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駒大経済銀八教授のWarm Heart Lecture

銀八教授(福原好喜)のプロフィール

銀八教授の本

新渡戸稲造晩年の苦悩−憂国と愛国の間で−(20)

左近司談話

「新渡戸博士が過日、愛媛県下で新聞記者と会見の際にわが軍部を誹謗(ひぼう)する内容の新聞記事が一部の新聞に掲載せられて、世間の問題となり、糾弾運動を起こすというような風評が伝えらるるに至った。僕はかねてから博士のごとき欧米人筋と交際の厚き紳士に事態の真相を承知しておいてもらって国家のために大いに努力していただきたいと考えていたので満州問題、上海事件などのいきさつを説明かたがた陸軍省の永田大佐とともに博士を訪問した。しかるところ博士は右会見談として伝えられる新聞記事が全然博士自身の意思と異なるにかかわらず、世間の一部に博士の真意を誤解するものあるを心外とし、細かく当時の論旨について説明された。

なお、この時局問題に対して博士が従来海外に向かって公表された意見の内容も承知し、両人(左近司、永田)も釈然として博士の心情を了とし、重ねて国家のために一段と尽力ありたき旨、申し述べ引き取った。」

この時、左近司、永田の二人は新渡戸に満州問題、上海事件のいきさつを説明し、「重ねて国家のために一段と尽力ありたき旨」を要請した。両人のおだやかな要請に新渡戸は「ノー」とは言えなかった。

Photo by 飯田純一


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