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防災コラムVol.20

落下物から子どもを守る

公開月:2006年1月

地震の揺れで頭上から物が落ちてくる。危険から子どもたちを守るため、親ができることは何だろうか。

防災ずきんで大丈夫か

学校の避難訓練などで防災ずきんを頭にかぶった経験のある方は多いだろう。防災ずきんは太平洋戦争中の「防空ずきん」に由来し、空襲による火災や落下物から身を守るために頭から首までを布で覆う作りになっている。こうした歴史がある防災ずきんは、いすに敷いている学校もあるなど身近にあったり、親が作ってあげることができるなど温もりを感じさせ親しみ易い面がある。しかし、落下物で中の綿がつぶれてしまうことがあったり、かぶると音がとらえにくくなるという欠点もある。戦争当時のように平屋が多かった時代と高層ビルが立ち並ぶ現代では事情が違い、落下物への備えは重要になっている。2005年3月の福岡県西方沖地震では、ビルの窓ガラスが大量に割れてガラスの破片が降り注いだ。幸いガラス片による負傷者はいなかったものの、もし防災ずきんをかぶった人が下にいたとしたら、果たして頭部を十分に保護できただろうか。

子ども用防災ヘルメット誕生

防災キッズメット

そうした中で開発された子ども用の防災ヘルメットは注目される。危機管理対策アドバイザーの国崎信江さんは「大人はヘルメットをかぶるのに、子どもにはずきんをかぶせるというのはおかしい」と既成の防災用品に疑問を感じていた。そこで、子ども用のヘルメットをメーカーと共同で企画開発した。生まれたのが「防災キッズメット」。ヘルメットの表面には星型の反射シールが貼ってあり、夜間や遠方からでも反射して目立つように配慮されている。また、名前や連絡先、血液型などが記入できる緊急連絡カードも備わっている。自分の居場所を知らせたり助けを呼ぶために首ひもにはホイッスルが付けられている。置き場所にも配慮して、壁掛けなどにつるしておけるように収納用の袋が付いているのもユニークだ。

子どもの送迎時に

かぶったときに頭との間にすき間ができる

日常生活と距離があるように思える子ども用の防災ヘルメットだが、日頃の生活に取り入れる余地は十分にある。例えば、親が子どもを保育園などに自転車で送り迎えする時には必要だろう。ネットリサーチのインターワイヤードが行った「自転車に関する調査」によると、補助いすに子どもを乗せた状態で転倒したことがある人は40.2%にも上る。子どもは体よりも頭が重いため、どうしても頭を勢いよく地面に打ちつけてしまうのだ。そうした日常に潜む危険を避けるために、子どもの送迎の時などに防災ヘルメットをかぶせてはいかがだろう。また強風の時は物が飛んでくることもあり、外出時にかぶってもよいだろう。

大事な親の「かっこいいね」

しかし、命を守る防災ヘルメットとはいえ、形やデザインによっては子どもが恥ずかしがり、かぶりたがらないヘルメットもあるだろう。ではどのようにすればよいのだろうか。まず、当然だが子どもが好むような「かっこいい」ヘルメットを探すことだ。そして、親は子どもに「似合っているね。かっこいいね」などと言ってあげるといいだろう。子どもは親からのそうした言葉に気分をよくし、普段からヘルメットをかぶるきっかけとなる。

コートやマフラーをかぶる

防災用品を日常生活に活用するだけでなく、逆に日常使用しているものを災害時は防災用品として使うこともできる。例えば地震で火災が発生した場合、頭部を保護する物が周囲に何もなければ、冬ならばコートやマフラーを頭からスッポリかぶる方法もあるだろう。このように、「防災用品を日常生活に、日常使っている物を防災用品に何か使えないか」と普段の生活で探してみることが、いざという時に子どもを守ることになるかもしれない。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 三澤裕一)

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