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防災コラムVol.117

避難所に求められる"暖房"と"お湯"を確保するために| 防災コラム

公開月:2006年4月

前回に引き続き、実際に被災地を見て、聞いて、感じて、開発された災害時支援物資を紹介する。

災害発生!避難所での”暖房”と”お湯”の必要性

普段の生活で当たり前のように使用している暖房機やお湯が、災害時はとても貴重である。体温調節が難しい高齢者のために温かい飲み物や簡易湯たんぽを作ったり、乳幼児には粉ミルクのためのお湯や、哺乳瓶や調理器具の煮沸消毒など、様々な場面で暖房とお湯の確保が、生命を維持するために必要とされる。また冬場に被災した場合、避難所に収容しきれない「屋外待機者」や、地震に遭ったことによって”屋内に恐くて入れない”というPTSDの症状が出ている被災者、その心のケアをする人などの、多くの人が寒い中で長時間屋外にいなければいけない状況が想定されるため、さらに暖房の必要性が高まる。

このような状況や要求に対して、いかにして早く、そして持続的に、暖房とお湯を確保できるようにするためには、どのような準備が必要になってくるだろうか。

(※)PTSDとは?
Post Traumatic Stress Disorder(心的外傷後ストレス障害)の略。
強烈なトラウマ体験(心的外傷)がストレス源(ストレッサー)になり、心身に支障を来し、社会生活にも影響を及ぼすストレス障害。例えば、新潟県中越沖地震の被害に遭われた方からは、いくら道路などが復興していっても精神的なものまでは治してくれない、という類の話を聞く。もし大地震が起きたときには、周囲の精神的フォローが必要になる。

着目したのは、「コークス」

コークス煮炊き暖房ストーブ

株式会社吾妻商会は、上記のような災害時の暖房やお湯の必要性から、「コークス」という燃料に着目して、危険性が低くて誰でも簡単に使えるストーブを開発した。

コークスは、約8,000kcal/?以上の高カロリー燃料ながら、高温でも自然発火しにくいため、消防法上、危険物対象外であり10t未満なら指定可燃物の適用も受けない。また、性状変化を起こさないため、災害時の燃料として備蓄するのに非常に適している。

ストーブの構造もシンプルで機械類を使用していないため、緊急時に工具などが手元になくても簡単に組み立てられる。燃焼時には、ほとんど煙を出さなく「特殊コークス」を使えば灰も出ないのでテント下でも使用可能である。

またコークス以外にも薪や廃材なども燃料として燃やせるので、避難所の多くの場面での活躍が期待できそうである。

だれでも組み立てられる簡単構造と、使いやすさ

難所の屋外で「焚き火」をして暖をとろうとしても、慣れていなければなかなか火は点けられず、火力の維持や調整が難しい。また焚き火をしている傍では、飛び火する恐れや、大量の灰や煙の発生により、周りからも良い顔をされないこともあるだろう。「コークス煮炊き暖房ストーブ」なら、着火剤もついているのですぐに火が着く仕組みになっており、灰発生もほとんどないため、だれでも使いやすい。また、しっかりとした安定感のある造りで、特に難しい組み立て部分も無いため、だれもが安全に使用できる。

あたたかさから得られる「安心感」

燃料となるコークス

被災して避難所での生活となれば、誰もが不安な気持ちになるだろう。不安を抱えながらの避難所生活で心が安らぐ瞬間というのは「お風呂に入れるとき」や「あたたかい飲み物や食事が食べられるとき」なのではないだろうか。

日本人は割と衛生面に敏感な性格の人が多いようで、お風呂に入れないことでストレスを抱えて胃を悪くするなど、空腹感よりも不衛生な状態のほうが苦痛と感じる人も多いようだ。お風呂に入れなくても、あたたかいお湯で絞ったおしぼりで身体を拭くだけでリフレッシュできる。冒頭でも述べたが、やはり様々な場面でお湯の必要性は高い。多くの人に安心感を与えられる暖房やお湯を、より早く、より多くの人に届けるためにもこの「コークス煮炊きストーブ」は有効ではないだろうか。

製品開発までの道のりと評判について(株式会社吾妻商会 加治さんのお話)

コークスは備蓄期限がなく、自然発火などの危険性がほぼないという長所と相反して、反応性が低い燃料である為、着火・連続燃焼が可能な仕様に仕上げるべく、長時間の燃焼テストを何度も繰り返し行いました。時には暑い夏でも実験を行い、やっと製品化が実現しました。お洒落な名前を考えたりもしましたが、今までにない特殊な機材やポイントであるコークスを強調したくて、ポイント・用途を羅列したシンプルでかつ分かりやすい商品名にしました。冬期の屋外での防災訓練などで体験した方は、この製品の必要性を体の芯から感じてくれていると思います。燃料・機材ともノーメンテナンスである故、日常使用しない物としては非常に使いやすく保存もしやすい、という評判をいただいています。

珍しい例では、先日都内の特別養護老人ホームに納品したケースがあります。建物の吹き抜け中庭(屋根下)に組み立てて設置したのですが、普段は懐かしいストーブの形をオブジェとして飾っていて、皆さん目で見て楽しんでいらっしゃるそうです。

色々な方の心を暖かくできる、そんな商品であってほしいです。

(監修:レスキューナウ 文・国際ボランティア学生協会 小野槙子)

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