國學院大學附属幼稚園 森野 ゆかり 園長先生
井の頭線久我山駅から徒歩15分位で國學院大學久我山高校・久我山中学校に隣接した幼稚園に着きます。
園児達は、高校や中学の先生方にも英語や体育を教えてもらっているそうです。
その中でも特徴的なのは、附属小学校はありませんが、國學院大學久我山中学・高等学校に優先入学制度があることです。
幼稚園のあゆみ
この幼稚園は昭和27年2月17日に開設され、今年で54年目になります。当初の幼稚園は久我山高校の付属のような形で開設されておりましたので、久我山高校の校長 佐々木周二先生が園長を兼任していました。その後、久我山高校が國學院大學と合併を致しましたので、幼稚園も國學院大学附属幼稚園となりました。私が幼稚園に就職した年に佐々木先生は退任され、大学の理事を経て、現在は名誉園長をしております。90歳を過ぎておりますが、幼稚園のほうにも折りがあればまいります。
幼稚園の園地は、久我山高校の敷地の中にあります。幼稚園ができた当初は幼稚園児と高校生が一緒に運動会をしたり、高校生が放課後に幼稚園のプールに入って遊んでいたこともあったそうです。そんなふうに同じ敷地の中で教育活動を行ってきたのですが、高校も幼稚園も少しずつ規模が拡大してきたので、昭和40年を過ぎたころに園舎を今の場所に新築し、現在の形になりました。その後中学もでき、規模も大きくなりましたが、國學院大学附属として理事長、校長が入園式、卒園式には参列し、幼児から大学までの一環教育の根幹となっています。
当幼稚園は、國學院大学の付属幼稚園なので大学の建学の精神である「日本の伝統を大事にする」ということを基本とし、経験を通して学ぶことを重視しています。またそれぞれの個性を大事にしながら、健全な体力と豊かな心を育むために、大学の施設や久我山高校の一部の広い施設、本格的な施設を使用して、保育を展開しているのが大きな特徴だと思います。
4つの特別メニュー
國學院大学附属幼稚園には、「4つの特別な日」があります。
1つ目は「会食の日」です。「週に1度、久我山高校の学食に行って、みんなでご飯を食べよう」というものです。毎週月曜日に子どもが好むものを一皿分に盛ったメニューを学生食堂の大きなテーブルで、みんなでいただきます。子どもたちは、高校生たちが休み時間に食堂を通りかかった時に「おいしい?」と聞かれたり、学校内で挨拶をしたりと、とてもよい交流の場になっています。ただ、以前から使っていた学食は、昨年の2学期に取り壊しになってしまったので、現在は会食は行っていないのですが、平成20年4月には新しく学習棟が完成するので、その1階にできる新しい学生食堂で「会食の日」を再開する予定です。
2つ目は「体育の日」です。毎週水曜日に、久我山高校の体育の先生が子どもたちに体育を教えています。幼稚園は女の先生ばかりなので、小学校に上がると男の先生が担任になって、怖くていやだというお子さんもいます。それで、高校には女の体育の先生もいるのですが、特に男の先生に来てもらっています。各学年約50人ずつで3学年いますが、50人に対し、体育の先生2人ずつ来ていただき、あと担任の先生(年少3人、年中2人、年長2人)が補助について、グラウンドなどで体育を行っています。高校には第一体育館と第二体育館があり、第二体育館はフロアが全部で3つ、グラウンドは高校と中学グラウンドがありますので、そのどこかを選んで体育活動を行っています。メニューは体力づくりを基本に、柔軟体操・走る・跳ぶ・ボールを使った運動やサッカーなど広い場所で思い切り身体を動かします。また、柔道場で組み体操の練習をすることもあります。階段を上ったり降りたりして、4階のフロアに行ったりしますが、それだけでも子どもたちにとってはよい運動になります。
