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防災コラムVol.83

竜巻注意情報の発表が始まった

公開月:2006年3月

この3月から新たに発表が始まった「竜巻注意情報」。その内容とは、そして竜巻に対する備えとは。

竜巻注意情報とは

気象庁は2008年3月26日から「竜巻注意情報」の発表を新たに始めた。この情報は、竜巻に代表される激しい突風に対して、事前に注意を呼びかけるために発表されるものである。気象庁はこの発表に先立ち、「竜巻注意情報の的中率は10%未満」との見解を示していたが、発表開始の翌日には早くも熊本県・鹿児島県・宮崎県に情報が発表されている。しかしながらこのうち、鹿児島県では竜巻注意情報の発表前に竜巻が発生し、家屋等50棟に一部損壊などの被害を及ぼしたことが明らかになった。

このように、的中率や発表のタイミングなど多くの課題を抱えつつも竜巻注意情報が発表されるようになった背景は、竜巻によって近年大きな被害が相次いで発生したことにある。特に2006年は、9月に宮崎県延岡市で3人が、さらに11月には北海道佐呂間町で9人がそれぞれ竜巻によって亡くなった。国内で竜巻によってこれだけ多くの犠牲者が出たことはかつてなく、この災害をきっかけに事前の情報発表が強く求められるようになったのである。

竜巻とは

2006年11月に北海道佐呂間町を襲った竜巻被害の様子

竜巻注意情報が扱う「激しい突風」は、大きく「竜巻」と「ダウンバースト」に分けられる。竜巻は上空への強力な空気の巻上げ、ダウンバーストは逆に上空からの強い下降気流、と突風の吹く方向は正反対であるが、どちらも「入道雲」として知られている発達した積乱雲の下で発生する。従って、こうした突風の発生する気象条件は、積乱雲の発達しやすい時と一致する。これは例えば、上空に寒気が流れ込んで来た時、寒冷前線が通過する時、台風の接近時などが該当する。竜巻やダウンバーストのような激しい突風の特徴としては、突風の影響する範囲は狭く(直径数百mほど、長さ数kmほど)、発生から消滅までの時間も数分から数十分程度と短い。しかし、その範囲内では秒速数十mと台風並みの強風が吹き、家屋が倒壊したり車が裏返しになるなどの大きな被害が生じる。また、竜巻の場合は移動速度が時速数十kmと速いのも特徴で、竜巻が発生してから避難することはかなり難しい。

しかし、竜巻は積乱雲の下で発生するので、雷の発生や雷鳴とともに空が急に真っ暗になる、大粒の雨や雹(ひょう)が降り出す、急に風が吹き始める、といった竜巻発生の可能性をうかがわせる急激な天候の変化に注意し、自主的に事前の対策をとることはできる。

竜巻注意情報の発表形式

竜巻注意情報のリーフレット(気象庁HPより)

竜巻注意情報は発表の形式において従来の気象情報とは大きく異なる点がいくつかあるため、情報を受け取る際には注意が必要である。まず、竜巻注意情報はこの情報が単独でいきなり発表されるのではなく、竜巻の発生の可能性に応じて他の気象情報や注意報とともに段階的に発表されるということである。

竜巻の発生する可能性の高い時点から半日から一日程度前に「気象情報」が発表され、発表文の中で「竜巻などの激しい突風のおそれ」が明記される。続いて、数時間前に雷注意報が発表された際には、発表文に「付加事項 竜巻」と明記し注意喚起される。その上で、レーダー観測等から竜巻などの激しい突風が発生する可能性が高いと判断された段階で、初めて竜巻注意情報が発表される。また、竜巻注意情報は都道府県単位で発表されるが、その中で竜巻の発生する可能性の高いとされる地域が「対象地域」として明記される。この「対象地域」は警報・注意報で使われる地域区分と同じであるので、自分の住む都道府県に竜巻注意情報が発表された際には、都道府県内のどの地域に発表されているかに注意を払う必要がある。そして、従来の警報・注意報とは決定的に異なる点として、発表時刻から一時間程度に設定された「情報の有効期間」が明記されていることがあげられる。これは、竜巻のような激しい気象現象がごく短時間のうちに経過することから、従来の警報・注意報より時間を細かく区切った発表形式をとっていることによる。なお、設定された有効期間を過ぎてさらに注意を要する状況が続く場合には、第2号、第3号・・のように再度発表される。

竜巻への備え

このように、竜巻などの激しい突風はごく短時間に局地的に発生するものの、その破壊力の大きさから生命の危険にさらされるような重大な被害を引き起こす可能性も高い気象現象である。このため、竜巻注意報が発表された場合には、強固な造りになっている屋内に避難するなど身の安全を図ることがまず大事となる。しかし、先に紹介したように、情報の発表前に竜巻が発生しているケースも多く、竜巻注意情報が出ずとも避難などの行動をとることも考えたい。また、これから夏にかけては、キャンプや水遊びといったレジャーのほか、スポーツや祭りなど屋外でのイベントが行われることが多くなる。その一方で、夏は雷の発生や台風の襲来などが相次ぎ、竜巻の発生しやすい気象条件が揃う時期でもある。こうした際には、竜巻注意情報の発表時はもちろんのこと、それに先立つ気象情報や雷注意報の発表、そして前段で紹介したような天候の急変などにも注意しながら各個人が危険回避に努めるとともに、主催する側にあっては状況に応じてレジャーやイベントの短縮や中止といった判断も求められよう。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 水上崇)

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