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防災コラムVol.142

エレベーターでの閉じ込め対策「防災備蓄ボックス」

公開月:2006年5月

全国にエレベーターは約60万台。災害時の閉じ込めなどに対応する「エレベーター防災備蓄ボックス」を紹介する。

地震によるエレベーターの閉じ込め事故増加が予想

日本の人口は、三大都市圏(東京、名古屋、大阪の各都心から50kmの範囲)に集中している。また、県庁所在地や地方中核市などに人口が集中する傾向にある。その結果、オフィスや住宅機能を備えた中高層建物が増加し、全国に設置されているエレベーターは約60万台にもなるという。

人口集中の最も激しい東京都では、2005年7月、足立区で震度5強を観測した「千葉県北西部地震」により、約64,000基のエレベーターが緊急停止し、78件の閉じ込め事故が発生した。日本エレベーター協会によると、「千葉県北西部地震」では救助や復旧の要請が殺到して、閉じ込め救出に最大3時間、安全点検後の復旧に丸1日を要したとしている。

このことをきっかけに2006年5月、東京都防災会議は災害時のエレベーター復旧の重要性に着目し、首都直下地震(想定M7.3)の被害想定にエレベーターによる被害を盛り込んだ。この想定では、東京湾北部で地震が発生した場合、都内のエレベーター約145,000基中、約9,200台、多摩で地震が発生した場合、約7,700台のエレベーターで閉じ込めが発生するとしている。

「エレベーター防災備蓄ボックス」とは

中高層建物のエレベーターの大部分は、大きな揺れを感じたら最寄りの階に停止してドアを開放する「地震時管制運転装置」が設置されているが、安全装置・機器そのものの破損や、水槽のひび割れや温水器の転倒に伴う流水などによる停電でエレベーターが緊急停止し、閉じ込められてしまう可能性もある。

このような状況を踏まえて、株式会社防災備蓄センターは、新しい防災・震災対策のひとつとして、従来よりもコンパクトで中身の充実したエレベーター専用の備蓄ボックスをダイドードリンコ株式会社と共同で開発した。

誰もが使いやすいユニバーサルデザイン

エレベーター専用の備蓄ボックスは、暗闇の中、言語に制約されず不特定多数の人が簡単に使えるように、使用方法が絵文字マーク(ピクトグラム)で本体カバーに表示されている。加えて、目が不自由な人の為に点字表記もされている。

省スペースで豊富な防災・備蓄用品を収納

ボックスの中には10品目ものアイテムが収納されている。

収容物は、非常用飲料水、非常用食糧、トイレキット、ラジオライト、ティッシュ、ブランケット、消臭スプレーなど閉じ込められた際に必要な10品目のアイテム。長時間エレベーターに閉じ込められると脱水症状を起こすケースが多いため、特に飲料水の確保に重点を置いている。その量は、「340ml×20本」。これは、1日に最低限必要な水分補給量にすると大人5~6人にも相当する。

収納物を取り出した本体は、簡易洋式便座に変形でき、付属のトイレキットを装着すれば簡易トイレとして使用できるように省スペース化されている。これは主に病院や官公庁などでの車椅子やストレッチャーの利用を考え普段のエレベーターの利用時になるべく邪魔にならない大きさを求めた結果であるという。

AED(自動体外式除細動器)の搭載も可能

AEDと併せて設置することも可能。

オプションのAED搭載ボックスをエレベーター内に設置すれば、AEDが必要な緊急時に、違う階のロビーまで取りに行く時間を短縮し、緊急対応性を上げることが可能となる。また、エレベーターが複数台ある場合でも、車椅子対応型優先呼出対応のエレベーターにのみ設 置することにより最小限のコストでAEDを必要なフロアに運ぶことができる。ロビーなどにAEDが設置されていない場合は、第一候補として、すでに、ロビーにAEDがある場合は、2台目以降の設置場所として最適だ。

万全のメンテナンス・導入コスト削減を実現

株式会社防災備蓄センターでは、エレベーター防災備蓄ボックスを設置するだけではなく、賞味期限品等の管理、交換まで含めたレンタルサービスとして提供している。これは、導入時の課題となる備蓄品の管理・メンテナンスの実施と導入コストの軽減を図るためで、備蓄品の管理・メンテナンスは、分煙システムの開発・製造・管理を行う親会社の株式会社トルネックスが持つ全国メンテナンス網を利用して実現できたものである。
導入コストの削減は、共同開発したダイドードリンコ株式会社とのタイアップ※1により、建物にある自動販売機を新規に導入する、または、他社のものと入れ替えた場合に備蓄ボックスやAEDなどを無料で提供することが可能となった。
※1ダイドー株式会社の料金負担で設置することが出来るサービス。但し、売上によっては設置できないケースもある。

エレベーター利用者の不安を少しでも軽減するために

大規模な地震が発生した際は、エレベーター内に閉じ込められる不安は誰もが持つものだろう。エレベーター内の防災備蓄ボックスの普及が進むことにより、多くの建物所有者、管理者、保守管理業者などに、エレベーター内における閉じ込め対策への意識を浸透させられるのではないだろうか。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター 原田貴英 協力/株式会社防災備蓄センター)

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