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サレジオ学院幼稚園 インタビュー

サレジオ学院幼稚園 土屋茂明 園長先生

田園都市線 鷺沼駅から少し歩いたところに、サレジオ教会と、そのすぐ近くにサレジオ学院幼稚園があります。サレジオ学院幼稚園の土屋園長先生は、サレジオ教会の神父さんでもいらっしゃいます。

私は36年間、中学生、高校生を教えてきました。大阪の星光学院では17年間、次に杉並にある育英工業高等専門学校で教鞭をとっておりました。一昨年までサレジオ学院中学・高等学校の副校長を務めていましたが、同じ学校法人のこの幼稚園に赴任しました。

サレジオ会と創立者ドン・ボスコ

土屋茂明 園長先生サレジオ会といいますのはカトリックの中の、教育を専門とする修道会です。創立者がジョバンニ・ボスコといい、イタリアのカトリックの司祭です。ジョバンニ・ボスコというのが本名ですが、向こうは尊称として、神父に「ドン」をつけますので、ジョバンニ・ボスコも弟子や後継者達から「ドン・ボスコ」と呼ばれました。

ドン・ボスコはトリノで働くのですが、その頃はちょうど産業革命が起きていた時代で農村から都会へ青少年がどんどん入り込んできて、いわゆる巷でさまよう青少年達が大勢いました。その若者たちの世話をしようということになりまして、彼らを集めて教育をし始めました。それがサレジオ会の起こりです。通常、会の名前に、自分の名前をつけるのですが、彼はサレジオ会とつけました。サレジオの名前の由来はドン・ボスコが16世紀から17世紀にかけてのフランシスコ・サレジオというカトリックの聖者が柔和と慈愛に富んでおり、たいへん尊敬していたからです。教育をするのには一人一人が柔和と慈愛と愛情を持って接していかなくてはいけない。その模範に倣えという意味で「フランシスコ・サレジオ」の名前をとり、サレジオ会としたわけです。

サレジオ会の学校とサレジアンの広がり

ドン・ボスコは男子の教育を主としていたのですが、女子の教育のために女子の修道会も作りました。現在日本では「サレジアン・シスターズ」といっています。サレジアン・シスターズもかなり学校があります。例えば、結婚式でも有名になったサレジオ教会が碑文谷にありますが、サレジオ教会のそばにある目黒星美小学校もサレジアン・シスターズの学校です。同じドン・ボスコの精神で教育をしています。この春もここの幼稚園から9名ほど目黒星美小学校に入ることになっています。そして世田谷に中学、高校があります。同じサレジアン・シスターズの学校です。

サレジオ学院幼稚園 園舎最近は「サレジオ」と名のる学校がかなり増えてきました。女子校はだいたい「星美」という名前をつけていたのですが、静岡星美学園が男子も入れるようになりましたので、静岡サレジオ中学・高等学校に名前を変えています。そして杉並にある育英高専は、今春から、京王線多摩境に移転し、サレジオ高専に名前を変えます。NHKのロボット大会によく出ていた学校としても名を知られています。その他に、東京の小平にあるサレジオ小学校、中学校があります。元々は、戦後の上野の地下道にいた戦災孤児達のために作った養護施設から始まっています。現在は通学生のためのサレジオ小学校、サレジオ中学校もあります。大阪には大阪星光学院。宮崎には日向学院があります。みんな私達と同じサレジオ会の学校です。

サレジオ会は世界的に広まっていまして、世界各国にあります。創立者がイタリア人でしたから、特にラテン系の国や、フィリピンで発展しています。ブラジルの首都には「ドン・ボスコ区」というのがあり、南米でも発展しています。サレジオ学院中学・高等学校では生徒たちもサレジアンと言っていて、校歌にも「我らサレジアン」とあります。

「道理」「信仰」「愛情」

ドン・ボスコのこころ 表紙ドン・ボスコの教育の3本柱が「道理」と「信仰」と「愛情」です。そして、私たちの幼稚園と系列の学校では、ドン・ボスコの教育精神や教育方法に従って教育をしています。元々ドン・ボスコは敬虔なカトリックの家庭の生まれでした。神父でもありましたので「信仰」と「道理」ということをいっています。それは「理解」と「納得」を通して教育をするということです。当時はヨーロッパ全体で、イタリアでもそうだったのですが、抑えつける教育が盛んでした。そのような教育に対して、ドン・ボスコは「道理」と「信仰」と「愛情」という3本柱を立てて、強制ではなく納得に基づいて、人々の理解と信頼を通して子どもたちを教育するということを実行しました。そして自分の後継者に伝えていったわけです。

