土をつくるいきものの不思議を探る!『土のいきもの住民会議』

■採取した土壌からいきものを見つける様子


東京工業大学大岡山キャンパスで「いきもの住民会議」が11月18日、開催されました。
いきもの住民会議は、目黒区と国立大学法人東京工業大学が共同で開催している催しで、区民に身近な自然や生物の多様性に対する興味、理解を深めてもらうことが目的とされています。

今回のいきもの住民会議は、親子連れを中心に17名が参加し、講師に橋本みのりさん(大東文化大学環境創造学部環境創造学科准教授 土壌動物・土壌生態学)を迎え、東京工業大学大岡山キャンパスをフィールドとして、土をつくるいきものに焦点をあてました。専門家による指導のもと、公園や大学構内等でいきものの生息状況の観察と記録が行われました。

イベント開始の挨拶後、大岡山キャンパス内「ひょうたん池」周辺樹林に移動した参加者は、早速、土壌採取をスタート。落葉樹班と広葉樹班に分かれて、それぞれの樹木の下にある土壌の採取が行われました。講師や区職員に、いきものが好んで隠れていそうな場所を聞きながら、土が見えないほど積もった落ち葉を掻き分け、いきものがいそうな柔らかい土を採取します。子ども達は葉を裏返したり土を慎重に掘り起して、ハサミムシやムカデ、ミミズなどのいきものを見つけていきました。

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■大岡山キャンパス内「ひょうたん池」周辺樹林での土壌採取の様子

その後、講義室に移動し、ピンセットや吸虫管(きゅうちゅうかん)を使用して採取した土壌からいきものを取り上げアルコールに入れ、その後、顕微鏡での観察が行われました。トビムシや陸貝、ヨコエビ類など、肉眼では確認しづらいいきものも顕微鏡を使ってしっかりと観察し、体の色や足の数など細かな部分の記録を取り、スケッチを描いていました。

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■採取した土壌からいきものを見つける様子
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■ピンセットや吸虫管(きゅうちゅうかん)を使います

講師の橋本准教授による講義では、落ち葉を分解している土壌のいきもの、微生物の紹介や役割、生物の多様性や身近ないきものの世界を楽しむヒント等が語られました。

今回、初めて親子で参加したという保護者は、「目黒区に住んでいますが、子どもも普段は土のなかのいきものに目を向けることがないですし、見たことのない虫がいたりして面白かったです。」と語っていました。また、今回で2回目の参加となる児童は、「楽しかった。ヨコエビとかワラジムシの子どもが採れた。大きなミミズがいてびっくりした。」と語っていました。

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■顕微鏡でいきものを観察する様子
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■採取した土壌から見つけたいきもの(一部)

今回のイベントについて、区の担当職員は、「普段、目にすることのない様々な生物によって、豊かな生活が支えられています。今回は、土の中のいきものについて採取や観察を行いましたが、今回のイベントを通して、参加者が生活の身近な部分から、生物多様性について考えるきっかけになればと思います。」と語っていました。

目黒区は、まち全体にみどり豊かな環境をつくりだし、身近ないきものとのふれあいが広がり、自然と共生する暮らしを誰もが実践している社会を目指していて、このようなイベント等を通じて身近な自然に親しみ、生物多様性への理解を深めてもらうことが目標とされています。土のいきもの住民会議等のイベントに参加された人を対象に、「自然通信員」への登録も行っているとのことで、身近な自然やいきものに関する情報提供を区民に呼びかけています。提供された情報はニュースレターとして発行され、自然と共生する暮らしを実現するための情報発信などにいかされるということです。