3つ目は「絵画の日」です。月1回、高校の芸術科の先生が、子どもたちにお絵かきを教えに来ています。年少さんはちょっと無理なので、年中さんと年長さんを対象に年間のカリキュラムを決めて指導しています。子どもというのは8割方、お絵かきが大好きという感じなのですが、それが見た通りに描けなかったり、どうやって描いていいか分からないとどんどん嫌いになっていき「上手に描けなくていやだ」と思う意識が、6歳くらいになると少しずつ出てきます。9歳あたりに壁があって、写実的に描ける技法を持っている子は絵が嫌いにならないけれど、思い通りに描けない子は絵はいやだなと思うようになるそうです。その時点で逆転して絵が嫌いという子が8割になって、残りの2割だけが絵が好きになります。「上手」という誉め言葉がありますが、それは「お手本を上手(かみて)に置いて、そのとおりに描く(書く)」ことから生まれた言葉のようです。上手に描けなくても、もっと自由に描いて自分が楽しかったらいいのではないかと私は思います。その点、芸術科の先生は「子どもが絵を好きになってほしい」と思う気持ちで教えていますので、子どもたちは絵がとても大好きだし、展覧会をすると「これはお子さんが描いた絵ですか?」と思うようなものが出来上がります。絵画の技法も自然に子どもたちの中に入ってきています。年長になると絵に影を入れたり、影を入れるときは少し黒を混ぜるといい、というようなことや、遠近法を少し取り入れたような描き方を学んで、いろいろなものを描く経験をするということを大事にしています。
4つ目の特徴は、月2回の「仲良しの日」です。幼稚園では普段は制服なのですが、その日は朝から私服で季節にあった好きなものを着て来ていいよと言っています。体操ズボンの上に好きなものを着て登園します。仲良しの日はみんな色とりどりのお洋服を着て遊ぶのですが、通常の年齢別のクラスを縦割りにしています。ホールに一斉に集まって「今日は2人組ね」と言った時に、年中さんは年中さん同士でお隣のクラスの友達と、年長さんは必ず年少さんを誘いに行きます。「今日の2人組は一緒にやろうね」と言ってお友達を誘い、誘われて年少さんは付いていくという感じです。階段を降りたり上がったりする時は「お友達のスピードに合わせてやってね」ということを先生から注意するのですが、そういうお約束の下でゲームをやっていきます。ワールドカップが放送されていた時はブルーの服を着て、みんなでトーナメントでボールをシュートするゲームをしました。相手の国の国旗をカードに作っておいて、フランスに勝ったらどこ、次はどこと、4つくらいお部屋を廻って、最後に優勝トロフィーのところにサッカーボールのシールを貼ってもらえるというゲームでした。また、このあいだは、「宝探し」というゲームをしました。折り紙で折ったコップの中にシールを何枚か入れて、それをお庭と1、2階のお部屋に先生が隠します。テーブルの下にセロハンテープでちょっと貼ったり、椅子の座布団の所に挟み込んだり、お部屋の窓枠に貼ったり、ちりとりがかかっている裏に貼ったり、木に葉っぱのように貼ってみたりと、あちこちにそれを隠して1人1個ずつを2人で見つけるというゲームです。見つけた時は、すごくうれしそうでした。「今日は忍者になって修行の旅に出て下さい」という設定で、平均台を渡ったり、手裏剣を投げたり、合い言葉を言うなど、楽しんで過ごせるように、たいていゲーム形式の企画になっています。
縦割り保育がつなぐ縁
ここは小学校の学区の境目で、杉並、世田谷、三鷹が、隣り合っています。卒園児50名は25、6の小学校に各学校に1人か2人という感じで別れていくようになります。今、こうやって縦割り保育で触れ合っていることによって、小学校に入った時に、上の学年の子に「同じ幼稚園だったよね」と言って手を引いて連れて行ってもらえるという良さがあって、よかったという声を聞いたことがあります。
今、横のつながりはどこでも多いのですが、最近は兄弟も少ないので上下関係のつながりがとても少ないです。「なかよしの日」に下の子を誘いに行く時も、お友達の妹とか、知っている子がいればいいのですが、初めての子に声をかけてチャレンジすることがあります。どきどきしながら迷って「一緒にやる?」と言葉をかけて、「うん」なんて言われると自分も自信がついたりします。そんなふうにして、縦のかかわりもこの幼稚園ではとても大切にしています。
子どもの感性を磨く