私が育英高専で教えていた頃、先生の職員朝礼の時にドン・ボスコの教育精神などを数分ずつ話していました。そのときの話などを「ドン・ボスコのこころ」という本にまとめました。一昨年からサレジオ学院幼稚園でお子さんたちの保育に携わることになり、ドン・ボスコの教育精神、方法は、幼児教育にも実に見事に活かされるものだということに気付かされました。

幼稚園とご家庭、そして教会とのつながり

私たちの幼稚園が特に他のところと比べて特徴的なところがあるとすれば、それはカトリックの幼稚園だということです。お祈りもかなり取り入れています。サレジオ学院幼稚園では基本的な躾というものを大切にしています。そして、やはりご家庭が一番の中心ですからご家庭と幼稚園とがしっかりとつながりながら、そのつながりの中で教育をしていこうとしています。

カトリック幼稚園としてのお祈りと賛美歌を生活の中や保育の中に取り入れています。道徳面では「誰が見ていなくても、神様がご覧になっているよ」ということを、お祈りや賛美歌を通して与えていこうとしています。幼稚園のすぐ隣に教会があります。教会付属幼稚園ということではありません。サレジオ学院という学校法人の幼稚園です。私も神父で、もう一人教会に主任の神父がいまして、私たち二人がかなり関りを持っていますから、ご家庭のお母さん方と教会とのつながりが非常に良いようです。幼稚園の卒園生の多くが教会の日曜学校に通っています。卒園してからも強くつながっているように感じます。教会ではサレジオ学院幼稚園児だけでなく、就学前の子どもたちと「小羊会」というのを作っています。お母さん方とそのお子さんたちとのつながりが非常に深く、そういう意味で教会と家庭がとてもいい関係です。毎学期の初めと終わりには、子どもたちが必ず教会に行ってお祈りをします。それから毎日、生活はお祈りと賛美歌で始まります。お昼の時も、降園前にもお祈りと歌を歌います。そのように1日の保育の中にお祈りと賛美歌がかなり取り入れられています。それがこの幼稚園の1つの大きな特徴です。

幼稚園のいろいろな行事

聖母祭・七五三運動会、音楽会など、他の幼稚園と同じような行事のほかに、カトリック幼稚園としての大きな行事は、5月に「聖母祭」があります。教会から幼稚園までパレードをしたり、聖母マリアの歌を歌ったり、教会でお祈りをしたりします。七五三も教会でお祝いをします。

この幼稚園のクリスマスは一般のクリスマスのお祝いとは少し違います。 「イエス様のご誕生を祝う会」としていまして、この幼稚園独自の聖誕劇をします。他のカトリックの幼稚園さんとは少し違います。一般的に劇で選ばれるのは天使やマリア様などのわずかな子どもたちだけになります。マリア様に選ばれた子どもや、ヨゼフ様に選ばれた子どもはいいのですが、役がある子どもは少しです。保護者の方から見れば「うちの子は選ばれていないわ」と思われることでしょう。ですからサレジオ学院幼稚園ではミュージカル風の合唱でつないでいく聖誕劇をやります。合唱をしながら場面を変えています。全員が合唱をしながらいろんな場面で、それに合った歌を歌いながらイエス様のご誕生を祝います。独特な降誕祭の祝い方です。最近では他の幼稚園さんが私たちの祝う会の資料を頼まれたりしています。いわゆるサンタクロースが出てくる一般的なクリスマス行事は、12月の終業式の日にサンタクロースに来てもらっています。本来のイエス様のお誕生を祝う会と一般的なクリスマスのお祝いを分けています。

感謝の心とお祈り

園内の聖母マリア像カトリックの情操教育を、お子さまたちが小さな頃から受けることも心の教育では大切なことです。昔でしたらどこの家庭にも仏壇や神棚があったと思います。最近は何もないご家庭の方が多く、そういう意味で祈る心というか、感謝する心は大切ではないかと思います。

