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防災コラムVol.148

防げなかった感染拡大!インドネシアに新型インフルエンザ上陸 -「鳥」インフル防止の教訓に-

公開月:2006年5月

2009年6月24日、インドネシアで初となる新型インフルエンザの感染者が確認された。首都ジャカルタと観光の島バリで1人ずつ確認され、ジャカルタの感染者はジャカルタ在住の国内航空会社の操縦士の男性、バリの感染者はオーストラリア在住で19日にバリ入りした女性だった。インドネシアで初の新型インフルエンザが確認されたときの状況などについて、現地在住記者・岡坂泰寛氏がリポートする。

とうとう上陸

カリマンタン島の子どもたち。首都や主要都市での対策は強化されているが、地方では進んでいないのが現状だ=筆者撮影

メキシコや米国で豚に由来する新型インフルエンザの感染者が発見されてから約2カ月。インドネシア国内でもついに新型インフルエンザの感染者が確認された。

新型インフルエンザは感染しても致死率が弱く、気付かないうちに治っているケースもある。そのため、インドネシアでも既に感染者がいるのではと指摘されていただけに、「とうとう」発見といったニュアンスを強く感じた国民も多かったのではないか。

インドネシアでは国内での新型インフルエンザの感染者の発見に備え、すでにバリ島などでのタミフルの準備や政府機関・医療関係者を含めた対策演習を行っていた。しかし、世界保健機関(WHO)が2009年6月11日、新型インフルエンザの警戒レベルを「6」に引き上げたことを受け、保健省は全国の保健局や病院に対策強化を指示。水際での感染侵入を防ぐため、感染発覚後の誘導ルートの確認や接触者や関係者の隔離対策の強化を急いだ。

しかし、いったん国内で感染者が発見された場合、さらに感染の広がりを防止するのは難しいとされている。特にインドネシアはビジネスの中心・ジャワ島、観光の島・バリ島などを始め、約1万8000もの島が存在し、全ての出入りルートを検査するのは非常に困難なためだ。各州政府も新型インフルエンザ対策に万全の予算を当てているとは言い難く、そこまでの予算分配ができる余裕がない状況でもある。

島から島へ、あっという間の拡大

日本大使館で開催された新型インフルエンザセミナー。各企業の駐在員らが出席した=筆者撮影

感染拡大はあっという間のできごとだった。2009年6月24日に初めての新型インフルエンザ感染者が確認された後、バリ島でさらに1人の感染者が確認。バリ島での感染者は、初感染者と同じ航空便でバリ入りした12歳の男児で、空港での検査をくぐり抜け、滞在中に発症した。バリ州保健局はこの新たな感染者の確認を受けて、緊急事態宣言を出し、検査体制などの強化を行った。

しかし、その3日後には感染者が8人になった。インドネシア政府は、海外からの帰国者、入国する外国人に健康状態や滞在場所などを記入する健康カードの提出を義務付け、さらに警戒を強化した。バリでは対策に100億ルピア(約9900万円)がつぎ込まれ、空港でのマスク配布なども行われた。

しかし、その後も感染者は増え、2009年7月6日には感染者が20人に。うち2人は国内で感染したことが明らかになった。8日にはスマトラ島のメダンでも感染者を確認。ジャワ島、バリ島以外から感染者が初めて発見された。

さらにその一週間後には、ジャワ島のスラバヤ、ジョクジャカルタなど各主要都市でも感染者が確認されたほか、カリマンタン島でも感染が確認されるなど感染拡大の勢いは強まるばかりであった。保健省は国民に対し、パニックにならないよう数回にわたって呼び掛けていた。14日夜にはスラウェシ島でも感染を確認し、保健省は新型インフルエンザの全国的な流行に備えて、各地に指定病院を設置した。

今後の対策の教訓に

今回の新型インフルエンザ騒動、「もしも鳥インフルエンザだったら」とぞっとする人も多いのではないか。NNA(ニュースネットアジア)の報道によると、2009年8月18日現在、インドネシアでは4人の死亡が確認されている。致死率の高い鳥インフルエンザが今回のように急速に拡大した場合、さらに多くの死者が出ることが予想される。今回の新型インフルエンザの急激な感染拡大により、インドネシア政府の対策の甘さが露呈されたとも言えるだろう。

かといって、日本をはじめ世界各国も感染拡大を防ぎきれていないのが現状だ。インドネシアを始め、世界全ての国が今回のことを教訓にして鳥インフルエンザの対策強化に努めるべきだ。感染拡大前の危機管理がいざ国内で感染が広まったときに重要な役割を果たすことは言うまでもない。今はそのノウハウを学ぶ最高の時とも言えるのではないか。

(監修:レスキューナウ 文・インドネシア在住記者 岡坂泰寛)

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