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日本女子体育大学附属みどり幼稚園 インタビュー

日本女子体育大学附属みどり幼稚園 二階堂邦子 園長先生

京王線明大前駅から歩いてすぐの所にありました。
すぐ隣にある二階堂高校の生徒さんの元気な声と園庭で一輪車に乗って遊んでいる幼稚園生がとても印象的でした。

あゆみ

園舎外観みどり幼稚園は、日本の女子体育の先達として活躍した二階堂トクヨによって創設された日本女子体育大学の附属幼稚園として、昭和22年10月1日に初代の二階堂清寿によって開かれ、今年で60年、還暦を迎えました。その当時は戦争が終わったばかりで、今、幼稚園のある辺りも焼け野原になっていました。創設者の二階堂は、「これから一番大事なことは幼児、子供の未来である」と考え、「子供を育てることが国を育てることだ」と、この地に、みどり幼稚園を設立しました。現在までに、6000人以上の卒園生がこの幼稚園から巣立っています。

雨にも負けず、風にも負けず、元気な子ども、みどり幼稚園

二階堂邦子 園長先生初代園長の二階堂清寿のモットーは、「雨にも負けず、風にも負けず、元気な子ども、みどり幼稚園」です。まず子供たちには、何よりも楽しく遊ぶことが大事で、その中から豊かな心が生まれ、丈夫な体が出来ていくものであるという考えを推進しました。ですので、この幼稚園では、遊びが保育の中心になっています。小さい時に生き生きと遊びながら学んだことは、将来、生きる力となって現れてくると思います。いざという時に頑張れる力の原動力になるものが、いま、この幼稚園の時期に遊びの中で身につけた感性であると信じています。それとこの時期にもうひとつ大切なのは、体力をつけること。丈夫な体は丈夫な心を作ります。そのために必要とされる丈夫な体を作るための遊びをさせたいと、常に心掛けています。

自由の中に規律あり

みどり幼稚園では遊びを中心に保育を展開していますが、遊びの中で子供たちに感じ取ってもらいたいのが「自由の中に規律あり」です。ただ自由勝手に遊ぶのではなく、遊びを通じて友達と人間関係を作り、友達の間でのルールを自然に、自分たちで見つけていくように指導しています。たとえば子供たちがチョウチョを捕りたいと虫網を探したら、何本かしかない。すると子供たちは、どうすればうまく使えるかを真剣に考えます。小さい子から貸してあげるとか、10回捕ったらおしまいとか、子供は子供なりにきちんとルールを作ります。その中から我慢する力とか譲り合いの心を自然に学んでいくのです。

また、もうひとつ大切にしているのが、論理的にお話をする力をつけさせることです。子供たちは先生のところにやってきて「先生、バトン」などと言いますが、それでは渡していません。「バトン?どうするの」と聞き返します。すると子供は一生懸命考えて、「リレーをして走るから、赤いバトンを貸してください」と、きちんと言えるようになります。そういうふうにして、なぜ、どうしてそれがいるのか、ということをきちんと伝えられる力がついてきます。子供たちにとって、「何々したい、なぜなら」と、必ず理由が言えるようになることが大切だと思っています。私たちは日々の生活の中で、そのような習慣が自然に身につくよう指導をしています。

楽しい思い出をひとりひとりに

この幼稚園では、いまは3才から6才までお預かりしていますが、0才から2才まで、附属の保育室も持っています。ですから、0才から6才までお預かりしています。これからこの子供たちが80才、90才まで生きるときに、基礎になる所になってほしいと願っています。小さいときに、どんな人にかわいがられたか、どんな人からやさしくされたか、どんな人と出会えたか、どんな友達と楽しく遊んだか、それが子どもにとっての生きる力になると思います。大きくなったときに、ふと、幼稚園って楽しかったなと思ってもらえたら、それもまた人の生きる力になっていくのではないかと思います。ですので、私たちが日々の生活で心掛けているのは、「ひとりひとりの子供を大切にかわいがる」ということです。毎日楽しくなければ幼稚園ではないから、まずは楽しい生活を心掛ける。そして、いつも何かを考えるときは「子どもが真ん中」、それが私達教職員の合い言葉です。

遠足、お遊戯会

この幼稚園には20代、30代、40代、50代、60代の先生、いろいろな先生がいます。おかあさんの先生もいるし、独身者もいるし、おばあちゃんもいるし、幅広い年代で子供たちを見守っています。そして今は、日本女子体育大学の学生が実習で来ていて、1クラスに何人か入っています。ですから子供たちにとっても、いろいろな大人と出会える。学生もいろいろな子どもと出会える、それが附属のメリットだと思います。いろいろな出会いがあってこそ、楽しい幼稚園生活を送ることができると思っています。