母体は日本古来からの神道を重んずる歴史のある大学なので、日本の伝統を大切にするということを基本にしています。しかし、幼稚園では、いろいろな行事に触れることも大切にしています。ですので、クリスマス会もやっています。國學院の大学の校歌にもあるのですが、「時代で必要とされるものは取り入れながら、よその国のいいところも取り入れながら、自分を磨いていきましょう」というふうに考えています。外国のものも取り入れながら改めて日本を感じるということも、大事なことかなと思っています。大学には、神道科があったりするのですが、幼稚園では、特にそういうものは、何もお話しはしていません。

ただ、子どもたちには自然の恵みに感謝し、大切にする心を身につけてほしいと思っています。「お日様が出ると暖かいよね、お日様出てくれてありがとう」というような気持ちを、子どもたちが感性として持ってくれたらうれしいなと思います。
親とのふれあいを大切に
当園ではバス通園は行っていません。できれば通園の時に少しでもいいので、お母様たちと子どもの様子を話したいと思っています。ですので、なるべく徒歩での通園をお願いしていますが、自家用車登園も許可はしています。小さい赤ちゃんを連れているお母さんは、首が据わらないと自転車にも乗せられません。おうちが遠いとか近いという問題ではなく、車で登園していただいてもかまいませんが、車種を登録していただいて、お当番もしていただいています。ただ、お母さんが運転に夢中になっていて、子どもにお母さんの好きな曲を聴かせて「黙っていてね」とシートベルトをかけて、毎日幼稚園に通って来るお子さんと、手をひいて「今日は風が冷たいね」とか「ちょうちょが飛んでいるね」というふうに育ったお子さんは、感性の育ちが全く違ってしまうのです。それを分かった上で車は使って下さいというお話しはしています。
できれば登園は、子どもの手をひいて連れて来ることが望ましいと思います。雨降りの日は「今日はびしょぬれになっちゃったから、玄関で全部脱いで、靴も干して、今日は早いけどもうお風呂よね」というふうに経験することは、とても大切です。このような経験は子どもたちが大人になった時にもきっと役立つと思います。
集団生活を通して身につける知恵
子どもたちを幼稚園という集団に預けるということの意味合いを、お母さんにも考えていただきたいと思っています。3歳で幼稚園に入ったら、お家の約束事とちょっと違うじゃないかと思うことが多々あるかもしれません。そういうものをぜひ幼稚園で経験してほしいと思います。集団の中にいることで、自分の家庭とは違ったルール、逆に自分の家庭の良さがあるということを実際に自分の身で感じてほしいと思います。いろいろなルール、やり方がある中で、お母さんも子どもも、集団の中で自分はどういうふうに過ごしていけばいいのかをいろいろ学んでいくのが、集団生活の一番大事なことです。
集団の中で自分が「相手にしてあげられる」と思うことは、してあげる。助けてもらう時は助けてもらって「ありがとうございました」という感謝の心を身につけ、良い関係を作っていくのが、大きな法則だと思います。
とにかく経験活動をたくさんして欲しい。何でも挑戦してみるという中から、自分が何かを感じ取ってもらえればいいなと思います。年少さんの時には楽しく幼稚園に通ってほしいし、年中さんになったら、お友達の良さを少しわかってあげられるようになってほしい。友達には友達の言い分があって、自分には自分の意見がある。「へーそういうのがあるんだ」ということを自分から気付いてほしい。年長さんになったら、友達の良さを認め、自分の良さも比較してわかってほしい。また「自分がしてあげられることは、相手にしてあげましょう」という思いやりの気持ちを身につけて、小学校に行ってほしいと思っています。
一人ひとりの子どもに目をそそいで
子どもたちの感性を大事にしたいと常に保育者は願っています。子どもが何か感じた時に、すぐそれに先生が呼応できるような形を取りたいと思います。そのために國學院大学附属幼稚園では子どもの人数を抑えていまして、少人数保育を行っています。
年少さんは1クラス17名に先生が1人で3クラスです。ただ、17人とは言え、4、5月の入園したてのころは、先生1人では大変なので、私も一緒にお部屋のほうに入って慣れるまで一緒に過ごしています。
