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あざみ野白ゆり幼稚園 インタビュー

あざみ野白ゆり幼稚園 白井 三根子 園長先生

あざみ野白ゆり幼稚園は、たまプラーザ駅からバスで5分。大場町バス停の近くにあります。 幼稚園にお伺いした時間は、園児さんたちがちょうど家に帰るために準備していました。
今まで「1年まえ組」がお伺いした幼稚園の中で1番たくさんの園児がいる幼稚園です。
子どもたちの声が元気に響いていました。

多くの人の中で育つ子ども

白井 三根子 園長先生あざみ野白ゆり幼稚園には、約700名の子どもたちがいます。子どもは様々な人との出会い、係わりの中で、いろいろなものを学んでいきますので、この園の環境は、その意味でも、とても良いものであるといえます。地域社会の連携が薄れてきている今、子どもたちがよりたくさんの人との出会いを体験できる場、それがこの幼稚園です。大人数のメリットは、1学年に200人の子どもがいれば、200人と友達になる機会があるということです。この出会いを大切にしてもらいたいと思っています。

たくさんの子どもたちがいるからこそ、「みんなが集まったときには、一人ひとりが静かにしないと先生の話が聞こえないよ」ということを4月から繰り返して教えていきます。年長さんが静かにできると、年中さんもそれを見て育ちますので、自然にできるようになります。それなので、私は子どもたち全員の前で話すときに、マイクを使わなくても大丈夫です。これはとてもすごいことだと思います。

一人ひとりの育ちを大切に

この幼稚園では月に1度、オープンシステム保育を取り入れ、一斉保育を行なっています。この時は、粘土・お絵かき・折り紙・工作・お話・リトミック・屋外遊びなど、自分の好きな部屋に行って保育を受けます。一斉保育をすることによって、その子の得意なところ、弱いところが見えてきますので、子どもの育ちを知るためにもとても良いシステムです。また小学校に行くと45分の一斉授業を受けますので、幼稚園の間から45分の一斉保育に慣れておくのもとても大事なことです。あざみ野白ゆり幼稚園では、普段の折に触れて一斉保育をやっているので、小学校に入ってからも授業にしっかり集中できる子どもになりますし、子どもの成長にとっては、とても役に立っていると思います。あざみ野白ゆり幼稚園に入ってくるお子さんの保護者の方々は、小学校受験をさせたいという思いを持っている方もとても多いですし、集中力を養った子どもたちは、難なく、受験しても受かります。しかし、私は、園便りなどでも良く申し上げているのですが、子どもたちに一番必要なものは人間関係であると思います。選らばれた人々の中で人間関係を築いていくのではなく、いろいろな人間がいる中での人間関係を大切にしてほしいと思っているので、小学校はもっと広い意味での人間関係が築けるところが理想だと思います。私としては、いろいろなお子さんが集まってきている公立の小学校のほうが、子どもたちのこれからを考えると、人間関係が広がるという意味でとてもよい環境だと思っています。

安心できる保育環境

あざみ野白ゆり幼稚園は、セキュリティを重要視しています。安心できる保育環境が整っていてこそ、子どもたちがのびのびと安全に育つことができるのです。最近は、ガラス張りで外からよく見える素敵な園舎がたくさん出来ていますが、外からすべてが見えるガラス張りというのは、ある意味とても危険なことだと思います。最近は、子どもたちの写真を撮ったりして、ネットで売るような危ない人も増えているので、外から見える保育というのはとても危険です。当園では、中からは良く外が見えるようになっていますが、外からは見えないように考えています。またカメラなども設置して、子どもたちの安全には心を配っています。お父さま、お母さまから見たら「ガラス張りの保育」、外から部外者が見たら「見えない保育」それが保育環境としては大切だと思っています。

