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防災コラムVol.18

目黒巻を使ってみよう

公開月:2006年1月

家族で災害時の行動を書き出してみよう。

話し合いが防災対策

大災害はいつ起こるか分からない。例えば、大地震が起きた場合に、気持ちだけが焦り何もできなかったという方もいるのではないだろうか。家具が倒れて部屋から出られなくなったり、電話が通じなくなるなど様々な困難が起きるかもしれない。こうした状況に飲み込まれずに機敏に対処するため、日頃から災害時に自分の置かれるであろう状況を具体的にイメージし、家族で決めごとをしておくことで、危険から身を守る行動が見えてくる。家族全員で、一人暮らしの人でも知人と「防災会議」の時間を作り、被災時の行動や問題点など共通の認識を持っておくことが防災対策となる。

東京大学の目黒研究室が開発した「目黒巻」

そうした「防災会議」を通じた共通の認識を作るのに格好のツールが、東京大学生産技術研究所の目黒公郎教授が考案した「目黒巻」である(目黒研究室のWebサイトからダウンロードが可能)。災害時に起こり得る様々な状況をブレインストーミングするためのツールで、縦9 cm×横90cm程度の紙の巻き物である。災害発生時の状況をイメージしながら、自分や家族を主人公として10秒後、1分後、5分後、10分後などの行動計画を、主に3日後まで記入していく。「大災害はいつ起こるか分からない」という受け身の姿勢でなく、「目黒巻」に災害発生後の自分の行動を具体的に記入することにより、自身の備えについて見つめ直すことができ、自分や家族の防災力を自然と向上させることができる。

何通りものシミュレーションが可能

実際に記入する場合には、まず地震や火事、台風などの災害の種類を決め、次に発生時刻、季節、天候を設定する。また、災害発生時に自分はどこで、何をしているか考えてみよう。サラリーマンなら会社、通勤の電車内、自宅、あるいは居酒屋だろうか。学生なら学校、通学路、主婦ならスーパーなど色々な場面が考えられる。父親が会社で被災して、自宅には戻ってこられない場合や共働きで自宅には子どもだけしかいない場合はどうするかなど、具体的な場面をイメージするとより的確なな対策を考えるきっかけになるだろう。

どの家族も話し合って決めておくべきことは、全員の安否を確認する方法、避難先では入口かベンチかなどどこで待ち合わせるか、子どもがいる家庭は大人が一緒でない時の行動、非常持ち出し袋の中身やその置き場所、避難時のぞれぞれの役割分担などで、これらを目黒巻に書き込んでおく。家族全員がそれぞれ記入したうえで見比べて話し合うとより効果的だろう。また、子どもの成長や居住地の変更など時間の経過とともに住環境の変化もあるので、月に1度など定期的に見直しの機会を設けて修正することも薦めたい。目黒巻には、始めは災害が発生した時の自分の状態から、終わりは1年後まで書き込めるが、災害によっては「火事を無事に消火した」などのように1年先まで書く必要がないこともある。

防災カードにしてみる

家族全員で目黒巻に記入しよう

目黒巻で決めた家族の取り決めは、いざ被災したときには大切な情報源となるように、適当な大きさの防災カードにしてみよう。記入項目としては、氏名、生年月日、住所、電話番号、血液型など本人を識別できる情報、家族の非常時の連絡先、電話などで連絡が取れない場合に連絡を取り合うようにする「災害用伝言ダイヤル171」、家族の集合場所や避難場所、最寄りの役所、警察・消防署の電話番号などがあるだろう。また、けがをして病院に運び込まれることも考えて、持病があるのに話すことができなくなった時のために必要な医療情報、医師や看護師に知って欲しい情報などを書き込んでおいてもよい。

防災カードを作ったら、入れ物を探そう。記入用紙を入れる小型のカプセルや助けを呼ぶための笛なども市販されている。カードをカプセルに入れて首からかけたり、携帯のストラップやキーホルダーにして持ち歩けば、常に身に着けていられる。

このように家族で会議の時間を作り、漠然とした災害イメージを目黒巻のようなツールを使い具体的に考えることによって、普段の生活との垣根を低くするように工夫すれば、いざという時にもより安全な行動をとることが可能になるのではないだろうか。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 原田貴英)

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