年中、年長は25、6人の2クラスになっています。年少さんは少人数で、女の子と男の子が8人位ずつですが、年中、年長は、もう少し人数を増やした状況で、友達との関わりを少し増やしていきたいと思っています。少人数保育の良さは、子どもを細かく見ていくことができる点です。大人数のクラスで、今日一日その子が何をしていたのか、先生に聞いても、分からないような状況では困ると思います。子ども一人ひとりに触れ、「今日はこんなことをして遊んでいました」とか「こんな話をしました」ということを、お迎えにこられたお母様、お父様にお話しができる、それがとてもよい点だと思います。
今、またティーム保育の良さについても盛んに言われているのですが、この幼稚園でも担任以外の先生が子どもの良さを発見していくということを大切にして、いろいろな場面でいろいろな先生に触れられるようにしたいと思っています。
この少人数による保育のもう一つのよい点は、子どもたちの数が少ないので逆にお父様、お母様が一緒になって参加するイベントが多いということです。幼稚園というのはお子さんにとっても、とても大事な時期ですが、それと同時にお父様、お母様にもお子さんの幼稚園時代を楽しんでいただきたいと思っています。
延長保育でお母様もリフレッシュ
この幼稚園では時間は短いですが4時までの間、延長保育を行っています。最近ではかなり長い時間延長保育を行っているところもありますが、子どもたちが長い時間、幼稚園だけで過ごして、家で家族とのふれあいがあまり持てないようではよくないし、お母様自身も子育てに自信を無くしてしまってはよくないと思います。
しかし、現代は核家族が多く、お母様が自分自身の時間を持つことがなかなかできないというのも実情です。この幼稚園では、お母様たちには「お預かり保育はお母様たちの気分転換というふうに考えてもかまわないので、もしそういうことがあったら預けて下さい」と言っています。自分のご褒美で買い物に行って、気持ちをリフレッシュして、また子どもに新鮮な気持ちで接することはいいことだし、そういう意味でのお預かり保育はいいと思います。
幼児学習科「さくら」
通常の延長保育のほかに幼児学習科という別科を設けています。これは「さくら」と呼ばれ、延長保育の中で幼児期に覚えてほしい学習の基礎をとりいれて、保育終了後、週1回、ご希望者だけお預かりさせていただいて行っています。
基本は文字を書いてみようとか、数字を数えてみようとか、リズムをわかってみようということで、年長さんの終わりくらいになると、ひらがなは全部書けて、数字も20くらいまでは数えられるようになります。学校のミニ版みたいな感じです。私学を受験することの足しにはならないと思いますが、手元で何か作業するとか、写すとか、そういうことの経験を目的としたカリキュラムになっています。年長さんだと1クラスのうちの20人くらい、大体の方が参加しています。
年長さんになると久我山高校から英語の先生に来てもらいボディタッチしながら、英語で踊りとか歌・挨拶の言葉を覚えていくということをやっていますが、子どもたちはとても楽しんで勉強しています。
経験を通して学ぶ
幼児期にさまざまなことを体験するということはとても大切だと思います。特に幼稚園の中でも、いろいろな行事を通して社会経験をさせてあげたいと考えています。
春は必ずクラス替えがあるので、春の遠足はみんなで親睦を兼ねて公園に行きます。夏には毎年、久我山高校のグラウンドで花火大会をしますが、その前に高校の吹奏楽部の生の演奏を聞いたり、体育館で盆踊りをしています。お泊まり保育は、年長さんだけで1泊で出かけるようにしています。秋は学年ごとに遠足に行くようにしています。年中さんは遊園地にバスで子どもだけで行き、年長さんは新宿駅に集合して、小田急ロマンスカーに乗って、江ノ島水族館まで行きました。このような朝9時前から5時すぎの新宿駅での解散までの長い遠足は、お母様方にとっては驚きのようですが、子どもたちはいろいろな経験ができるので、とても貴重なことだと思っています。
