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防災コラムVol.143

「バケツをひっくり返したような雨」とは

公開月:2006年5月

地域の降水量や防災気象情報に注目して早め早めの避難行動を!

今年も集中豪雨で大きな被害が

大雨による水の重みで木が根本から折れてしまった(岐阜県坂祝町 2009年7月26日撮影)

2009年は梅雨前線の活動が活発となっており、一部地域では8月に入っても梅雨明け発表がされておらず、各地で被害が発生している。

7月21日は山口県内で記録的豪雨となり、防府市では土石流が老人ホームを直撃し7人が死亡、国道262号沿いでの土石流で4人が死亡など、甚大な被害が出た。この豪雨による山口県内での死者・行方不明者は17人に上っている。山口県内で懸命の救助活動が展開される中、7月24日には九州北部地方で記録的豪雨となり、福岡県内では家屋浸水被害が4000棟を超えたほか、各地で土砂崩れや河川増水が相次ぎ、福岡県内だけで死者・行方不明者が10人となる被害になった。これらの被害を受け、気象庁は一連の豪雨を「平成21年中国・九州北部豪雨」と命名した。

被害はこれだけに留まらず、6月には沖縄県や近畿・東海・関東、九州北部で、7月に入り和歌山県南部や島根県西部、静岡県伊豆半島、秋田県を中心とする東北北部、岐阜県南部でそれぞれ局地的大雨による家屋浸水被害や交通などへの影響が出たほか、7月19日には岡山県美作市で、7月27日には群馬県館林市で竜巻被害が発生し、それぞれ家屋などに大きな被害を出した。

早めの避難指針となる防災気象情報

山口県防府市の土砂災害のうち、7人が犠牲となった老人ホーム付近は昨年3月に土砂災害警戒区域に指定されていた。12:00頃とされる災害発生の約5時間前の21日07:20には、避難判断のひとつの指針となる「土砂災害警戒情報」が山口県・下関地方気象台から発表され、防府市にも伝えられていたものの、結果的に周辺地域への避難勧告発令は災害発生後の17:20だったという。老人ホームでは大雨を考慮し早めの昼食としていたとされており、現地周辺では何らかの「異変」が感じられていた可能性もあるだけに、適切な情報伝達、情報交換がなされていれば、災害を防ぎ得た可能性も考えられる。

防府市では土砂災害警戒情報のほか、05:25には急激な気象変化の注意喚起となる「竜巻注意情報」が、また隣接する山口市では1時間に約100mmもの雨量を観測した「記録的短時間大雨情報」が08:55に発表されるなど、午前中の段階で各種防災気象情報によって警戒すべき状態にあったと判断することは可能だった。これらの防災気象情報は気象庁ホームページで随時最新情報が更新されているほか、各種メールサービスや、テレビ・ラジオで私たちにも確認できる情報である。

2008年には兵庫県神戸市の都賀川水難事故(5人死亡)や、東京都豊島区の下水道作業員水難事故(5人死亡)などが相次ぎ、「ゲリラ豪雨」という言葉もクロースアップされた。気象庁も2009年2月に「防災気象情報の活用の手引き」を公表したほか、2009年7月から全国20か所の気象レーダー観測間隔を10分間隔から5分間隔に短縮するなど、より迅速な情報提供に努めている。自治体からの避難情報を待って行動するだけでなく、身の危険を感じたら早めに避難することが被害を食い止める大きなポイントともなるだけに、最新の防災気象情報に是非注目して欲しい。

「バケツをひっくり返したような雨」とは

気象庁から発表される情報を読み解く力も私たちには必要(気象庁HPより)

ところで、局地的大雨の際によく「バケツをひっくり返したような雨」「どしゃ降り」「猛烈な雨」などと表現されることがあるが、その目安を知ることで、各種防災気象情報をどのように受け止めるべきか注目して考えたい。

気象庁では気象予報用語を統一しており、1時間雨量で20mm以上~30mm未満を「強い雨」、30mm以上~50mm未満を「激しい雨」、50mm以上~80mm未満を「非常に激しい雨」、80mm以上を「猛烈な雨」としている。予報用語に見合う人の受けるイメージとして、「バケツをひっくり返したような雨」は30mm以上~50mm未満の「激しい雨」としており、

  • 傘を差していてもぬれる
  • 道路が川のようになる
  • 高速走行時、車輪と路面の間に水膜が生じブレーキが効かなくなる(ハイドロプレーニング現象)
  • 山崩れ・崖崩れが起きやすくなり危険地帯では避難の準備が必要
  • 都市では下水管から雨水があふれる

また、記録的短時間大雨情報発表基準でもある、50mm以上~80mm未満の「非常に激しい雨」、80mm以上の「猛烈な雨」では、「滝のような雨」「息苦しくなる様な圧迫感、恐怖を感じる」とし、

  • 傘は全く役にたたなくなる
  • 水しぶきであたり一面が白っぽくなり、視界が悪くなる(車の運転は危険)
  • 都市部では地下室や地下街に雨水が流れ込む場合がある
  • マンホールから水が噴出する
  • 雨による大規模な災害の発生するおそれが強く、厳重な警戒が必要

といった状況が生じるとしている。

特に最近は1時間100mm前後の「猛烈な雨」を観測することが少なくないためか、ともすると「バケツをひっくり返したような雨」はより強い雨と思われがちな部分もあるかもしれないが、大雨注意報・警報等の発表基準は「強い雨」(人の受けるイメージは「どしゃ降り」)以上とされていることからして、「非常に激しい雨」が観測された場合には早めの避難を考えるよう心がけるとともに、近隣地域で「猛烈な雨」や記録的短時間大雨情報が発表された場合には、早急に避難行動に移るべきだろう。

短時間に一気に降る雨は災害の危険性を高めるものであるが、数時間、数日に渡って降る雨も、災害の危険性をより長期的に増大させるものともいえる。土砂災害警戒情報では今後数時間の降雨状況などを踏まえた情報提供がなされており、避難判断の目安となる。また、近隣の道路等で連続雨量超過による通行止指定区間がある場合には、その降水量も避難を判断する上で大きなポイントとなるだろう。

まずは身の周りの再点検を

気象庁ホームページをはじめ、各種気象サービスサイトでは、日々の天気予報や注意報・警報だけでなく、さまざまな情報提供がなされており、どのような情報があるのか確かめて欲しい。メール配信サービスなどを利用するのもいいだろう。

ただし、その大きな前提として、身の回りの再点検を是非行いたい。第1に近隣の避難場所がどこなのか確認するとともに、避難時に携行すべきものもまとめておきたい。土砂災害や浸水、また地震時などの種類別に危険・警戒地域のハザードマップなどを作成している自治体も増えていることから、自宅だけでなく避難経路・避難場所などを含め、どこが危ないかを事前に把握しておくことこそが重要である。また、市街地に外出している場合、地下鉄を利用している場合、乗用車を運転している場合など、様々な場面で大雨に見舞われた場合、どのような行動をとればよいのか予めシミュレーションすることも忘れてはいけない。その上で、正確な情報と、早め早めの行動で我が身を、家族を守るように意識したい。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター 宝来英斗)

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