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防災コラムVol.31

学生による三宅島支援

公開月:2006年2月

被災地を訪れた学生が肌で感じたものは何だろうか。

IVUSAによる三宅島復興支援

三宅島噴火から5年経った2005年2月、住民の帰島がようやく始まった。同年7月までに約3000人が帰島しているが、NPO法人「国際ボランティア学生協会」(IVUSA)は噴火当初から「三宅島災害・東京ボランティアセンター」の事業に協力して「島民ふれあい集会」や「帰島支援事業」に参加してきた。2007年2月には島民との交流を中心に支援活動として50人の学生が三宅島を訪れた。その一員として参加した伊東亜佐子さんと山中慎一さんの学生2人の声を紹介する。

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なじんだ地域を離れる辛さ

ボランティア支援センター、村役場、島民などから貴重な話を聞いた

伊東亜佐子さん(法政大学2年)の話
「火山灰やガスの影響で真っ白に染まった木々、椎取神社の鳥居が埋まった様子などを見た。私の常識では考えられない光景だった。噴火以来、三宅島の人々は避難生活を送られたそうだが、なじんだ地域を離れる辛さは尋常でなかったと思う。島民宅を訪問した際、全島避難で牧場の牛を手放したことや、東京で新しい趣味を見つけたことを聞くことができた。噴火やガスの影響で大変ながらも、明るく前向きに生きている様子が伝わってきた。

帰京予定日の前夜、台風のように風が吹き、雨が強く降っていた。東京からの船が着く時間、『天候の関係で東京湾を出た船は東京に引き返しました』と島内放送が流れた。自然の影響を受けながら生きている島の生活を体感し驚くとともに、1日多く三宅島に滞在でき、前向きな島民の方と過ごせる時間が増えた幸運を喜んだ。

「風の家」で島民と交流

ボランティア支援センター、三宅島役場、島民、高齢者の暮らしを支援する「風の家」、支庁、社会福祉協議会など様々な立場から、お話を聞く機会に恵まれ、多角的に三宅島の問題を考えることができた。『お嫁においで』といって下さった多くの島民の方々、貴重なお話、楽しい島唄、三宅島で感じた温かい気持ち、すべてが宝物だ。再び三宅島を訪れ、今回出会った皆さんと再会できることを楽しみにしている。本当に貴重な体験をありがとうございました」

 

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逆境をプラスに変えるたくましさ

島民ガイドによる島内バス一周見学

山中慎一さん(慶應義塾大学4年)の話
「三宅島を見て回った中で三宅高校の近くにある砂防ダムから見渡せる景色や大路池の湖畔から見た風景は、青々としておりとてもきれいだった。そこではアカコッコ、ヤマガラ、ウグイスなどの鳴き声が聞け、三宅島の魅力的な面を見ることが出来た。一方で、木々の枯れ果てた姿や新澪池跡、旧阿古小中学校跡など噴火による溶岩流やガスなどで被災した建物や、生命の営みを感じることができない光景を目の当たりにし、とても同じ島とは思えなかった。このような環境で三宅島の住民は生活している。噴火の爪あとが7年たった今でも残っており、三宅島の方々の生活がどれだけ辛く困難であるかひしひしと感じた。

しかし、このような災害に遭いながらも、三宅島の方々はそこを観光地として、自分の置かれた環境を前向きに捉え生活し、より成長していこうという姿勢が感じられた。噴火災害は三宅島の人々にとって単なるピンチではなく、自分たちの逆境をバネにプラスへ変えようと考え直しているたくましさを見た。短い滞在期間だったが、三宅島の自然や人々の考え方を感じることができ、とても勉強になった」

復興に向けて歩み出した島

島に戻った住民のほとんどは高齢者で、島の一部は火山性ガスの噴出による立ち入り禁止区域となっている。島の前途はまだ厳しいが、観光産業の復活を目指し、釣りやダイビング、バードウォッチングなどのレジャーに加え、自転車やオートバイのレースが開催される予定もあり、温泉施設も再開に向けて修復工事が進められている。島民の多くは、より多くの人に島を訪れてもらいたいと話す。長期休暇を利用して復興に向けて歩み出した三宅島を訪れてみてはいかがだろうか。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 大川義弘)

(注)NPO法人「国際ボランティア学生協会」(IVUSA)
首都圏の学生を中心に1993年より災害救援・国際協力・社会福祉・環境保護を柱に、ラオスやネパールの小学校建設、インド住宅建設、韓国人学生と韓国にあるハンセン氏病患者の村での生活支援活動などを行う。北海道南西沖地震、阪神・淡路大震災、中越地震などで救援活動を展開。一連の救援活動や会員への危機管理講習、災害想定訓練などが評価され、2006年に『第10回防災まちづくり大賞』で最高賞の総務大臣賞受賞。参加大学52校、学生会員512人。2002年5月、東京都よりNPO法人(特定非営利活動法人)として認証された。2000年夏の三宅島噴火に際して約30人を派遣、火山灰の除去作業などを行った。

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