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防災コラムVol.141

情報の共有をきっかけに安全安心の啓発活動

公開月:2006年5月

地域の防犯・防災力を高めようと活動する「NPO法人住民安全ネットワークジャパン」(新潟県長岡市)」を紹介する。

万が一に備えて、携帯電話を使った情報配信網を整備

まもなく新潟県中越沖地震から2年を迎える。

2004年と2007年に2度の大地震が発生した新潟県中越地方。その新潟県長岡市で、登録した市民に対して主に携帯電話向けに「不審者情報」や「子どもを狙った犯罪情報」などの防犯情報をメール配信するNPO法人がある。
レスキューナウにおいても、きめ細かく全国の危機管理情報の配信を行っているが、今回は、地域のミクロ情報を共有することで安心・安全への意識を高め、地域の結びつき、防犯力・防災力を高めようと活動する「住民安全ネットワークジャパン」の取り組みを紹介する。

住民安全ネットワークジャパンの理念の中には、「万が一に備え、携帯電話を使った情報配信網を整備したい」と「地域が協力しあって子供たちが犯罪に巻き込まれない安全な町をつくるため、大人たちが共通の認識を持って話し合いをすることが重要である」という二つの大きなテーマが掲げられている。

災害発生時における情報共有は、防災・減災のためには重要な要素である。しかも、正確かつ迅速であることが求められる。しかし、災害は頻繁に起こるものではない。人々が災害に関心を示すのはそれが起こった直後のほんの数ヶ月間だけで、災害時用の情報伝達網はつくりにくい。さらに、普段使っていない物をいざというときにだけ使おうとしてもなかなかうまくいかないなど、これらは従来から指摘されながら、なかなか解決できない課題であった。
そこで、「住民安全ネットワークジャパン」は、過去の災害では通話やFAXが不通となる中で、唯一機能していたといわれる携帯電話のメール機能を使って災害情報のほか、普段から多くの人が関心を寄せている防犯情報の配信を行うことで、情報伝達網を構築しようとしている。

防犯・防災情報メール「住民あんぜん長岡」

情報配信を通じて、安全・安心にかかわる意識を高めてもらうことを目指し、2004年7月から警察や消防などから情報提供を受け、長岡市内での不審者情報、地震や火事等の災害情報など安心・安全に関わる情報をメール配信する事業を開始した。これは地域のコミュニケーションの低下が問題視される現代社会において、誰もが簡単に安心・安全に関わる情報を取得できる仕組みをつくること、子どもを見守る「地域の目」を養うことを目的にしている。また、普段から家庭で「安心・安全」について話し合う機会や、「自身の身は自分で守る」という教育が行われることが増えることも期待される。

地域により密着した災害情報をより早く「災害情報特派員システム」

住民安全ネットワークジャパンのHPには、地域の防災・防犯情報が随時アップされている。

2007年9月には、行政やマスコミなどからだけでは得ることのできない身近な安全情報を配信するため「災害情報特派員システム」を始動させた。地域住民のなかから自主的に協力を申し出てくれた人に特派員になってもらい、各地域の情報を届けてもらう。特派員は日々の生活の中で、事故や災害に出くわしたときに専用のメールアドレスにメールを送信すると、その情報が会員に配信されるという仕組み。2008年12月25日現在で37名が特派員として登録されており、なおも各学区に一人ずつの特派員登録を目指し、特派員の募集が続けられている。行政などからの情報を一方的に発信するだけではなく、特派員となった地域住民からも情報提供をしてもらい、それを皆で共有していく。その結果、地域と一体となった情報共有網が形成され、より生活に密着した安全・安心情報を発信することが可能となった。また、特派員同士についてもウェブサイト上に特派員会議室を設け、連絡や意見交換を行いながら、情報提供における認識の共有を図っている。

この特派員システムは、日常の生活のなかで「火災で道路が通行止めになっている」とか「事故で橋が渋滞している」など身近な安心・安全情報をより早く発信するために使われるが、災害時には「大雨で病院の前が冠水している」とか「地震による地区の被害状況」など地域に密着した災害情報の配信と共有のために活用されることを念頭に入れて整備されている。「特派員が交通事故や火災などの情報を送信することは、災害時に情報を伝達するための訓練なのです」と事務局長の笠井氏。

2度の大地震や水害などに見舞われた新潟県中越地方で、その経験をもとに構築されたこのシステム、防災防犯情報のメール受け取る会員数は、いまや12000人を越えている。

(文・レスキューナウ 大川義弘)

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