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防災コラムVol.54

災害の一日前に戻れるとしたら

公開月:2006年2月

被災者の声を集めた内閣府のホームページには災害対策の知恵が詰まっている。

地震や水害の体験談

内閣府のホームページに、「一日前プロジェクト」というサイトがある。「もし災害の一日前に戻れるとしたら、あなたは何をしますか」をテーマに、被災直後の行動、体験を通じて上手くいったと思うこと、失敗したと思うこと、もう一度災害が発生したら次はどのように行動したいかなどを実際に災害に遭った人から聞き取り、サイトに掲載している。扱っている災害は、福岡県を襲った水害(2003年)、新潟県中越地震(2004年)、福岡県西方沖地震(2005年)など多くの災害の体験談を集め、ショートストーリーにまとめている。

難しくない家具の固定

地震で室内は足の踏み場もなくなった

福岡県西方沖地震に遭った福岡市の男性の話を紹介しよう。
『仏壇が3mぐらい離れた自分のところに飛んできました。(中略)仏壇の修理をしなければと、仏具屋さんに見積もりを出してもらったら600万とかいったので、「接着剤で直す」といいました。ずっと今でも直しています。それから、買ったばかりの48インチの大型薄型テレビも、倒れてきたタンスの下敷きになってペチャンコになってしまいました。「あれっ、それはないやろう」って。もう、保険なんか全然かけてないですからね』

仏壇が3mも飛んで、頭に命中したらと考えるだけで怖い。阪神・淡路大震災では、テレビや便器までが飛んできたそうだ。また、タンスなどの大きな家具の下敷きになって亡くなった人やけがをした人が大勢いた。家具の固定は「大手術」ではないため、今すぐできる。まだの人は早速始めよう。少なくとも固定されていない大型家具のすぐ横で寝ることだけは今晩から控えよう。

家具の固定はそれほど難しくない。家具と壁や柱を金具や鎖などでつなぎ、ねじ釘で固定する。今はいろいろな「固定グッズ」も販売されているが、やはり、しっかり固定した方が安心である。大きな家具は倒れてくると凶器になるが、しっかり固定されると、「生存空間」を確保してくれる場合もある。阪神・淡路大震災で2階が崩落してきたのに、「ちゃぶ台」でできたわずかな「すき間」で命を救われた人もいた。

なお、震度6強以上だと固定していても家具は倒れてくる。それでも、きちんと固定してあれば数秒の猶予が生まれる。その数秒が命を救うかもしれないのだ。

つくりつけの家具という知恵

内閣府の「一日前プロジェクト」のサイト

もっと確実な方法もある。先ほどの「一日前プロジェクト」から同じく福岡市の方をもう一人紹介しよう。
『私の家は9階建のマンションの最上階です。地震が起きた時は、まず体験したことがない揺れでしたので、「あ、このマンション倒れるな」とふと思いました。(中略)
うちは幸運にも、4、5年前にリフォームをして、家具を全部「つくりつけ」にしていましたので、タンスが倒れることもありませんでした。隣の家に行ってみると、棚の上のテレビは落ち、大きな家具は倒れ、金魚鉢も見事に割れていました。
家具を「つくりつけ」にしたのは、地震を意識していたわけではないんです。収納力がアップするし、見栄えもいいという、ただそれだけの理由でした。
今回の地震で、つくりつけの家具と後置きの家具がこんなに違うんだということを実感しました。ほんとうに、たまたまでしたが、ラッキーでした』

「つくりつけ」の家具とは、壁などと一体化して作られた家具のことである。リフォームを考え中の人は上に紹介したような体験談を参考にしたらいかがだろうか。

自分に置き換える

内閣府の「一日前プロジェクト報告書」は、自分だったら、我が家だったら、我が社だったら、というように、自分に置き換えて読んでほしいと呼びかけている。けがをしない、死なないためのエピソードを集めたこのサイトをまだ見たことのない人は、一度じっくり読んで、災害対策のヒントにして欲しい。

(監修:レスキューナウ 文:渋谷和久 国土交通省九州地方整備局総務部長。内閣府防災担当企画官などを経て、2006年7月より現職)

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