第9回 「総理に忠告す」を読み終えて−憂国憂民の情
憂国憂民の情
董 玉霞
拝啓
銀八先生、あなたの心はそんなところにあったのですか。先生の本を読ませていただきました、先生の憂国憂民の情に感動しました。
先生は一人の経済学者として国の経済事情を心配するのは当たり前のことであるのかもしれませんが、先生の経済の発展動向への先見性に驚きました。経済学者はたくさんいますが、誰でも”先見之明”を持つ人間ではありません。先生は「経済の運営は、船の運営と同じく、機動的でなければならない。一ヶ月前の天気図を持って太平洋を渡る船長はいない……」という言葉で当時の橋本総理の経済対策の過ちに対して指摘しました。先生は鋭い観察力で経済恐慌を予測し、そして予測どおりになっていった。さすがです。
本の中に心に響くような言葉はたくさんありました。正直に言うと、もっとも心に重く残っている言葉は先生がおっしゃった「人が人として生きる上に必要な心を育てることができるだろうか、愛情や友情や誠実さや勇気や優しみや思いやりの心を育てることができるだろうか。」という言葉です。先生は正しくこういう心の持ち主である。これは先生の授業に出席することで感じられたことです。
授業で先生は常に人間にとって何が一番大事なのか、何をすべきなのかを熱く語っています。「勉強のできる人より優しい心を持ち、人への思いやりの心を持つ人間がもっとも立派です。」この衝撃的な言葉が心に響きました。今まで自分は勉強ができる優秀な人間になりたいと思っていました。周りのことも、あまりよく考えずに自分のことしか考えなかった気がします。この自己中心的な考え方と自分の”狭い”心に対して本当に恥ずかしく思い、反省しています。これから意思の強い、心が温かい人間になりたいと思います。
私は一人の学生として一番感動したのは、”国は学生のために奨学金を無利子貸与すべきだ”と強く主張している先生のことです。国の将来のためにこれからも学生の味方でいてほしいです。
先生は四十年間一日も欠かしたことがなくマラソンを続けてきた、その信念と根性の強さを不思議に思いながら尊敬しています。このことから先生の人間性がもっとも体現していると思います。やはり強い人間になるには強い信念を持たないとならないのだと思います。
本の中では東晋の詩人陶淵明の言葉「帰去来の辞」を引用して農業の重要さを説明しました。また、阪神大震災の被災地救援の募金活動で組合と大学当局の協力を”呉越同舟”という言葉で比喩しました。
この二つの言葉の起源はいずれも中国であるが、中国の人々にさえよく知られていない言葉を先生は使っている。博識である先生に尊敬する気持ちが一層増えてきました。
陶淵明であろう、杜甫であろう、中国古来の愛国詩人と同じように先生は憂国憂民の情を持っています。こんな先生を見て、自分は憂国と言わずに、せめて、これからももっと周りの人に気を配り、思いやりの心で人と接したいと思います。

Photo by 飯田純一
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