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防災コラムVol.71

「地震だ、火を消せ」は間違いか?

公開月:2006年3月

1~3月は一年で最も火災が発生する季節。いざという時の行動について知っておこう。

火を消そうとして負傷

揺れを感じたらコンロからまず離れる

「地震だ、火を消せ」と昔から標語のようにいわれている。大きな揺れを感じた時には真っ先に台所のガス台などの火を消すと思っている人は多いだろう。1923(大正12)年に起きた関東大震災はちょうど正午近くだったため火災が各地で発生。10万人以上といわれる犠牲者の多くが火災で亡くなったとされる。このため、「地震だ、火を消せ」が防災の標語として語り継がれてきたのだろう。

しかし、起震車で揺れを体験してみると分かるように、震度6の揺れではとても火を消しに行けるものではない。無理して火を消しに行こうとして、落ちてきたヤカンで大やけどを負うこともある。2007年7月の新潟県中越沖地震でも負傷者のうち、やけどした人は、いずれも地震時に火を消そうとして負傷したといわれている。

ガスや石油ストーブの対策進む

大きな揺れの時は最低限のことしかできない。とにかく、近くの机の下に身を隠すなど、身の安全を確保することを最優先に考えてほしい。直下型地震であれば、大きな揺れは1分程度で収まる。揺れが収まったら、安全を確かめて、火を消すという順序がよいだろう。もし出火していても、1~2分程度では大きく燃え広がらない。近くの消火器やバケツの水などで消火活動をしよう。ガス台の火も最近の都市ガスは震度5程度の地震の揺れで、屋内へのガスを自動的にストップさせる「マイコンメーター」が取り付けられており、関東大震災の時代に比べてはるかに安全になっている。
また、石油ストーブやガスストーブを使っている場合は、「耐震自動消火装置付」「転倒時ガス遮断装置付」のものがお薦め。非常時の対応よりも平常時からの備えが確実ということだ。

「間違い」と言い切れるか?

必ずブレーカーを落としてから避難する

このためテレビの防災番組などで、「地震だ、火を消せ」は過去のもの、間違いなどと解説していることがある。しかし「間違い」と言い切ってしまうのもいかがだろうか。確かに、大きな揺れの最中に火を消しに行くことは大変危険だ。しかし、最初の揺れがそれほど強い衝撃ではない場合もある。少しグラッと感じたその瞬間に火のそばにいたなら、ためらわずすぐに消そう。さらに揺れが収まったら、無理をせずに注意しながら火を消しに行くことは相変わらず重要なポイントである。

ただし、揺れが収まっても台所などは食器の破片などが散乱している可能性がある。不用意に裸足で行くと思わぬけがをすることがある。スリッパを履くなど安全確保に注意しながら消火しよう。

なお、直下型地震の場合は1分程度で大きな揺れが収まるが、東海地震、東南海・南海地震など海底に沈み込んだプレート(地球の岩盤)が跳ね上がって起きるマグニチュード8クラスの「超巨大地震」の場合は何分たっても揺れ続けるという。昭和の南海地震を体験した人の話では、揺れが収まることはないようにさえ感じられたようだ。そのような場合でも数分後には、揺れが最初に比べれば少し小さくなるようで、動けるようになった時点で行動するようにしよう。

東京消防庁が作成した「地震 その時10のポイント」は参考になる。ぜひ一度、家族と一緒に読んでみることを薦めたい。第1のポイントが「グラッときたら身の安全」、次に「火を消せ」については「落ちついて火の元確認 初期消火」とした上で、「揺れがおさまってから、あわてずに火の始末をする」と解説されている。

通電火災の危険にも注意

もう一つ、10番目のポイントを紹介しよう。「避難の前に安全確認 電気・ガス」と書かれている。阪神・淡路大震災では地震が起きて、ほどなく火災が発生した。大地震の直後に停電しても、電気は意外に早く復旧する。その時、スイッチがオンになっていた電気ストーブや家具の下敷きになって圧迫されている電気コードなどに通電すると、無人の家から出火する「通電火災」が起きることがある。電気のブレーカーを切って、ガスの元栓もしっかり締めてから避難することが大切だ。普段から意識しておかないと、いざというときに行動できないため、旅行で数日家をあける時も心がけたいものだ。

(監修:レスキューナウ 文:渋谷和久 国土交通省九州地方整備局総務部長。内閣府防災担当企画官などを経て、2006年7月より現職)

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