昭和女子大学附属昭和幼稚園 渋谷弘子 園長先生
東急田園都市線 三軒茶屋駅徒歩7分のところにあります昭和女子大学附属昭和幼稚園を訪ねました。幼稚園から大学院まで、広大な敷地内にあります。園庭のイチョウ並木が季節を感じさせ、所々にある小さな妖精の人形が私たちを和ませてくれました。
幼稚園見学
幼稚園をどこにしようかと思われたとき、いろいろなところを実際に自分の目で見て、お子様に合っている幼稚園だと思うところを探してあげるのがいいと思います。
昭和女子大学附属昭和幼稚園では、説明会という形はとらず、随時見学をしていただいています。電話で約束し見ていただいていますから、先生方が子ども達の指導をしているありのままの様子、子ども達が遊んでいる様子を実際目で見て確かめていただけます。今日と明日は違うカリキュラムですから、何度も何度も来て、子ども達の違う場面での様子を見ていただくのがよろしいかと思います。月・火・木・金の給食の様子を見学に来られる方もいらっしゃいます。
今はインターネットの時代です。園のホームページをご覧になって、実際に見学に来ていただけたらと思います。
送り迎えは親子が触れ合える時間
この幼稚園は園バスでの送迎ではありません。送り迎えの良い点は、保護者の方と先生が直接お話し、コミュニケーションが取れることです。例えば朝送ってきたときに、その日の体調などを先生に伝えることができますし、帰りがけにその日の出来事をお伝えし安心していただけます。親と子が一緒に登園する道々で、いろいろなお話ができ、歩きながら自然や季節の移り変わりも感じることができます。行き帰りの中ではいろいろな人と出会います。挨拶や常識的なマナーなどどう対応するのが良いのか、教えてあげる場でもあると思います。親と子が一緒に楽しみ、喜びあえるというのは特に幼稚園の時期ではないかと思いますので、登降園の短い時間であっても触れ合える時間を持つことは大切なことです。また、お母さん同士がコミュニケーションを取る場でもあると思います。
5つの目標、まずは健康なからだづくり
1.「じょうぶなこども」
まず幼稚園では健康が第一ということで、「じょうぶなこども」という目標があります。幼稚園が設立された昭和26年当時から、丈夫な身体を作るための1つの方法として「合格証」という工夫をしています。
この合格証は3つの種類があります。
1つ目は、「腕立て合格証」です。腕の力をつけるために、腕立て歩行ということを全学年で行っています。足を持ってもらい、腕で歩きます。持つ腕の力もつくし、歩くほうも腕の力とおなかの筋肉のバランスが必要になります。一定の距離を歩けるようになったら合格証を差し上げます。ここ最近のお子さんは腕の力が弱く、腕の力で身体を支えられなくてすぐ倒れてしまいます。赤ちゃんのときに「はいはい」をあまりしていないのが一因だと思われます。
2つ目は、「縄跳び合格証」です。まずは縄に触れることから始めて、遊びながら跳べるようになっていきます。両足跳びとランニング跳びの2種類があり、100回跳びにも挑戦します。でも私達は、できたからいいのではなく、やればできる、練習したからできるようになったという過程を大切にしています。できたときは「おめでとう。できたね。」とみんなで喜びあい、拍手し互いに励ましあうその気持ちを大切にしています。
3つ目は、「倒立合格証」です。腕に力がなければできませんので、腕立て歩行が合格してからになります。先生に足を支えてもらいながら倒立にチャレンジします。
幼稚園に入って卒園するまでに、この3種類の合格証を修得できれば良いと思っています。1つの目標に向かって頑張る気持ちを育てるための合格証でもあります。
2.「しんせつなこども」
幼稚園では、友達と仲良くすることから始まって、約束を守り、人のことを思いやる優しい気持ちを大切にしています。進んで友達に親切にする心の芽をのばすことが目標です。
3.「かんがえるこども」
幼稚園の生活で体験することにより、子どもたちの判断力や想像力を育てることが目標です。
先に答えを出さずに、答えが出るように子ども達に考えさせています。
教え込むのではなく、自分から何だろうと疑問を持ったり、どうすればできるようになるのかな、どうしてかなと、自ら頭で考えているうちに、生きた知識が育っていくのだと思います。
4.「がんばるこども」
1つの目標を掲げたら最後までやり通そうという意志を育てることが目標です。
やってみようと挑戦する気持ち、それができた達成感が、子どもを満足させ、また次もやってみようという気持ちに育ちます。子どもたちが途中でなげだすことをしないで、みんながやっているし、自分もやろうかな、頑張ろうかなと思う気持ちをまち、自分で達成するまでの過程を大事にしたいと思っています。できたからいい、できないからだめということではなく、やりとげる経験をつませたいと思っています。
