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防災コラムVol.4

救助活動に参加する

公開月:2006年1月

人は誰でも突然に、偶然に「バイスタンダー」になってしまうことがある。

JR新宿駅でのひとこま

先日、私は東京の新宿駅で電車が十数分止まった場面に居合わせた。電車内で女性が意識不明となり、駅員や119番に通報をしたり、丁寧に車外へ移動するのにちょっと時間がかかったのだ。

突然倒れた女性を担架に乗せて搬送する(イメージ)

駅構内には「急病の方を看護しています」というアナウンスが流れていた。電車遅延の理由を明確に伝えて理解してもらおうという鉄道会社の姿勢は、乗客の無用な怒りやパニックを引き起こさないためにも良い手段と感じた。

その後、駅員が私を呼びに来て、「すみません、もう一人倒れちゃったんですが・・」。それって、早く119番通報をしてプロをお呼びなさい・・。
そのようなわけで、反対方向行きの乗客のお世話もし、更に電車は遅延した。

バイスタンダーとは

緊急事態に陥った誰かのそばにいて救助に手を貸す人をバイスタンダー(近くにいる人:bystander)という。ご家族や友人、同僚かもしれないし、時には見知らぬ第三者かもしれない。ここで「ああ、救急法って人工呼吸や心臓マッサージでしょう。習った習った」と手を挙げてくださる方に感謝したい。たまに思い出して、いざという時にはぜひ力を貸して戴きたい。

ところで、現実には多くの場合、倒れている人は呼吸をしているし、心臓も止まっていないことが多い。明らかに調子が悪そうに見えても意識はあって「大丈夫だ」「触らないで」「病院なんか行かない」と主張する人も少なくない。そんな時には、バイスタンダーは何をしたらいいのだろう。

究極のCPR(心肺蘇生法)も大切だが同時に、大切な家族に日々起こりそうな病気や、災害時のケガ防止方法など、具体的な対処の仕方も訓練しておくことが大切だと思うが如何だろうか。

最も大切な大原則

突然の緊急事態に遭遇した場合、最も大切なのは自分の安全を確保すること。救助するひとが危険にさらされた状態で他人を救命することはできない。状況を確認して危険だと判断したら、一刻も早くプロフェッショナルに応援を依頼するのが最善策であろう。安全でないなら現場に近づいてはならない。また周囲の熱血漢が無謀な行動に出ないように指示することも、有能なバイスタンダーの重要な役目かもしれない。

彼(女)らには、交通事故の現場では交通整理をしたり、ガラスの破片を確認する、ガソリンやオイルは流れていないか、エンジンは止まっているのかの確認、排除など二次災害防止の手伝いをしてもらおう。

海や川で溺れている子どもを見つけるとすぐに飛び込む者が後を絶たないが、服を着たまま泳ぐのは大変な作業である。すぐに水に入るのではなく、声をかけたり、ロープや浮き具になるものを投げ渡すことはできないか。浮くことさえできれば、救助までの時間を稼ぐことができる。

血液が流れている現場ではグローブやめがねを使って感染防御をしよう。相手に失礼だと考えるのは間違いである。けが人の出血部位に触れることで、自分の手に付着する病原菌が相手に感染することもある。救助者と患者、どちらも守ることが大切なのだ。

マンホールやサイロ内、温泉地や湿地のくぼみなど、見た目には何もなさそうな場所で突然人が倒れたら? 有毒ガスや酸素欠乏など目に見えない危険もぜひ考慮して活動をして戴きたい。

意識があるかどうかの確認

安全が確保されたら初めて、倒れている人に近づいてみる。友人や家族であれば名前を呼ぶことも大切だが、ちょっと待って。何故この人は倒れているのか。転落や交通事故の場合、声をかけることで本人が振り向くことで首や背中のケガを悪化させるかもしれない。

むやみに触ったり呼んだりせずに、まずは目を開けているかを確認しよう。反応しそうであれば「動かないで。ケガをしているかもしれないから、そのままの姿勢でいてください」とはっきり伝える。そばに寄り「大丈夫ですか?」と声をかける。返事がなければ肩を軽く叩き再度呼びかけてみる。大きく身体を揺らすと状態を悪化させることがあるので丁寧に接してほしい。

それでも目を開けない場合には周囲の人に119番通報を頼み、近くにAED(自動体外式除細動器)があれば取りに行ってもらう。自己紹介をし、今の状況を説明する。そして、意識があれば患者に状況や具合を尋ね、ケガや病気の状況によって応急・救命手当を行っていくことになる。

呼吸をしているかの確認

CPRとAEDを取り混ぜた練習

返事がないなら気道を開放し呼吸を確認する。意識がないと身体はダランとし、自分で自分を支えることができない。同じように舌ものどに落ち込んで呼吸ができなくなる。バイスタンダーは首を丁寧に扱いながら気道を開放し、呼吸があるかどうか確認する方法を勉強しておきたい。

意識も呼吸もないならば、胸骨圧迫と人工呼吸の組み合わせによるCPRを始めよう。AEDが届いたら除細動(電気ショック)の準備を始めるが、その間、誰かに交替してもらうなど、できる限り胸骨圧迫は続けてほしい。

心肺蘇生法やAEDの使い方は勉強しておくしかない。イザという時、自分が適切に助けて欲しいならば、周囲の身近な仲間と一緒に応急・救命手当の訓練をしておくことが得策だと思う。

情報伝達もバイスタンダーの役割

子どもと一緒に訓練を受けておこう

救急隊が到着したら、この人はどんな状況で倒れたのか、その後の変化、自分がしたことなどを迅速にかつ間違いなく伝達しよう。情報伝達も重要な役割である。特に交通事故や大きな災害ではけが人が多数いるかもしれない。全員に対応することは難しいが、その場に何人いて重傷者がどこにいるかを確認して、救急隊や医療者に伝えることも大切な役割となる。

いつ来るやも知れぬ震災で自分自身が被災しても、ケガもなく動くことができれば、あなたもその場からバイスタンダーになるかもしれない。日々の生活の中で、時には子ども達と一緒に講習を受けたり、「ここで誰かがケガをしたら何ができるかな」と話しながら散歩をしてみるのも貴重な防災教育と思う。

(監修:レスキューナウ)
(文:NPO法人日本ファーストエイドソサェティ理事長 岡野谷純)

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