだ。避難所では当初、行政や個人で備えていた備蓄食品や企業などからの支援で、パン、おにぎり、乾パン、肉・魚の缶詰などの“とりあえずの食”は確保していた。しかし、避難所生活が長引くにつれ、栄養の偏りが大きな問題となった。特にビタミン源となる野菜不足は、被災者や支援・復興にあたった人たちに、不眠、食欲不振、疲労、便秘などの健康障害を発生させ、日常と大きく異なる避難所生活と相まって、大きな負担となった。
災害食の研究者である奥田和子氏は、著書『震災下の食―神戸からの提言』(NHK出版)にこれらの調査結果を詳しく述べ、『働く人の災害食―神戸からの伝言』(編集工房ノア)でも、野菜の大切さを力説している。そして、『乾燥野菜』の料理方法についても研究し、本品が優れた災害食であると推奨している。
また、新潟大学地域連携フードサイエンスセンターは、新潟県中越地震の被災地などを調査してまとめた本の中で、「発災後4日目以降、睡眠不足や偏食で身体の不調を訴える人が増加したことから、自衛隊の協力で野菜を多く取り入れた温かい食事を供給したところ、不調を訴える人は減少した」と報告している。

しかし、現実的に野菜は保存が難しく、災害による流通の混乱、コストの問題などもあって安定的な供給が困難。また、気温の高い時期には、腐敗による食中毒なども懸念されるため、『乾燥野菜』のように長期保存が可能な商品の誕生は画期的だ。

非常用保存食も「量」から「質」へ

『乾燥野菜』1袋とコンソメスープの素150ccを鍋にかけてひと煮立ちさせたら、野菜スープに早代わり。レシピ監修/奥田和子

『乾燥野菜』は、賞味期限が製造日より3年となっているので、備蓄用食品としても有効だが、日常生活やレジャーにも大いに活用できる。常温で長期保存が可能なことから、冷蔵庫を使う必要がなく、軽量かつコンパクトなのも利点だ。また、調理済みのため、料理に手間がかからないし、場所も選ばない。同社によると、登山愛好家からの人気も高いという。

ここで、野菜たっぷりカレー(1人)のレシピを紹介。
?1.5カップの水で約40~45分戻した『乾燥野菜』1袋とその戻し汁、水150cc、ごはん200g、ツナ缶80g、カレーのルー1人分を用意する。
?ごはん以外の材料をすべて鍋に入れて火にかける。
?味がなじんだら火を止める。あとはご飯にかけるだけ! 野菜の歯ごたえと、カレーの香りが食欲をそそる。ちなみに、ツナ缶は賞味期限が約3年、カレーのルーは約10カ月。
また、同様に戻した『乾燥野菜』をポン酢で和えただけでも、なかなか美味のつまみになる。ポン酢の賞味期限は、約9カ月。

災害時は、精神的にも肉体的にも厳しい状態。そんな時に求められるのは、単に空腹を満たすためだけの「食」ではない。逆境に立ち向かうだけの気力と活力を与えられるおいしさや彩りはもちろん、二次災害としての「健康被害」を防ぐために栄養面の配慮がされた「食」が求められる。備蓄食品が炭水化物だらけかも…と思い当たる人は、さっそく補充の検討を。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター 原田貴英)

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