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防災コラムVol.173

変わる被災者支援

公開月:2006年6月

災害時こそ住民同士の助け合いが重要になる。

高度化、多様化する行政支援

「公助」として求められる支援は高度化・多様化している

大きな災害が発生すると、行政をはじめとする公助は、救助活動や医療活動とは別に、被災者のための衣食住の確保を行っている。阪神・淡路大震災(1995年)以降、行政の支援のあり方や被災者の求める支援は高度化し、多様化が進んでいる。その例として、阪神・淡路大震災では、避難所で配られるお弁当(1食分)の値段の上限額が上がったり、1棟200万円もする仮設住宅が希望者のために建設された。また、心のケア・高齢者の孤独死防止対策・エコノミークラス症候群対策といった医療や福祉に関わる支援のほかにも、プライバシーや被災者が飼っている(捨ててしまった)ペット対策など、行政に求められる支援は多様化し、負担も大きくなっている。

公的支援の内情は?

支援は、市町村や都道府県、国、自衛隊、地域のボランティア、県外ボランティアなど様々な団体や組織が提供してくれる。新潟県中越沖地震(2007年)では、自衛隊が新潟県内の各地に仮設の入浴施設を設置し運営していたことは記憶に新しい。しかしながら、発災直後は、行政担当者が混乱のなか対応に追われていた例もある。発災後、避難所に住民が集まっていると報告を受けた市の担当者が、住民に配る食事を確保するために、スーパーに行って調理パンを全部買い占めトラックに載せて避難所に届けたり、庁内で机を並べて、炊いたご飯を職員総出でおにぎりにし、避難所に届けた例もあったという。発災から数日経っても、被災者のためのお弁当が不足していないか、もしくは、税金で買ったお弁当が余って廃棄されていないか、避難者数が刻々と変化する中で発注や配送、必要数の把握などに苦労していたという。

支援する側と支援される側を比較してみる

「自助」・「共助」のあり方についても考えるべきことが多い

私たちを支援してくれる公務員の人たちはどれくらいいるのだろうか?
2008年の総務省の資料によると、都道府県の職員は約150万人、市町村の職員は約133万人とされる。新潟県中越地震(2004年)発生当時の新潟県の人口は約239万人で、当時最大で約10万人が避難生活を送っていた。それに対して、県の職員は約3万6,000人、全市町村の職員は約2万人で、被災者は公務員のおよそ1.78倍になる。また、阪神・淡路大震災当時の兵庫県の人口は約559万人、最大で約31万人が避難生活を送った。それに対して、県の職員は約6万3,000人、全市町村の職員は約7万人で、被災者は公務員のおよそ2.33倍になる。また、見逃しがちだが被災地域であっても災害対応以外の業務もあり、実際に被災者に直接支援をしてくれる数はもっと少なくなる。

提供しやすい支援と提供しにくい支援

支援には支援する側が提供しやすいものと提供しにくいものがある。
飲料水・食事・毛布などは人を選ばず、提供しやすい。また、被災者に効率よく届けるシステムが構築されると、企業やボランティアが間に入って支援に参加することもできる。

一方、提供しにくい支援は、被災者個人のための持病の薬・メガネ・靴・入れ歯・生理用品などで、物が人を選んでしまう支援だ。また、再建困難者の相談や心のケア・独居老人の話し相手など、特定の技能や教育を受けた者が腰をすえて対応しなければならない支援もある。

住民による支援の再分配

被災者は、公助による支援の限界や外部から提供しにくい支援があることに直面し、諦めにも似た感情からか、行政からの支援をもらうだけの受け身の姿勢から、自ら行動する姿勢に変わって現状に対応し始める。お弁当の配布や置き箱の回収を手伝ったり、汚れたトイレを掃除したり、近所でお互いに必要なものを融通しあったり、町内会でがれきの片づけをしたりする。阪神・淡路大震災の例では、自治体担当者が避難所にお弁当を届け、すぐに次の避難所へ向かってしまったため、住民自らが避難者と届いた物資の数を確認し、どのように配布するか相談をおこない、公平に分けたという例もある。決して、行政が手取り足取りサポートしなければならないというわけではないのだ。

公助も限られた資源

私たちが新たな支援を公助として行政に要求すれば実現するかもしれない。しかし、限りある人員や財源で、増えていくばかりの要求をすべて実現することはできない。「困っているから」とただ支援を要求するのではなく、みんなが迅速な生活再建を果たすために、「自分でできること」、「地域などでできること」といった「自助」と「共助」のあり方についても考えるべきことが多いのだと思う。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター 大脇桂)

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