盛んなお母さんたちの勉強会

この幼稚園では、お母さんたちの勉強会が盛んです。着付けやアートフラワーとかパッチワーク、ジャズダンスなど、いろいろなものがあります。その中で4年前にできたばかりのコーラスがあるのですが、昨年、朝日新聞社主催のコンクールでなんと日本一になりました。全国大会は札幌でありましたが、3日間、家を留守にしてお母さんたちは出かけました。この時に、お父さんたちの協力があったからこそ、行って来られたわけですから、「お父さんたちにも感謝しなさい」とお話したんです。お母さんたちがいない3日間は、お父さんも身構えて、子どもの世話をしようとがんばったそうですが、実際はお母さんがいない分、子どもたちも張り切って自分で出来る事を全部やっているのを見て、お父さんも子どもが成長した姿を目の当たりにしてびっくりしたそうです。これも子どもたちが常に大人数の中で育っていることの賜物ではないかと思っています。

また、私どもの幼稚園の1つ特徴としては、勉強会というのはありますが、「母の会」というのはありません。母の会というのは、幼稚園のお手伝いをするための会ですが、年間を通してなさるのは、負担になっている方も多いようです。それで、20年前くらいから、母の会は作らないことにしました。必要な時に、その時、その時で募集すれば、この幼稚園では、抽選でやっていただかなければならないくらい、たくさんの方が参加してくださるので、とても助かっています。

年長さんから年少さんへ

あざみ野白ゆり幼稚園では、縦割り保育を取り入れていますが、その一番の効果は、年長さんが手本を示して、それを見て年少さんも学んでいけることだと思います。例えば4月に入園してから、すぐに身体測定がありますが、幼稚園に入ったばかりの3歳の子はどうしているのだろうか、という質問が他の幼稚園の先生からもよく聞かれます。3歳の子どもたちは、まだ幼稚園に入ったばかりで、ひとりでは何も出来ない子が多いのですが、子どもたちを縦割りにして、年長さん、年中さん、年少さんが、お互い協力し合うようになっていますので、自然に身についていきます。子どもたちが洋服を脱ぐときも、「こうやって脱いで、こうやって置くのよ」、「こうやって並ぶんだよ」ということを、全部年長さんがやって見せて、教えてくれます。年長さんは教えることによって、自分もきちんとしなければいけないという自覚が芽生えます。

年少さんは、初めて家庭を離れ集団の中に入っていきますので、不安でいっぱいだったり、自分勝手な面が出たりと様々ですが、少しずつ、園の生活にも慣れて、決まりを知り、お友達と遊ぶ楽しさを覚えていきます。年中さんは、友達とのかかわりの中で、自己を発揮するようになり、相手の思いも受け止めながら遊べるようになってきます。年長さんになると、力を合わせて友達とのつながりを深め、小さい子どもたちの面倒を見ることによって、さらに広い人間関係を身につけていきます。そのようにして「お友達がそこにいるから手をつなげる喜び」を見つけることが出来るのです。子どもたちはいろいろな遊び、出来事を通して、「ひとり」から「みんな」に変わっていくのです。

人間として生きていくための方法を身につける

幼児期の教育で1番大事なのは、知らず知らずのうちにいろいろな経験を通して、「人間として生きていくための方法を身につけること」だと思います。幼稚園のことは、大きくなったらうろ覚えになってしまっていることもたくさんあります。お遊戯や幼稚園生活の記憶は、大きくなるにつれて段々薄らいできてしまいます。でも、友達をけんかをして、傷ついたり、傷つけられた後で、どうやって仲直りしようかということを何度となく、子どもたちは日々の生活で繰り返しています。自分の気持ちを表現するにはどうしたらよいか、とか、人に何か頼むときにどうしたらいいのか、というのは、園での生活の中で、知らず知らずに身につけていくものです。そういった知らず知らずのうちに身につけたものは、大人になっても忘れないし、生きていく力になるものだと思います。この幼児期にそういうものを身につけた子どもたちが大人になったとき、きっと役に立っていくと思います。