久我山祭という中・高の学祭の時には、子どもたちを久我山高校に連れて行き、絵を見たり、鉄道研究会の模型を見たり、理科実験や生物部のワニガメを見たりとか、あちこちの教室を廻ってお祭りに参加をしています。駄菓子屋さんなども出ているので、お金を30円だけ持って行って、この駄菓子屋さんでお菓子を買って、家に持って帰って食べるというようなこともしています。土日なので日曜日は自由参加ですが、土曜日は幼稚園に出て来て、みんなで一緒に見に行くということをしています。
もうひとつ、この幼稚園ならではの経験では、毎年、馬事公苑から交通騎馬隊に来ていだいています。馬を乗せて来るバスが、観光バスよりも長いので、それを駐車するスペースのある幼稚園はほとんどありませんので、うちの幼稚園ならではのことだと思います。久我山高校の敷地の中に車を停めて、そこから馬を連れて来て、子どもたちを馬に乗せてもらってそれぞれ一周します。3頭の馬の名前や馬についての説明を聞きたり、実際に馬に乗ってみるという体験は、あまりできないことなので、とても貴重なものだと思います。
白熱する運動会のファミリーレース
運動会の午後のメインは「ファミリーレース」です。これは、一時期、園の子どもの数がとても少なくなって、1クラス14、5人になってしまい、園児が全部で50何人となってしまった時に、子どものメニューが足りないので、大人が参加できるようなプログラムを考えてみようかということで始めたものです。テレビ番組をヒントに、「子どもとお母さんと、お父さんと走ったらどうかな」と思いました。ファミリーで参加することに意義あるということで現在まで続いています。
お母さんにくじを引いてもらいコース順を決めています。貯金箱になるような小さなカップを、レースごとに1位のチームにあげています。最初は「いやだ」と言っていた人も参加してみようと思うようで、毎年参加率は高いです。今はもう大学生になった子で、家にまだ飾ってあると言う子もいます。「あれを見るたびに、おとうさんとおかあさんと私で走ったことを思い出すんです」って言われることもあります。1時間くらいかけて、学年ごとにこのファミリーレースをします。ただ子どもの円周なのでコーナーのカーブが大人にとっては結構きつくて「パパが転倒」ということもよくあるのです。でも、自分は1番に戻ってきたのにママが抜かれてしまい、パパが自分のために一生懸命走ってくれて1位になれた時は、カップをもらう3人の笑顔が輝いています。毎レースごと家庭ごとにミニドラマが生まれるのです。アンカーのパパが勢いあまって転んでしまうと、子どもは「パパなんて大嫌いだ」と言って泣いているんですけど、お父さんはウエアと靴を買って「来年のために練習を始めます」という人もいて、みんなに楽しんでもらえている企画ではないかなと思っています。
学生たちとの交流を通して
今、中学生の職業体験が盛んに進められていて、その中で幼稚園を体験したいという希望がよくありますので、一日久我山生に幼稚園に来てもらうことがあります。またそれとは別に高校生の家庭科の授業の中に「保育」というのもありまして、春にクラス毎に3、4日、園に来て子どもと同じ椅子に座り幼稚園児を体験します。折り紙を一緒に折ったりしながら、子どもに触れる体験をしていきます。冬には逆に高校生が家庭科の授業でクッキーを作るので、その時は園児を招待してくれて調理室で一緒にクッキーの型抜きをしたり、顔の形のクッキーを作ったりさせてもらっています。時間は授業の2時間分しかいられないのですが、お姉さんたちがカラーペンで「○○ちゃんへ、今日は楽しかったよ」など、メッセージカードを書いた袋にクッキーを入れてくれて、お土産に持たせてくれます。これは子どもたちにとっても、高校生にとってもよい交流の場となっています。
久我山中学・高等学校への優先入学制度
幼稚園の卒園児が久我山中学・高校に入学を希望される場合には、優先入学制度が適用されます。ここには小学校はありませんが、小学校は公立に行って、中学になって、久我山中学に戻ってくるきっかけのひとつがこの交流です。「私もお姉さんになって幼稚園に来たい」という思いを抱いて、中学を受験する方が結構いらっしゃいます。
