新渡戸稲造晩年の苦悩−憂国と愛国の間で−(7)
腕だけあって頭のない身体
新聞が、関東軍の勇敢で敏速な行動を称揚する中で、新渡戸の目は冷めていた。彼は関東軍の行動が「正義をその基礎としていない」「ずるいごまかし」であると見ていた。それは問題を解決するどころか「紛糾の種をまいているだけ」である。そして5日後の29日の編集余録「兵士以外の愛国者」で、日本は「腕だけあって頭のない身体のような」怪物であるとして、軍国主義日本を皮肉っている。
324 兵士以外の愛国者
31・9・29
忠義も愛国も兵士の独占物ではない。それが平時において、国事を導くに不当な影響力を振うようになると、その国には災いが訪れるWoe betide the nation。国の主な支柱が軍隊であり、その最大の栄光が軍事力であるような国は、不安定で危なっかしいものである。そんな国は、腕だけあって頭のない身体のようなものである。

Photo by 飯田純一
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