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防災コラムVol.99

北陸地方を襲った「7.28豪雨」-富山県南砺市の状況

公開月:2006年4月

NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)の現地活動レポート

北陸地方を襲った大雨被害の概要

北陸地方は7月28日朝、能登半島付近に停滞する前線に湿った空気が流れ込んだ影響で、局地的な大雨に見舞われた。富山県南砺市では1時間に120mm以上の猛烈な雨が降ったとみられ、「記録的短時間大雨情報」が出された。石川県金沢市では市街地を流れる浅野川が氾濫したほか、富山市内でも乗用車が土砂崩れに巻き込まれるなどの被害があった。こうした豪雨災害を受け、国際ボランティア学生協会(IVUSA)では、被害の大きかった富山県南砺市などの現地状況の把握と、浸水被害の復旧支援のため、学生7名と事務局員1名を派遣し、同時に東京の本部では50名規模の追加派遣をする可能性も視野に入れた準備を開始した。なお、この災害救援活動は、財団法人車両競技公益資金記念財団の協力により実施された。

IVUSAの現地活動報告(7月29日~31日)

氾濫した浅野川(石川県金沢市)

発災から2日目の29日夜11時に東京を出発し、翌早朝、富山県南砺市に到着。早速、情報収集を開始した。市内各所を巡行し、同市城端(じょうはな)地区で氾濫した山田川に面している床上浸水した住宅の片付けを行った。その後、状況把握のため対策本部を訪問した。災害ボランティアセンターが立ち上がっていたのでボランティア登録を行い、城端と才川七(さいかわしち)の二地区に別れて倉庫や駐車場に溜った泥をかき出す作業を行った。

才川七地区では、家屋内や側溝、庭などのヘドロのかき出し作業などを行った。周辺の住民も手伝いながら、この日から本格的な作業が開始された模様であった。一方、城端地区はほとんどの家屋が浸水被害を受けていた。このため、住民と一緒に家財の運び出しや家屋内のヘドロのかき出し作業を行った。局所的な被害が目立つ地域では、2つの地区で孤立が続いているような状況だったが、家屋の被害は城端地区が主で、あとは片付けがほぼ終わっている様子であった。また、山間部では土砂崩れが多くみられた。

夕方、南砺市作業組は作業を終了し南砺市災害ボランティアセンターに挨拶、翌日も作業を続けることを確認した。

2日目、この日は前日に作業を行った城端地区・才川七地区以外の地区で主に作業を行った。内容は前日同様、床下・用水路のヘドロかき。50名規模の追加派遣に向けての調整も進めてきたが、今回の被害は局地的であり、被災地住民同士の助け合いもあるため、現地のニーズはないと判断し、これを見送ることとした。

午後は午前中からの作業を継続して行った後、撤収に向けた準備を行い、入浴・仮眠を取った後、帰路についた。

参加学生の所感 法政大学2年 遠藤翔平

豪雨の爪跡が残る(富山県南砺市)

富山県南砺市西太谷地区で2日間、復旧作業に参加しました。
現場は、河川の氾濫によって、屋内は床上までヘドロで覆われているところもありました。また早ければ、あと1ヶ月ほどで収穫をむかえたであろう水田は、濁流ともに流れてきた流木などによって、無惨な状況となっていました。その光景を目の当たりにし改めて、自然の脅威と人間の無力さを痛感させられました。

現地は過疎と少子高齢化の影響で、家主を含め手伝いに来ている親戚や知人は高齢の方ばかりでした。現場での主な作業は、床下、納屋、及び用水路のヘドロ掻きでした。作業は力仕事が大部分で我々学生にとってもでも厳しいものでした。地方のコミュニティの強さを感じると同時に、被災者の精神的また身体的苦痛を考えると胸が痛みました。

今回は、現地行政などとの調整の結果、追加で人手を派遣するには及びませんでした。私達も2日間で作業を切り上げることになりました。床下にまだ水が溜まった状態の家や、散々とした状態の庭、目の前にまだ自分たちにできることがあると思える状況の中、現場を後にしたことに悔いが残りました。それでも、地元の方々は「来てくれてありがとう、本当に助かったよ。」 と、わずかな時間の中でほんのささいな力にしかなれなかった私達に声をかけてくださいました。わずかではありましたが、被災された方々の力になれたことをうれしく思いました。また、人と人の繋がりの大切さを身に染みて感じました。人々が復旧から復興へ歩む姿は力強く、人間は災害に対し決して無力ではないということを知りました。

学生である自分一人では、できることは少ないかもしれません。でも誰かのためになにかしようと思う気持ち、それを行動にうつすことは大切だと思います。そういった意味でも今回このように活動できたことは機会に恵まれていたと思います。現地では、未だ復旧に向けて作業が続いています。住民の方々が少しでも早く安らかな生活に戻れることを祈るばかりです。

*特定非営利活動法人 国際ボランティア学生協会
1992年、学生の「夢企画」でラオス小学校建設活動を実現させ、小学校建設に参加した学生が、1993年に起こった北海道南西沖地震の救援活動を実施。その後、阪神・淡路大震災、台湾大地震をはじめ、国内国外問わず数々の災害救援活動を展開。2006年にはこれまでの災害救援・防災分野での活動が認められ、総務省より第10回防災まちづくり大賞 総務大臣賞、内閣府より内閣総理大臣賞を受賞した。
2002年にNPO法人としての認証を受け、15年間の中で行った事業数は653事業、参加者は27,038名にのぼる。2008年度8月現在、会員数1143名、55大学の会員が所属し、年間約70の事業を行う。

(監修:レスキューナウ 文・国際ボランティア学生協会 小野槙子)

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