子供たちにぬくもりを伝えたい

子供たちには本物のぬくもりを伝えたい。ですから、この幼稚園では、昭和32年から手作り給食を行っています。初代園長の二階堂清寿が、その当時はやはり貧富の差があったことと、栄養がとても体には大事だということで調理室を造り、栄養士さんを雇って手作り給食を始めました。温かい物は温かく、冷たい物は冷たいまま、子供たちには、心を込めて手作りした本物の味を食べさせたいと思っています。また、畑も作っています。子供たちが畑で育てたジャガイモとか、キャベツなどを給食に使います。ニンジンも、とても細くて小さいものが畑で採れました。それを給食で出すと、子供たちは自分の手で採った物ですので喜んで、ニンジン嫌いの子もしっかり食べるようになるのです。

給食また、この幼稚園では徒歩通園を行っています。一番大事な幼児期におかあさんと手をつないで、肌と肌のぬくもりを感じながら通ってくるのは、とても大切なことです。お話をしながら、そのときの手の握り方で子どもの気持ちが分かります。固く握っていると「不安なのだろう」、柔らかく握っているときには「楽しいのだろう」というのが伝わってきます。手の温かさとか、熱などで体調も分かります。だから「この、ほんの短い時間を大切に、幼稚園には子供たちと手をつないで来てください」とお願いをしています。

たくさんの友達、たくさんの出会い

もちつき大会みどり幼稚園には、1クラス30名で9クラスありますが、全員の先生が子供たちの名前を覚えていて、全員がひとつのクラスのような仲の良さです。この幼稚園は人数が多いと思われるかもしれませんが、望んでくる子供たちをみんな受け入れています。中学や高校は自分の力で受験するので、落ちても自分の力だろうと思うかもしれませんが、幼稚園は何も落ちる理由がありません。ちょっと人数が多いかもしれませんが、子供は子供なりに切磋琢磨して生きているし、それはいいことだと思います。もしクラスが少人数で、クラスの何人かとケンカしたら、子供はもうどこにも行けなくってしまいます。でも、人数が多いと、何人かの友達とケンカして、もしうまくいかなくても、今日は別の友達と遊んでいれば明日は元気になって、いつの間にかケンカしていた友達とも遊べるようになっています。それが大人数のメリットです。

また、この人数の多さは親にとっても良いことだと思います。たくさんの親がいれば、それぞれ価値観や考え方が違う、いろいろな親に出会うことができます。考え方というのは1つだけではないわけですから、たくさんの出会いがあることは、お母さんたちにとっても良いことだと思います。

子供の心に寄り添って

今でも、幼稚園の時に私が感じた気持ちで忘れられないのは、折り紙でイカを折り、足をハサミで切るとき間違って足を切ってしまった時のことです。そのとき先生は、「それでいいのよ、ノリで貼れば」と言ったけれど、ノリで貼っても私の心は満たされない。切ってしまった時の「ハッ」とした気持ち、ノリで貼っても私の思いとは違う不完成品。今でもはっきり残っています。4つ、5つの時でも、自分の思いというのはそれぞれあるのです。それが私の幼稚園教育の原点なのですが、大人の考えで決めるのではなく、子どもがどうしたいのかということを聞いてあげることが一番大切だと思っています。それが子供の気持ちに添っていくことだと思います。

はさみで制作

子どもが絵を描いた時は、「具体的にほめなさい」と常に言っています。子供が満足して描いたときはそれでいいけれど、満足して描けなかった時に「上手、うまいわ」と常套句は言わない。小さいときから、大人は本当のことを言ってくれる、信用できるということを伝え、私達自身も子供を心から信じていくことだと思います。そのことが、子供の心に添っていくためには一番大切なことであり、この園を運営していくにあたっての原点です。あとは自由で、規律があればいいと思っています。

教育というのはどんなに一生懸命頑張っても、受ける側が違えば感じ方も違うので、答えがないものだと思います。だからこそ指導する者は誠心誠意。自分を出して、本物の自分で、本物の教育をしていくしかないですから。ですから、「うそのことは教えない」と子ども達にも伝えているし、今後も本物を伝えたいと思っています。もしここにクモの巣があって、チョウチョが飛んできたときに、そのまま放っておく、逃がさない。クモだって生きているから。そういうものもきちんと見せる、そんな形での教育を目指しています。

日本女子体育大学附属みどり幼稚園 HP
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