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防災コラムVol.111

「新型インフルエンザ」とその対策(その1)| 防災コラム

公開月:2006年4月

最近、「新型インフルエンザ」という言葉を見聞きする機会が増えてきた。しかし、そもそも「新型インフルエンザ」とは何なのか。毎年流行するインフルエンザとは違うものなのか。第1回目の今回は、そうした視点から新型インフルエンザについてみていきたいと思う。

毎年流行するインフルエンザウイルス

鳥インフルエンザの感染拡大状況(2003年~)

インフルエンザウイルスには、「A型」・「B型」・「C型」と3つのタイプがある。
そして、ヒトの間で流行を繰り返すのが「A型」「B型」のウイルスである。特に「A型」の「Aソ連型」・「A香港型」と呼ばれるウイルスは、よく流行するウイルスとして知られている。

しかし、最近になってこれらウイルスとは異なる新型のインフルエンザウイルス(以下、新型インフルエンザ)の発生が懸念されている。

「新型インフルエンザ」とは

トリ-ヒト感染の致死率

マスコミなどの報道で大きく取り上げられている「鳥インフルエンザウイルス」(以下、鳥インフルエンザ)。鳥インフルエンザはもともと「トリからトリ」へと感染するウイルスであったが、1997年頃からH5N1型と呼ばれる強い毒性をもった鳥インフルエンザが「トリからヒト」へと感染するケースが増えてきた。特にインドネシアではこれまでに多くの犠牲者が出ており、その致死率は60%を超えている。

そして、人間への感染を繰り返していくうちに「ヒトからヒト」に効率よく感染する「新型インフルエンザ」へと変異することが懸念されているのである。

当然、新たに発生したインフルエンザウイルスであるため、人類は免疫を持っていない。また、感染を予防するワクチンもない。そのため、ひとたび新型インフルエンザに感染すると症状が重くなり、死亡する可能性が極めて高くなるのである。厚生労働省では、このH5N1型の新型インフルエンザが大流行した場合、日本国内で最大64万人が死亡するという被害想定を発表している。国では、こうした未曾有の感染症に対して迅速な対応が取れるよう、ガイドラインの作成や法令の改正を行うなど、対策に乗り出している。

過去にもあった「新型インフルエンザ

これまでの新型インフルエンザとの違い

人類はこれまで3回の「新型インフルエンザ」を経験している。

1回目は、第一次世界大戦が終結する要因のひとつとなった「スペイン風邪」(1918年)。2回目は抗生物質が利用されるようになってから初めて発生した「アジア風邪」(1957年)。3回目は、香港で爆発的に流行した「香港風邪」(1968年)である。これら3回の新型インフルエンザが発生した年をみると、およそ10~40年周期で新型インフルエンザが発生していることになる。特に、スペインかぜは全世界で5000万人(推定)もの死者を出した。

しかし、こうした過去に発生した新型インフルエンザが、現在では毎年のように流行するインフルエンザウイルスのはじまりでもあるのだ。つまり、新型インフルエンザが感染を繰り返すうちに人類は免疫を持ち、感染予防のワクチンが開発されることによって、人類にとっては冬の寒い時期に流行する「一般的なインフルエンザウイルス」となるのである。

強い毒性のH5N1型

前述した過去の新型インフルエンザに共通していることは、「毒性が弱いウイルス」だったということである。そのため、感染したとしても症状の程度に差はあるものの肺炎などの呼吸器に限った症状が出ていた。しかし、現在懸念されているH5N1型の新型インフルエンザは強い毒性を持っているため、ウイルスは体全体へとまわり、呼吸器のみならず消化器系などにも影響を与え、多臓器不全で死亡する危険性が指摘されているのである。

【ポイントチェック】

□ 現在、H5N1型の鳥インフルエンザが人間に感染するようになってきた。
□ H5N1型の鳥インフルエンザに人間が感染すると、その致死率は60%以上にもなる。
□ 現在、H5N1型の鳥インフルエンザが、ヒトからヒトへと効率よく感染する「新型インフルエンザ」へと変異することが懸念されている。
□ H5N1型の新型インフルエンザは、強い毒性を持っているため、ウイルスが全身に感染し、多臓器不全に陥る危険性が指摘されている。
□ H5N1型の新型インフルエンザが流行した場合、日本国内では最大3200万人が罹患、64万人が死亡すると試算されている。(2005年12月 厚生労働省 新型インフルエンザ対策行動計画)

次回は、新型インフルエンザ対策と地震対策の違いについて紹介する。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 三澤裕一)

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