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防災コラムVol.35

「いつ起きても不思議ではない」東海地震について知ろう

公開月:2006年2月

東海地震は予知できる唯一の地震といわれている。その対策を探った。

確実な予知は不可能

日本では1年に約1000回もの有感地震が起きていることをご存知だろうか。大きな被害が発生することも少なくなく、地震大国といわれるゆえんである。いつ・どこで・どの程度の大きさの地震が発生するのか事前に分かれば被害が減らせるとして、研究者の手で地震雲、気温、動物の異常行動、電磁波や地下水などの前兆現象、月の引力や地震の規則性、夜間の気温、GPS(衛星利用測位システム)による観測など様々なものが研究されてきたが、残念ながら地震を確実に予知する技術はまだ確立されていない。しかし、その中で東海地震に限っては原因となる地盤の構造が解明されているため、予知できる可能性が唯一あるといわれている。今回はその東海地震にスポットを当てる。

100年周期で繰り返し発生

家具の固定をしておこう

東海地震とは駿河湾付近を震源に約100年周期で繰り返し発生するとされる巨大地震である。前回の1854年の安政東海地震以来、東海地震は150年以上発生しておらず、そのため「いつ起きても不思議ではない」とされる。政府の予測によると、東海地震が発生すれば静岡県全域、愛知、山梨、東京、神奈川、長野、岐阜、三重の一部が震度6弱以上、場所によって震度7の揺れが観測されるとされ、26万棟の建物の全壊、9200人の死者が発生する。また、太平洋沿岸の広範囲で津波が発生すると予想されている。また、東海道新幹線や東名高速道路、国道1号線などの交通機関にも甚大な被害が出るという。

ひずみ計で初期段階を検知

過去の研究から、東海地震はフィリピン海プレートが日本の陸地があるプレートの下に沈み込むため、陸地のあるプレートは引きずられるように傾いたり曲がったりして、これが耐え切れなくなって元に戻ろうとする時、大きな地震が発生することが分かっている。これは「プレート型地震」といわれる地震である。気象庁は地下200mに設置したプレートのひずみや傾きを観測する20箇所の「ひずみ計」などによって、陸地プレートが元に戻ろうとする「前兆すべり」(プレスリップ)の初期段階を検知し、危険度に応じて段階的に情報を発表する。

観測、注意、予知の3段階

政府は、東海地震で26万棟の建物が全壊すると予測。写真は能登半島地震で崩れた民家

まず、1つのひずみ計に異常な値が観測された場合、気象庁は「東海地震観測情報」を発表するが、この時点ではまだ予知の判断はできない。次に、2つのひずみ計に異常な値が観測された場合、「東海地震注意情報」を発表する。この時点で6人の専門家からなる判定会が参集され、協議のうえ、前兆現象の可能性が高まっていることを発表する。そして、3つ以上のひずみ計に異常な値が観測され、プレスリップが発生した場合、「東海地震予知情報」を発表する。「予知情報」の報告を受けた総理大臣は、閣議を開き、最も危険度が高い場合、「警戒宣言」を出す。これは総理大臣が「○時間以内にマグニチュード○程度の地震が発生する恐れがある」などと発表するもので、「警戒宣言」が発令されると、静岡県のほか、神奈川県西部や山梨県など8都県263市町村の「地震防災対策強化地域」では、地震災害警戒本部が設置され、防災体制に入る。

ただ、東海地震関連情報は「注意情報」の次に「予知情報」が発表されるとは限らず、状況次第で予知情報が出ないまま東海地震が起こることもある。そのため静岡県では東海地震を想定した防災訓練で「予知あり」「予知なし」の2つのパターンを作成し、それぞれ訓練を行っている。また、東海地震を予知するシステムは、あくまでも地震が発生する構造が「プレート型」の場合だけであって、それとは異なる「活断層型」の地震については予知できないことを理解しておく必要がある。

警戒宣言が発表されたら

「警戒宣言」が発令されると、東海道新幹線やJR在来線、私鉄、バスなどの公共交通機関は運転を取りやめ、高速道路や一般道は交通が規制される。「地震防災対策強化地域」以外の地域でも道路や電車の速度が規制され、学校では授業を中止し、児童・生徒の帰宅が始まる。病院、介護施設、原子力発電所や化学工場、ガソリンスタンド、百貨店なども事前に定められた対応を行う。警察や消防では、交通規制、治安の維持、火災や重点警戒地域の見回りなど防災計画に沿って対応する。自治体は津波、がけ崩れの危険地域から住民を避難させるなどの対策を実施する。

家族で事前に話し合う

東海地震予知情報も地震の発生のようにいつ発表されるかわからない。外出時、交通規制で帰宅できなかったり、乗っている電車が止まることも考えられるため、予知情報が発表された際にどうするのかを家族で決めておく必要がある。家族同士で約束ごとを決めておけば、徒歩などで無理に帰宅せず、安全な建物の中で地震の発生に備えることができる。電話やメールがつながりにくい場合には、「災害用伝言ダイヤル171」や「災害用伝言板」を利用できるよう練習もしておく必要がある。その後、予知情報が解除されたり、東海地震が発生した場合の家族が集まる場所も決めておこう。最近では災害の様子をリアルに描いた漫画や絵本、小説などの書籍が多く出版されている。地震に備える上で参考になり、まだ起きていない「21世紀の東海地震」に備えて事前にイメージを働かせることができるだろう。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 大脇桂)

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