5.「たくましいこども」
最終的には「たくましいこども」に育ってほしいという願いがあります。
幼稚園の目標に向かって、友達や先生と共ににする経験や体験学習が、人のためにも役立つ心と自分の足で歩く生きる力を育てています。
日本の心と多彩な行事
幼稚園にはたくさんの行事があります。行事を通し子ども達に日本の心を伝えてあげたいと思います。伝統的な行事というものを幼稚園の生活の中に取り入れて、行事の中にある日本の心を子ども達に伝えていきたいと思っています。
また、習慣が薄れてきている日本の素晴らしい行事を子どもを通して、保護者の方にも知っていただきたいと思いながら行っています。
5月は、「こどもの日の祝い」「母の日パーティ」を行います。7月には、今はあまりしなくなった流しそうめん体験や七夕があります。流しそうめんや七夕のときに使う竹や笹は、学校の施設の東明学林という所にある竹林から取ってきてもらいます。笹はお母さんと一緒に飾り付けをして持って帰ります。七夕は昔から日本にある伝統的行事なので、子どもを通して保護者の方にも分かってもらいたいと思っています。
8月の末には母の会主催で、幼稚園の2学期が始まる前に「夏の夜の集い」という行事を行ってくださっています。休みの間会っていない友達が集まって、ゲームを楽しんだり、盆踊りをします。
9月の敬老の日には、おじい様、おばあ様をお招きし、歌ったり、手遊びをしてほほえましいひと時を過ごします。
10月は、附属の幼稚園から小学校、中学、高校までの合同体育祭があります。
11月は勤労感謝の日。学園内ではいろいろな作業をしている方々がいます。幼稚園内のものが壊れたときなどに作業をしてくれる人、毎日安全を守って下さる守衛さんなど、この学園の中でお仕事をしている人たちに感謝をする「感謝の日」の行事を行います。
また、高校2年生の生徒さんが幼稚園に毎日交代で来て、子ども達と遊んでくださったり、お世話をしてくださったりしています。中高部では奉仕の1つとして学園内のお掃除をする「朋友班活動」があり、幼稚園にも来てお掃除をしてくれます。そのお姉さん達にも感謝する気持ちで、一緒に楽しい一時を過ごします。
勤労感謝の日というのがどういう日なのか、1つの行事を通し子ども達と話し合いをし、「ありがとう」の気持ちを育てていますし、子ども達は自分達のお父さん、お母さん、周りの人々が自分達を一生懸命育ててくれていることに感謝します。
1月は、「郵便ごっこ」
2月は、「豆まき」「お相撲大会」を行います。
3月は、「紅茶パーティ」。3月3日に、高等部の卒業式があり、お世話になったお姉さん達の卒業を子ども達が祝います。卒業おめでとう、ありがとうという感謝の気持ちを込めて、園庭で園児がお姉様方に温かい紅茶を差し上げ接待をします。
成長を見守る喜び
私は長い間、昭和幼稚園で園児と関わり、多くの子ども達が幼稚園を卒園していきました。この学園には初等部もあり、育てた子ども達が小学校で大きく成長していく姿を目の当たりに見ることができる環境の中で仕事をさせていただくことは、本当に幸せだと思います。
初等部、中高部、そして大学に行き社会人になった子ども達が、昭和祭という学園祭のときに訪ねてきてくれます。お母さんになって、自分の子どもを昭和幼稚園に入園させてくれる方もいます。それはとても嬉しいことです。渋谷先生がいるから昭和幼稚園に入れたいと言ってくださる気持ちがうれしいです。今度結婚しますと報告に来てくださった方達もいますし、亡くなられた人見先生に報告に行ってきたと、お墓参りに行ってくださった方もいます。本当に胸が熱くなるほどうれしいことです。幼稚園の先生という仕事は大変です。でも、卒園した子どもが、先生を忘れないでいたこと、世話をしたことをちゃんと心に留めてくれていることは、とてもうれしいことです。今年母親になったという方が、昭和祭のときに先生に抱いてもらいたいということで、赤ちゃんを連れてきてくださいました。今自分が母親になって、渋谷先生が幼稚園のときに私にいろいろ関わってくれたことを今度は子どもに伝えていきたいと言われ、それを聞いたときには、幼稚園の先生になって本当に良かったと思いました。教え子が訪ねて来て、思い出話しが進み、立派に成長した姿に喜びを感じます。
昭和幼稚園の教育は、学園全体の出発点であり、幼児期が教育の一番の原点だと思っています。子ども達が入園し卒園するまでに、豊かな経験と体験を通して、故人見先生が考えられた5つの目標を達成するとともに、自分の足でしっかり歩くことができる真の人間教育の土台を育てていきたいと思っています。
2005年12月6日(火)昭和女子大学附属昭和幼稚園にて
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