この幼稚園には、いたるところにマリア様の像があります。廊下にもありますし、各お部屋にもあります。一昨、年長の男の子がご両親に「僕はマリア様のいる小学校に行きたい」と言って、その子は目黒星美小学校に行きました。ですからマリア様を常日頃、目にしていることが、いろんな形で子どもたちの心に残るのでしょう。

いろいろな交流

ここの園では横割りで、すみれ、ゆり、ばら組がありまして、すみれが年少、ゆりが年中で、年長がばら組です。基本的には横割りですが、何かのお製作の時に、ばらさんがすみれさんのところに行って一緒に作るとか、あるいは園外教育の時や教会に行く時など、ばらさんがすみれさんと一緒に手をつないで行ったり、いろんな機会に交流するチャンスがあります。他の学年のクラスに入ってお弁当を食べたり、お製作を一緒にしたり、縦割りではありませんが、そのような機会が大切なので積極的に取り入れています。

この幼稚園から公立の鷺沼小学校に進学する子どもが多いですので、今日はそこの5年生の生徒たちと交流会をしています。幼稚園児にはとてもいいことだと思っています。もちろん私学に進むお子さんたちもいます。この春には26名くらいが横浜雙葉小学校や、田園調布雙葉小学校、ドミニコ学園小学校といった、主としてカトリック系の小学校に進学します。ここでは特別な受験教育などはしていません。幼稚園の保育は、大らかに、楽しんで、遊んで、お製作等を取り入れています。ただ、私学小学校進学の希望も多いので、その点も考慮したいと考えています。

ご父母とのつながりも非常に活発です。コーラスなどいろんなサークルもあります。教会で式がある時には参加して下さいます。コーラスのお母さん方はたくさんいらっしゃいます。その他、生け花や手芸等、色々あります。それから教会の神父さんと一緒に聖書講座もしています。自由参加ですが、たくさんの方がサークルに参加されています。

声の交換「倫理ノート」

私は国語も教えていますが倫理も教えていました。倫理を教えるのにただ一方的に教えるのではなくて、生徒たちの声をいつも交換したいという気持ちがありましたので、倫理ノートというのを作っていました。いわゆる手作りノートで、その日の授業の要点と簡単な感想や疑問をメモさせて、必ずその時間内に集めて次の授業時にコメントをちょっと書いて、それを戻していました。倫理ノートを絶えず交換していたわけです。一方的に教えるだけでなく、生徒たちの声も聞きながら授業を進めていました。なんとある卒業生はその時のノートを今でも持っているそうです。それも何十年も前のノートです。そのような生徒もいます。私の中ではこのことが一番印象に残っています。嬉しい思い出です。大阪星光学院の創立50年誌にも、別のもう一人の卒業生が思い出として、「倫理のノート」のことを書いていました。生徒たちにもちょっと印象に残っているのかもしれないですね。

授業はできるだけ新聞の記事を利用していました。倫理の教科書は、ただ思想家を並べてあるだけです。もちろんそれも触りながらもその時その時の新聞の記事を大いに利用していました。単なる思想家の羅列だけでなく、キリスト教的な人生観、倫理観をおり込みながら授業を進めていました。生徒たちが特にキリスト教について感想や疑問を書いてくれば、それに私が答えることもできます。生徒や学生が大勢いましたので、一人一人と話す機会がなかなかないので、ノートを通してなら絶えず交換できますから。それが自分としては良かったです。そういうことが思い出に残っていますね。

先生の著書である「ドン・ボスコのこころ」を読ませていただきました。ドン・ボスコは150年以上も前の教育者にもかかわらず、現在の学校教育の解決の糸口を示しています。土屋先生はそのことをとても解りやすく、新聞等で問題になっていることと、ドン・ボスコの教育法を対比させて書いていらっしゃいます。
1990年「毎日新聞」の社説で文部省の登校拒否予防策について掲載されたことに対し、ドン・ボスコの教育法では、すでに彼の学校において実践していたと書かれてあります。サレジオ学院の教育は長い年月に渡る教育者の方々の豊富な経験から成り立っているということを知りました。

土屋先生ありがとうございました。

2005年2月16日(水)サレジオ学院幼稚園にて

サレジオ学院幼稚園 HP
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