今は目に見えないものだけど、社会人になった時に役立つ生きる力を、今、この幼児期に身につけさせていくことが、あざみ野白ゆり幼稚園から、子どもたちに与えられる最大の贈り物だと思っています。

怪我から学ぶ生きる知恵

子どもは擦り傷、切り傷を作ってくるのは日常茶飯事。子どもは痛みを知って、危険な事を察知していくものです。命に係わらない怪我ならば、それも経験のひとつであると思います。私自身もこの間、階段で転んで怪我をしたとき、お風呂に入るときにいきなり入ったら痛いので、しっかり手で押さえてお湯に浸かって、ゆっくりなじませてから指を一本ずつ離していきました。こういうことも子どもたちに伝えていきたいと思っています。それが世代間のつながりになっていくと思います。怪我をした子どもたちが、自分の経験を通していろいろなことを覚えていけば、その子たちが大人になって、親になった時にまた子どもに伝えていけるのです。そういうことは自分が怪我をしてみないと分からないことだと思います。

すべてのことは経験から身につくものです。ですので、なるべく幼稚園のこの時期に子どもたちにはたくさんの経験をしてほしいと願っています。発展途上にある子どもたちが、いろいろな体験を通して、何かをつかんでいく、それを見守って育てていくのが私たち教師の役目だと思っています。

体で覚える言葉

この幼稚園では、年長さんは英語を勉強しています。特に英才教育ということではなく、日本人は、外国人を見ると逃げてしまいますが、外国人を見たら「ちょっとしゃべってみようかな」というふうになってほしいので、英語を取り入れています。まずは、外国人と遊ぼうということで、体を使って英語を勉強していますが、とても楽しそうにやっています。文字は後からでも覚えられるので、まずは、遊びながら体を使って言葉を覚えていきます。Twoと言ったら、2人で手をつなぐ、とか、Threeといったら3人でというように、やっていますが、見ていてもとても楽しいです。

赤ちゃんだって、まずは模倣して言葉を覚えたり、会話から覚えていくものだから、英語だって同じことだと思います。「あいうえお」は後から習うように、「ABC」だって後から習えばいいわけです。まずは、外国人に慣れ、言葉に慣れていくことが大切だと思います。

子育ても「腹八分目」

お母さんたちは、常に気張って子育てをしていて、目いっぱいがんばってしまうところがあるようです。私は「子育てにおいても腹八分目が大事」と、園便りなどにも書いていますが、張り切りすぎて子どもべったりで、余裕がなくなってしまうよりは、少しは自分自身の時間も持って、ゆったりと子育てをしてほしいと思っています。それを読んだお母さんから「あの言葉を聞いて、ホッとした」という声もたくさん聞こえてきます。

あざみ野白ゆり幼稚園では、延長保育で夜8時まで子どもたちをお預かりしています。これは、お母さんたちにゆったりとした子育てをしてほしいからです。東京に勤めているお母さんが6時に幼稚園に子どもを迎えに来るのはとても大変です。たまには、買い物をしてきたり、ちょっと疲れたなと思ったらコーヒーでも飲んでから、ゆったりとした気分で子どもを迎えに来てもらったらいいと思います。気分転換して子どもに向かい合うことで、もっといい親子の関係が築けると思っています。

自分で考え、行動できる子どもを育てたい

幼稚園の中でも、仲良くなればなるほど、ケンカも起こります。でもケンカをすることもとても必要なことです。すぐ止めようとするのではなく、少し離れてみながら、「あなたたちのケンカなんだから、あなたたちで考えなさい」とよく言います。これは、先生はケンカの仲裁を放棄しているのではなく、心では見ているんです。子どもたちのことは子どもたちに考えさせるというのもとても大切なことです。ですので、この幼稚園では、手取り足取りの保育はしていません。手取り足取り、すべてやってあげるのであれば家庭で育てればいいことなのですが、たくさんの子どもたちのなかで、自分が困ったとき、分からなかったときに、「困ったな。どうしようかな。分からないけど、どうすればいいのかな」ということを考えられることがとても大切です。何でも人に頼ってゆだねるのではなく、自分自身でわからないところは、尋ねられる子に育てていきたいと思います。