また、これも私学の良さのひとつですが、幼稚園の時に教えてもらった体育や芸術の先生がずっと中学・高校にいて、また教えてもらうことができます。幼稚園の時に先生とボール投げをしていた子が高校生になって、今は先生と一緒にラグビーをやっていたりするのが、とても良いと思います。そういうふうに、学校全体で子どもの人生とつながっていけばいいなと思っています。その意味でも「子どもたちの未来をここから育てたい」いつもそのように考えています。
子どもと共に先生も育つ
私は就職して10年経って主任になりました。主任を10年した後、園長になり、園長職は今年で6年目です。この年月を通して、子どもたちと共に自分自身も一緒に育ってきたのだと思っています。子どもたちに「お友達には優しく、自分には厳しくね」とか、そんなことを言ったことがあるんですけど、それを子どもが友達に言っていたのを聞いた時には、ちょっと難しいことを言いすぎたかなと思いました。最近、その子たちが高校生になって会ったことがあるんですが、みんなとても大きくなっていて、「先生ちっちゃくなっちゃったね」と言われてしまいました。でも、覚えてくれているということが、すごくうれしかったです。
「幼稚園が大好き」そんな想いをもった子どもたちが将来大きくなって、幼稚園での日々を思い出した時に、幼稚園で過ごした瞬間が生涯の宝物になっていてほしいと願っています。そのためにも、幼稚園の先生は、常に子どもの傍らにいて、何かをみつけてあげられる先生を目指してほしいと思います。なにかを叱るとしても「どうしてなのか」「どうしたらいいのか」を教えてあげられるようであれば、子どもとしては、例え叱られたとしても、幼稚園生活は良い思い出になっており、結構そういう子のほうが幼稚園のことをよく覚えているものです。「先生も含めて幼稚園が好き」「幼稚園は楽しかった」そう思って卒業してもらえたら、とてもうれしいと思います。
それぞれの幼稚園にはカラーがあり、この園もカリキュラムを決めてそれに乗っ取った形で保育を行っていますが、それを基本に先生のオリジナリティーを出してもらえるような部分も持ってもらいたいと常に思っています。決められたもの意外に「その先生らしさ」みたいなものを持っていてくれればいいな、と思うので、あまりガチガチには管理しないようにしています。先生の自由な部分も持ってもらって「これをこんなふうにしたい」と言ったら「じゃあ、こんなふうにやってみていいよ」と許可してあげられる園長でありたいと思っています。
例えば、保育しているさなかに、スズメが水浴びをしているのを見つけたらと、「ちょっと今、お話しの途中なんだけど、みんなに見てほしいから、みんなで見よう」とか、そういうようなことをちょっと膨らませてあげられるといいと思います。「ああ、飛んじゃったね、じゃあこっちのお仕事に戻ろうか」みたいに。どんなこともそのチャンスを生かしてあげられる感性を持つことを大切にしたいと思います。
先生たちには、子どもの「キラッ」としたものを見つけてあげられる先生になってほしいと常に言っています。幼稚園の先生は子どもたちが生まれて初めて出会う「先生」なのです。
Back Number
2007年
2006年
- 12月
國學院大學附属幼稚園 - 11月
明星幼稚園 - 10月
桜美林幼稚園 - 9月
東京文化幼稚園 - 8月
武蔵野大学附属幼稚園 - 7月
日本女子体育大学附属みどり幼稚園 - 6月
日体幼稚園 - 5月
さぎぬま幼稚園 - 4月
成城幼稚園 - 3月
國學院幼稚園 - 2月
桐蔭学園幼稚部 - 1月
昭和女子大学附属昭和幼稚園
2005年
- 12月
田園調布ルーテル幼稚園 - 11月
松沢幼稚園 - 10月
ゆかり文化幼稚園 - 9月
東洋英和女学院大学付属かえで幼稚園 - 8月
宝仙学園幼稚園 - 7月
国立学園附属かたばみ幼稚園 - 6月
若草幼稚園 - 5月
相模女子大学幼稚部 - 4月
光塩女子学院幼稚園 - 3月
サレジオ学院幼稚園 - 2月
和光幼稚園 - 1月
聖ドミニコ学園幼稚園


