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防災コラムVol.82

アマチュア無線と地域メディアの連携を目指して

公開月:2006年3月

『被災者へ役立つ情報を迅速・的確に届ける』情報支援を行うため設立された日本災害情報サポートネットワーク(J-DINS)の活動を紹介する。

大災害時に確かな、役立つ情報を被災者へ届けたい

「私がいくつもの被災地で学んだことは、被災者に必要な情報が十分に伝わっていないということ。被災者が必要とする的確な情報を提供するシステムは、まだまだ多くの課題をもっている現状にある」と語るのは防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏。
緊急時だからこそ、被災地の場所にかかわらず、被災者の求める情報を迅速・的確に届けられるようにすることが必要となるが、その一助となる組織「日本災害情報サポートネットワーク(J-DINS)」が設立された。

NPO法人日本災害情報サポートネットワーク(J-DINS)の設立

無線による通信訓練の様子

2007年春、アマチュア無線ネットワークなどを基軸に情報を収集整理し、主に被災地のコミュニティFM局などの地域メディアへ情報を提供することで、被災者がいち早く適切な情報を受け取れるように支援することを目的に、NPO法人日本災害情報サポートネットワーク(Japan Disaster Information Support Network 以下、J-DINS)が設立された。J-DINSの理事長でもある前出の渡辺氏は多くの各種災害で、アマチュア無線家が日々の訓練と連携を活かし、被災地での情報収集などで活躍する様子を目の当たりにし、人的ネットワークを含む無線の有用性を感じていた。また、新潟県中越地震が発生した際、コミュニティFM局が被災地への情報発信を行ったことに、地域メディアが災害時に果たす役割と可能性をあらためて感じたという。

地上波も含め災害放送の最大の課題は、発災直後の混乱のなかで行われる情報収集とその整理・分析、そして被災者への伝達にある。しかし被災地内のメディアは自らも被災し、情報収集も発信も困難になる場合が考えられるため、外部からの支援活動は必至になるであろう。J-DINSは訓練経験を活かして、災害発生時には被災地やその周辺に開局されているアマチュア無線局と連携して地域情報を収集し、それら情報の整理・分析を行ったうえで、有用と判断した情報を地域メディアなどへ伝達、メディアが被災者へ必要な情報を届けることを目指している。これらのサポート活動を通じて、多くのアマチュア無線家との交信によって情報を精査し、無線機を持たない被災者へも情報を届けるという流れを作り出したいという。

情報支援活動の訓練と中越沖地震における現地調査

被災地情報の発信を続けた「FMピッカラ」(新潟県中越沖地震被災時)

平常時、J-DINSはホームページを開設して様々な防災・減災情報の発信・交換の場などを設け、また講演会などイベントも開催し、防災・減災力向上に資する活動を行っている。また、アマチュア無線のネットワークなどと連携し、大地震等災害時を想定した情報通信の訓練に取り組んでいる。2007年8月には事務局に無線機およびアンテナを設置し、社団局<日本災害情報サポートネットワークハムクラブ JQ1YRU>をスタート。同年10月には日本テレビハムクラブと連携して非常用通信を想定した通信訓練を行い、首都圏直下地震発生時に携帯電話などの通信機能が使用不能になったと想定し、オートバイに積載した移動局とJ-DINSの固定局、そして日本テレビ非常無線室との間で感度交換による無線機およびアンテナの動作確認を目的とする通信訓練を実施。また、2008年2月にはインターネットとアマチュア無線を活用した「WiRES(ワイアーズ)」が導入された。

2007年の新潟県中越沖地震が発生した1ヵ月後には、被災地の地域メディアとして活躍した柏崎市の『FMピッカラ』を中心に現地取材・調査を実施。『FMピッカラ』が「被災地を支えるライフライン」として「災害時に必要な情報を放送してくれる重要な地域メディアである」という市民との信頼関係を築き、その役割を大いに果たしていることを再認識する一方、災害時の放送を支えるスタッフや経済基盤の不足、難聴エリアに対しどう情報を届けるのかなどの具体的な課題が少なからず見えてきたという。
アマチュア無線と地域メディアの連携による災害時の情報支援を目指すJ-DINS。
被災者が必要とする的確な情報が十分に伝えられる社会の実現に向けて、その果たす役割が注目を集めている。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 大川義弘)

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