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防災コラムVol.19

ペットも災害に遭う

公開月:2006年1月

大災害で被災するのは人間だけではなくペットも同様だ。飼い主とはぐれたり、ストレスで体調を崩したりもする。

ペットの半数以上に異変

阪神・淡路大震災では、避難所でペットが受け入れてもらえず自動車の中で過ごした被災者がいたり、飼い主が亡くなったり、避難する時に離ればなれになったペットもいた。今やペットは家族同然という人もいるくらい飼い主にとって大きな存在となっており、災害は飼い主とペット双方に大きくのしかかる。阪神・淡路大震災では、犬4,300匹、猫5,000匹が負傷したり、飼い主とはぐれたと報告されている。震災から10日後に農業用ビニールハウスを利用した被災動物の保護施設に収容された被災動物は、犬1,040匹、猫507匹など1,500匹余り。そのうち犬の約5割、猫の約6割が何らかの異常を示し、症状の半数近くはストレスなどによる下痢、嘔吐、血便などの消化器系の疾患、残りの2割はせき、くしゃみなどの呼吸器系の疾患だった。

首輪にネームプレートを

では、どのようにすればペットの受難は減るのだろうか。まず、飼い主は家族の一員として、ペットと一緒に脱出するように心がけてほしい。しかしながら、不幸にして別れてしまった場合、他の人が誰が飼い主か分かるようにするために首輪にネームプレートを付けるなどしておけば、たとえ別離しても後で再会できる可能性があるだろう。また、人間の場合、自宅が被災した場合は親戚や友人の家などで世話になることもできるが、ペットについてもこうしたネットワークを持っていると心強い。

動物が苦手な人のことも忘れずに

避難所については、ペットと一緒でも特に苦にならない人と、動物が苦手な人の避難所を別々にするのはどうだろうか。阪神・淡路大震災では、67カ所の避難所のうち、8割の56カ所で被災者とともにそのペットも受け入れていた。そして、48カ所の避難所ではペットは他の被災者とのトラブルもなく共存できていたと報告されている。しかし、5カ所の避難所では、鳴き声がうるさい、くさい、不衛生だなどの苦情があり、「動物アレルギー」のある被災者との間でトラブルとなり、避難所を退去したペット連れの被災者もいたという。

防災カードを作ったら、入れ物を探そう。記入用紙を入れる小型のカプセルや助けを呼ぶための笛なども市販されている。カードをカプセルに入れて首からかけたり、携帯のストラップやキーホルダーにして持ち歩けば、常に身に着けていられる。

日頃から「待て」「ハウス」などの基本マナーを教えておこう

世の中にはペット好きな人ばかりでなく、動物が苦手な人もいる。飼い主はこうした人の気持ちを十分に理解する必要がある。日常生活でさえも鳴き声、排せつ、臭いなどで不快感を与えていることもあるのだ。飼い主がきちんとしたマナーをペットに教えていないことも、避難所でのトラブルを生む原因となる。避難所内で他人に迷惑をかけないようにするため、ペット同士でけんかをしないことや「待て」「ハウス」などの基本的なマナーを日頃から厳しく教え込んでおくべきだろう。

動物専門ボランティアの組織化を

三宅島の噴火(2000年)で設置された災害動物救援センター

動物の保護を考える際に参考になるのがヨーロッパ諸国にある動物シェルターのような収容施設である。動物シェルターは、保護された犬や猫を新しい飼い主に紹介する再生センターだが、日本の動物救護センターは、主に不要とされた犬や猫を殺処分にする施設であり、被災動物を長期間にわたって保護する施設ではない。阪神・淡路大震災では、動物保護センターでも延べ2万人以上の動物ボランティアが救援活動をしたが、こうしたボランティアが犬にかまれる事故が多発した。ストレスから犬が攻撃的になったということもあるが、ペットのケアを専門としている人間でないと対応が難しかったのかも知れない。ペットのケアを支援するための専門のボランティアが組織されることが望まれる。

(監修:レスキューナウ 文:わんだふるコミュニティwith Dog 内田和之)

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