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防災コラムVol.49

緊急地震速報を家庭で活用するために

公開月:2006年2月

一般への提供を前に先行してライフライン事業者などに導入されたが、そこから学べる重要なことがある。

素早い対応が可能に

2007年7月16日午前10時13分、災害情報を24時間態勢で監視する東京・品川区のレスキューナウ 危機管理情報センター(RIC)のパソコンから突然サイレンの音が鳴り、スクリーンが点滅を始めた。センターにいたスタッフが定時の電話取材とWebチェックを終えたその時だった。画面には「46秒、震度3」という表示が現れた。緊急地震速報だった。緊急地震速報とは、地震の規模や観測点の位置などから、揺れ始めるより前にあと何秒位で、どの程度の揺れが起きるかという情報を通信回線を使って伝えるものである。2007年10月から一般向けに提供される予定だが、有効に活用するために心がけておくことはないだろうか。

先行提供から見えること

工事現場の事故、鉄道の運行停止、工場の生産ライン停止などの事故を抑止・軽減させるため、鉄道会社やライフライン事業者などのうち、希望する事業者を中心に、2006年8月から緊急地震速報の先行提供が始まっている。そのような先行して速報を受け取っている病院では手術中に緊急地震速報が流れた場合、手術を中断し、医師らは安全を確保しながら、手術台から患者が転落しないようにするための訓練をしている。

専用回線を通じて情報を受け取る工場では、緊急地震速報が伝えられると、人を介さずに自動で工場ラインを停止させるなどの取り組みが検討されている。生産ラインの被害を最小限にしたり、復旧までの期間を短くすることが期待されている。ラインだけでなく、社員を守るため、緊急地震速報を利用する事業者では教育活動や、転倒や落下の恐れのある場所から速やかに避難するなどの訓練も積極的に行われている。

家庭での利用について

NHKのテレビ画面ではチャイム音とともに、地震の発生場所と地図などが表示される(提供:NHK)

家庭で緊急地震速報を受け取るには、テレビや家庭用通報装置(受信機)、パソコンなどが必要だ。まずテレビについては、NHKが10月からテレビとラジオによる緊急地震速報を開始する予定。テレビで緊急地震速が発表されるとチャイム(報知音)が鳴り、画面に揺れの大きい地域の地図が表示され、「以下の地域では強い揺れに備えてください」などと放送する。現在、NHKテレビで緊急地震速報の紹介が繰り返し放送されており、一度は目にしているのではないだろうか。ただ、この速報はテレビが点いていて、NHKにチャンネルを合わせていないと利用できない。

次に家庭用通報装置(受信機)の場合、チャイム(報知音)が流れるのはテレビと同じだが、液晶パネルなどがあるものは、現在地の予想震度や揺れ始めるまでの時間を表示する。家庭用通報装置は10月に向けて予約販売が始まっており、一般向けで価格は8万円程度からとなっている。

こうした高額のサービスでなく、小額のサービスも検討されている。専用アプリケーションをインターネットからダウンロードし、インストールすることで、緊急地震速報を画面の表示と報知音で知らせてくれるものだ。

携帯電話を使った緊急地震速報サービスの研究も進められている。携帯電話各社は特定エリアの携帯電話に緊急地震速報を一斉同報するシステムの開発を発表した(2007年6月現在)。実現すれば携帯電話のメールを大量に配信した場合に起きる遅延がなく、早期に伝えることができるといい、有効なツールになると期待されている。

行動の優先順位付けを

気象庁も一般への周知を図っている

緊急地震速報は受信端末を備えただけで安心してはいけない。速報を受け取ったら、「まず姿勢を低くして机の下に隠れる」などと具体的な行動を決めておくことが必要だ。その際に大事なのは、自分自身の身を守るために行動を優先順位をつけて整理しておくことである。あれも、これもと考えておいても、揺れが来るまでの時間に余裕がない場合にとれる行動はほとんどないかも知れない。その時に、より迅速に行動できるようにするためには、あわせて、普段からの訓練が必要となる。頭よりも体で覚えるというわけだ。

緊急地震速報は地震予知ではない。あくまでも「既に発生した地震についての速報」である。だから、緊急地震速報が来たら、そこで伝えられる揺れが起きる規模の地震が既に起こったという報せでもあることを強く認識して欲しい。

10月から開始される予定の緊急地震速報の一般公開において、様々な機器やツールが一斉に提供されるだろう。しかし、それは事前にどういう行動をとるのか、自分自身や家族を守るために何をしなければいけないのかをしっかりと整理、訓練した場合に初めて有効となる。その上でどのような形態のサービスが自分にとって有効なのか、よく比較した上で家庭への導入を検討してみてはいかがだろうか。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 大脇桂)

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