この幼稚園には障害児もいますが、なるべく出来る部分は本人にやらせています。みんなで助け合い、できるところは自分でやる、これはとても大事です。歩けない子にも、「這いずり回っても自分のいけるところまでは行きなさい、あとはお友達が手を引いてくれるよ」と教えています。すると、本当に出来るようになって、伸びていくものです。障害児を向かえるにあたって、車椅子用のスロープをつけることも考えたのですが、幼稚園児は体も小さいのでおんぶもできる、車椅子もみんなで助け合えば、持ち上げることも出来ます。だとしたら、スロープをつけるのではなく、みんなでできることで助け合ってやればいいと考えました。子どもたちも分かってくれて、困っているときはしっかり助けてくれています。「困っている人がいた時には助けましょう」ということを言葉で教えるのではなく、実際に経験して分かっていくことが大事だと思います。

お母さん先生がいる幼稚園

うちの幼稚園の特徴は、先生に卒園生がとても多いことです。先生として幼稚園に戻ってきてくれるのはとてもうれしいことです。そしてすごく自慢に思っているのは、自分の子どもを卒園させてから、免許を取って、先生になったお母さんがいることです。また、産休明けで、自分の子どもを幼稚園に連れてきている先生もいます。自分たちより小さい子が幼稚園にいるということは、とてもいいことだと思います。子どもたちは小さい子を連れて園内を散歩していると、とても喜んで声を掛けてきてくれます。これは子どもにとってもとてもよいことです。よく幼稚園の先生は結婚したら辞めてもらうとか、赤ちゃんが生まれたら辞めるというのが良くありますが、これはとても惜しい気がします。幼稚園は子どもを育てていくところなので、お母さん先生がいてもいいし、かえって、子どもたちにも良い影響があると思います。

きれいな先生が理想です

私が最初に勤めたのは、田園調布の近くの幼稚園。最初新人の時は、幼稚園の先生というのは、お化粧もせず、爪も短く切って、地味でないといけないというイメージがありました。しかし、最初の幼稚園では、先生たちはおしゃれをしないといけないという考え方でした。制服もなく、先生の洋服もきちんとおしゃれをしなさいと教えられました。これはなぜかというと、幼稚園は子どもの色彩感覚を養うところなので、先生は常にきれいにしていてほしいということでした。

この幼稚園でも、先生がスウェットや、体操着みたいな格好をすることは禁止しています。子どもたちが「先生、今日はかわいいね」とか「この色きれいだね」とよく言ってきますが、これは、子どもの色彩感覚を養うためにもとてもいいことだと思っています。

悲しい思い出

思い出と言うと、とても悲しいことがあるのですが、幼稚園の先生になって3年目に、昔担任をしていた子どもが、亡くなってしまったという出来事がありました。とても可愛らしいお子さんだったのですが、八百屋さんのお子さんで、お正月にお店がとても忙しい時に、自宅の練炭のコタツの中でなくなっていたんです。とてもみんなにかわいがられていた子で、「お月さまが私についてくるのよ。走ったらお月さまも走ってついてくるの」と言っていた言葉を覚えていますが、あまりにもかわいい子だったのでお月さまにさらわれてしまった、そう思っています。これはあまりにも悲しい、つらい出来事で、今でも昨日のことのように覚えていますが、それ以来、なにかつらいことがあるとよく思い出します。そして、この子の分までがんばらなければ、と感じています。ですので、どんなにつらいことがあっても、あれ以上苦しいことはないじゃないかと思って、耐えられるんですね。とても大事な事を教えてくれました。

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