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防災コラムVol.27

テロに遭うリスクを減らす

公開月:2006年1月

世界で相次ぐテロ。被害に遭わないようにするにはどのような行動が必要なのだろうか。

海外でも日本人が犠牲に

米国の9・11テロ(2001年)、インドネシアのバリ島爆弾テロ(2002年)、英国の地下鉄駅構内でのテロ(2005年)など、テロの脅威は中東などの一部の地域だけでなく、日本人が旅行したり駐在生活を送る地域でも起きている。これらのテロでは日本人の犠牲者が出ており、テロの脅威から完全に逃れるのは難しいといえそうだが、普段からテロへ備えることはあるのではないか。

目に訴えるテロ対策

外務省では海外の危険情報をホームページで公開している

1995年3月20日の地下鉄サリン事件をはじめ、マドリードで列車を標的にしたテロ事件(2004年)が発生していることでも分かるように、鉄道関連施設は狙われやすい場所である。こうしたテロを踏まえて日本の各鉄道事業者ではテロ対策を進めている。例えば駅員は「警備」と書かれた腕章を巻いていたり、駅の電光掲示板や電車内のテレビ画面に警備を強化している旨の案内が日本語と英語で表示されている。国土交通省鉄道局の担当者はあるインタビューで、「警戒していることを外部に明示することで、テロリストの心理的な抑止を狙っている」と述べており、「見せる警備」という手の内を明かしている。

 

まず頭部の保護を

爆発が起きたら姿勢を低くし、頭部から首をかばんなどで保護する

爆弾の爆発現場に居合わせた場合、がれきやガラスが頭上に降り注ぐため、防災用ヘルメットに代わる物として、かばんやリュックサックなどで頭部を保護するようにしよう。その時、かばんやリュックサックは頭に直接当てずに、頭から少し離すのがポイント。少し空間を作ることでクッションとなり、落下物の衝撃をまともに受けずに済む。

次に、最初の爆発が収まっても第2・第3の爆発の恐れがあるため、内閣府ではその場から離れるよう呼びかけている。9・11テロでは世界貿易センタービル北棟に飛行機が突入後、メディアが一斉に取材を始め、テレビなどを通じて世界の目がニューヨークに集まっていた。その最中に別の飛行機が南棟に突入した。1998年8月の在ケニア米国大使館を狙った爆破テロ事件でもやはり2回爆発しており、1回目の爆発で現場周囲の関心を引きつけ、そのタイミングで2回目の爆発をしかけることで、犠牲者の数を増やすのだ。これがテロリストの常とう手段であり、最初の爆発後に可能な限り早く現場から逃げるのが賢明だ。

一酸化炭素を吸わない

逃げる際には煙への注意が必要である。火災と同様に姿勢を低くし、口と鼻をハンカチで覆い、煙の中に含まれる一酸化炭素(CO)を吸い込まないようにする。一酸化炭素は三呼吸でも中毒症状を起こし、意識不明に陥ることもある。そして煙が上昇するため、上の階へ逃げてはいけない。また、空気の流入を防いで炎の勢いを抑えるため、出入り口のドアを閉める必要がある。

爆発の直後はがれきに挟まれたりして身動きがとれないこともありうる。こうした場合は、携帯電話やホイッスルなどの音を出して自分がいることを知らせよう。他の人が気付くように着信音を最大にしたり、携帯電話がない時は周囲の物を叩いてもよいだろう。また、吹かずに大きな音が出るホイッスルが市販されている。

周囲の異変は即通報

以上のように、爆破テロ事件に備えるためにあえて特別な物を用意する必要はないのかも知れない。地震や台風などの災害に備えるため、日頃どれだけの準備をしているかが、爆破テロ事件では試されているのではないだろうか。ただその前に、私たちはテロを抑止する行動を何かしらとれるだろう。過去のテロ事件では犯人の不審な行動が住人に目撃されているが、そうした情報が警察当局に十分に届いていなかった。警視庁などでは以下のような場合に通報するよう呼びかけている。

  • 早朝、深夜に人目を避けて部屋に出入りしている
  • 一日中カーテンを閉めて部屋の中を見えないようにしている
  • 誰もいないはずの部屋で人の気配がする

私たち一人一人の目と行動が悲惨なテロを防ぐ一助になることを理解しておこう。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 三澤裕一)

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