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防災コラムVol.151

変わりつつある消費者行政

公開月:2006年6月

消費者が悪質商法や製品事故の被害に遭うリスクを軽減させるため、2009年9月1日、「消費者庁」が設置された。今回はこの消費者庁の役割を中心に、変わりつつある消費者行政についてみていきたい。

なぜ「消費者庁」が必要なのか

消費者庁では、消費者をとりまく様々な情報を提供している(消費者庁HPより)

企業による製品事故の隠蔽や食品表示の偽装、あるいは異物混入などによる中毒事件など、購入した製品によって消費者の健康が脅かされる事態が相次いで報道されている。時には、企業や行政の対応の遅れから被害が拡大してしまったケースもある。では、なぜこのようなことが起こってしまうのか。それには、大きく二つの要因がある。

【その1】所管法令の谷間
「こんにゃく入りゼリー」による高齢者や幼児の窒息死事案については、厚生労働省・農林水産省・経済産業省がそれぞれ「所管する法令に当てはまらず、販売を規制することはできない」として、業者に対して直接、強制力を伴う対応を迫ることが難しい状況にあり、メーカーの自主的な取り組みに期待するしかなかった。

【その2】情報共有の不備
事故などの情報を各機関がそれぞれに保有していたことがあげられる。
湯沸かし器による不完全燃焼によって犠牲者が出てしまった事案では、関係する行政機関同士の情報共有がうまくいかず、対応が後手に回り犠牲者を増やしてしまったとの報道がある。

こうした現状を踏まえ、消費者行政を一元化して行う「消費者庁」が2009年9月1日に設置された。

相談しやすい仕組みつくり

消費者庁がまず乗り出したのが「消費者ホットライン」の設置だ。

『平成20年版国民生活白書』によると、消費者が何らかの被害に遭ったときの相談先について、「国民生活センターまたは自治体の消費生活センターに相談した」とする人が、全体の約14%にとどまっている。こうした現状を受け消費者庁では、誰もが身近に相談できる環境を確立するため、全国の消費生活相談窓口などにつながる「消費者ホットライン」を構築した。なお、「消費者ホットライン」は全国共通の電話番号から、最寄りの消費生活相談窓口につながる仕組みになっている。

□消費者ホットライン(無料)
・電話番号:0570-064-3709

※注 2009年9月14日から福島県、山梨県、島根県、香川県、沖縄県で運用開始。
※注 その他の都道府県については、10月下旬から11月上旬を目途に開設予定。

情報収集の一元化と積極的な対応が可能に

消費者庁では、消費者から寄せられる情報のほか、関係省庁・警察・消防・保健所・病院・企業からの情報も収集することによって、対応の迅速化を図っている。また、被害が拡大しないよう、これまで関係機関が所管していた法令を消費者庁に移管・共管している。このことによって、消費者への注意喚起や製品回収の広報活動、企業への行政処分を迅速に行うことが可能となる。

自治体や団体からの情報発信

独立行政法人・製品評価技術基盤機構では、製品事故の再現映像を動画で公開している(独立行政法人・製品評価技術基盤機構HPより)

国だけではなく、自治体や団体でも消費者目線での情報発信が行われている。

例えば、長野県の食品・生活衛生課では、「食品等の回収情報」をホームページで公表している。このホームページでは、長野県内で流通している回収対象食品が健康にどれだけの影響を与えるのかを「A:ただちに重篤な健康被害を発生させる可能性のあるもの」「B:アレルギー物質を含む食品の表示に関わるもの」「C:通常重篤な健康被害の発生は考えられないもの」の三段階に区分している。

一方、製品の使用方法を誤ることによる事故も多発していることを受け、独立行政法人・製品評価技術基盤機構のホームページでは、製品が実際に発火・破損するなどといった製品事故の再現映像を公開し、消費者に注意喚起を行っている。なお、このホームページでは事故原因や事故の防止策も併せて掲載している。

生活に身近な情報のアンテナをひろげる

消費者が製品事故や悪質商法などによって被害を受けるケースが後を絶たない。しかし、消費者である私たちが客観的に物事を見極める能力を備えることができれば、被害を未然に防ぐことは可能である。インターネットの普及によって、消費者庁をはじめとした関係機関からは、これまで以上に詳細な情報を入手することができるようになってきた。また逆に、消費者自らが被害などの情報を関係機関に通報しやすい仕組みも整ってきている。

消費者自らがこうした情報に関心を持つことこそが、被害に遭うリスクを減らすことにつながっていくのである。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター 三澤裕一)

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